1月中に学校説明会や個別相談を実施する学校は多い。
 というより、何も行わない学校の方が少ないのではないか。
 私立はすでに出願を締めきろうかという段階にきているので、これは埼玉県公立高校の話である。

◆受けるのか受けないのか
 年明けの説明会や個別相談が今までと違うのは、学校にとっても、受験生にとっても、「次がない」ことである。
 学校としては最後の説明会、相談会になるだろうし、受験生側も同じことだ。
 これまでのように、「ほかの学校も調べてみようか」というのは、この時点ではない。

 あるのはただ一つ。
 「この学校を受けるのか、受けないのか」の決断だけ。
 今まで見てきた学校にするのか、それとも今日訪れたこの学校にするのか。
 その最終判断のためだけにやって来る。

◆背中を押してあげる
 といった状況を考えれば、この場面で学校側に求められるのは、ポンっと背中を一押ししてあげることだろう。

 「皆さん、最後の最後によくぞ来てくれた。ありがとう。今まで目を向けてもらえなかったのは少し残念だが、それは私たちの努力不足もあるだろう。しかし今日、皆さんはこうして訪れてくれた。今日か明日かと待っていたが、ついに実現した。ようやく私たちの思いが伝わったと思うと感動すら覚える。改めて今日この場に来てくれたことに感謝したい。私たちは皆さんの決断を後悔させるようなことはしない。この学校で私たち教員や先輩たちと一緒に楽しく実り多い3年間を過ごそうではないか。準備はできている。私たちは皆さんを待っている。あとは皆さんがこの学校を第一希望と決め、残された期間、合格に向けて頑張ってもらうことだけだ」

 ちょっと前のめりだが、このくらい言ってあげたほうがいい。
 今までだったら、ちょっと話だけでも聞いてみるかとか、雰囲気だけでも見てみるかという参加者がいたかもしれないが、この期に及んでさすがにそんな受験生はいるまい。
 相手は決めに来ているのだから、決める後押しをしてあげるのが親切というものだ。
 
◆私立高校入試は始まっている
 公立の先生方の中には私立高校入試に無頓着な方も多いので、念のため書いておく。
 埼玉県の私立高校入試は、1月22日が解禁日と昔から決まっている。
 曜日は考慮しないので土日に当たる年もある。
 今年は月曜日だ。

 ほぼすべての県内私立が22日(月)もしくは23日(火)に学力検査を実施する。
 したがって、20日(土)の公立説明会にやって来る生徒は、2日後か3日後に私立入試を控えている可能性が高い。
 単願の生徒はこの時期、公立には来ないはずだから、公立説明会にやって来るのは併願の生徒だろう。

 いわゆる確約をとっているケースがほとんどなので、合格の可能性は限りなく100%に近いわけだが、受験生にとっては最初の本番試験だ。
 わざわざ本番の2,3日前に説明会をやるのはどうかと前々から思っているが、決めてしまったことは仕方ない。
 20日実施校には、風邪など引かせることのないよう十分な配慮をしてもらいたい。

◆第2回進路希望調査の結果発表直後
 例年、1月第2週末に第2回進路希望調査(昨年12月15日現在)の結果が発表される。
 今年は11日か12日あたりと予想される。
 とすれば、13日(土)実施校はその直後ということになる。

 倍率というのは、高ければ不安になるが、低い場合でもこれから実際の出願で上がるのではないかとそれはそれで心配になるものだ。
 実際のところ、1.1倍だろうが1.2倍であろうが、さらにはもっと高い倍率であろうが、それによってこれからの準備の仕方や試験当日の戦い方がそうそう変わるものではない。
 つまり、実効性のある倍率対策は無いといっていい。
 
 「この学校を受けるのか、受けないのか」の決断には、もう一つ、この倍率問題があるわけだが、それをも乗り越えられるように少し強めのプッシュをしてあげられるといい。