次年度に向けての広報を早期に始めよう。
 このところ、そんな記事を何本か書いている。
 その影響なのかどうか分からないが、早くもスタートした学校があるので紹介しておこう。
 私立なら珍しくもなんともないが、公立である。

【1月29日(月)の杉戸高校】 新年度生徒募集、始動Ⅰ
【1月30日(火)の杉戸高校①】 新年度生徒募集、始動Ⅱ

 1本目は、生徒モデルの人選が始まるというニュース。
 2本目は、5月に「高校入試情報提供会」を開催しますというニュース。
 先んずれば人を制すではないが、早く始めて損することは何もない。

◆メイキングビデオなど意味分からん
 杉戸高校は昨年、学校案内パンフの制作過程を動画公開した。
 いわゆるメイキングビデオ(メイキングムービー)である。

 YouTube再生回数は3000回に迫る。

 この手法にはお手本がある。
 花咲徳栄高校は一昨年からメイキングビデオを公開している。

 この学校のSNSやHP、あるいはYouTubeを用いた広報活動には、先進的な試みが散りばめられている。
 作り手のセンスによる部分も大きいと思うが、出来ることはどんどん真似てみるといい。

 別の学校でこうした事例を紹介し勧めたところ、「作る意味が分からん」と一蹴された。
 そう考えるのは自由なので、無理に勧めることはしない。
 みんながやり始めると差別化できなくなるので、むしろ「作る意味が分からん」学校が多ければ多いほどいいのだ。

◆プロセスの公開の効果
 出来上がったラーメンを写真や動画で見せるだけより、食ってるところを見せた方が、行ってみようと思う人は増えるだろう。
 さらに、仕込みの様子から見せれば、いよいよ行ってみたくなるだろう。
 本来は舞台裏であり、人様に見せるものではないが、だからこそ人はそこに興味を示すのだ。

 少し飛躍した言い方になるが、学校の教育活動とはすべてがプロセスである。
 たとえば文化祭や修学旅行。
 長い準備期間があって、当日は僅か2日か3日なのだが、その準備期間こそが正に教育そのものなのである。
 模擬店の前でカニさんポーズ、USJでカニさんポーズもいいが、それは長い物語の最後の1ページでしかない。
 
 つまり、その学校の教育を伝えるというのは、プロセスを伝えることなのである。
 メイキングビデオなどは、多少受け狙いの面もあるが、日々の情報発信においては、「プロセス=教育」と考えていいのではないか。

◆事後報告より事前予告 
 学校ホームページやSNSでは、「~が行われました」といった事後報告が多くなる。
 それはそれで重要だが、「~が行われます」、「~まであと〇日」といった予告があってもいい。
 また、当日に向けてどのような準備が進められてるかといった途中経過を伝える記事があってもいい。

 学校取材の多い立場からすると、事前予告は有難い。
 「~が行われます」なら、都合をつけて行ってみようかという気持ちにもなるが、「~が行われました」では行きようがない。
 学校説明会などについては、盛んに事前予告するわけだが、それ以外の場面でも「事前予告~途中経過~結果報告」というストーリー性のある展開をしてみるといいだろう。