本日は私立高校の先生方限定記事である。
 公立高校や塾の先生方にはあまり意味のないデータだと思われる。

 県内の多くの私立高校は単願と併願という二つの大きな括りで募集をしている。
 このうち単願は「合格=入学手続き」であるから分かりやすい。
 だが、読みにくいのは併願だ。
 通常公立高校と併願しており、私立は俗にいう「滑り止め」の位置づけであるから、公立に受かればそちらに行ってしまう。

 よって、私立から見た場合、常に「併願合格者>入学手続き者」である。
 学校差はあるが、過去のデータをみると、併願合格者のうち実際に入学手続きをする者は、全県平均で14~15%程度である。
 この数字を「併願の戻り率」と言ったりするが、20数パーセントの学校もあれば1桁パーセントの学校もある。

 というわけで、私立の先生にとっても公立の倍率は大いに気になるのである。

 併願の戻り率は高ければ高いほどいいかというと、必ずしもそうとは言えない。想定したより高ければ、クラスを増設しなければならないし、それに伴い教室を確保しなければならない。もちろん教員の増員が必要になる場合もある。
 
 そこで、併願戻り率が気になる私立高校募集担当者のためにまとめたのが、以下の想定私立手続き者数リストである。
 当然ながら同じ倍率であっても募集規模(募集定員)が大きければ大きいほど不合格者、すなわち私立に入学手続きを取ってくれそうな人数は増えるわけである。
 公立高校は基本募集人員を超えて合格者を出すことはないので、以下は、かなり確実な数字と言えるだろう。
 実際には事前取り消しもあるし、稀に募集人員プラス1、2名の合格者を出すこともあるが誤差の範囲だろう。

【想定私立手続き者150人以上】
大宮   189人(普130・理59)
市立浦和 181人
春日部  179人
蕨    175人(普159・外16)
川口北  170人
川越   168人
所沢   155人
浦和西  154人
越谷南  152人(普135・外17)
川口市立 151人(普74・51・理26)

 合計で1674人。
 10校あるが、越谷南を除く9校は学校選択問題採用校、すなわち学力上位校である。
 不合格者と言っても合格者との差は僅かであるから、私立高校側からすれば鍛えがいがあり将来が期待できる生徒たちだ。
 地域でみると、南部6校、東部と西部が各2校で、北部の学校はない。

【想定私立手続き者100人以上】
和光国際 148人(普110・外38)
大宮北  147人(普108・理39)
市立川越 146人(普68・国46・情32)
川越南  138人
浦和   137人
浦和一女 132人
伊奈学園 128人
越ヶ谷  124人
南稜   122人(普102・外20)
不動岡  119人
川越女子 108人
川口   107人

 合計で1556人。
 12校あるが、このうち8校が学校選択問題採用校である。
 浦和、浦和一女もここに含まれる。
 地域でみると、南部6校、西部4校、東部2校で、ここにも北部の学校はない。

【想定私立手続き者50人以上】
上尾   97人(普41・商53)
浦和南  95人
与野   93人
豊岡   93人
所沢西  81人
岩槻   73人(普53・国20)
川越総合 73人
越谷北  71人(普50・理21)
春日部女子68人(普50・外18)
熊谷西  65人(普48・理17)
志木   62人
朝霞西  59人
浦和東  56人
坂戸   56人(普59・外-3)
浦和北  55人
杉戸   55人
所沢北  50人(普36・理14)
 
 合計1202人。
 17校あり、いわゆる中堅レベル校も含まれる。
 越谷北、熊谷西、所沢北といった学校選択問題採用校も含まれる。
 個人的には越谷北、所沢北あたりはもう少し激戦になっていいのではないかと思う。
 地域でみると、西部7校、南部6校、東部3校、北部1校となっており、ここでようやく北部の熊谷西が登場した。

【想定私立手続き者10人以上】
入間向陽 49人
鳩ヶ谷  44人(普26・情20・園-2)
草加東  43人
坂戸西  42人
朝霞   40人
大宮南  38人
春日部東 36人(普29・人7)
本庄   36人
熊谷   35人
川口東  31人
新座柳瀬 29人
松山   29人(普6・理23)
越谷東  27人
所沢中央 27人
庄和   26人
久喜北陽 24人
大宮光陵 23人(普17・外6)
吉川美南 23人(総23)
草加南  21人(普19・外2)
滑川総合 19人
草加   16人
上尾南  15人
三郷北  15人
八潮南  15人(普3・商9・情3)
鷲宮   15人
松山女子 13人
富士見  12人
久喜   11人
鴻巣   10人(普16・商-6)

 合計779人。
 29校あり、中堅ないし中堅下位校が中心となるが、ここに熊谷、松山、松山女子といった伝統校も含まれる。
 地域でみると、東部12校、西部9校、南部5校、北部3校となっている。

【想定私立手続き者1人以上】
小川   8人
白岡   7人
松伏   7人(普7)
川越西  6人
三郷   6人
桶川   5人
川口青陵 4人
狭山清陵 4人
飯能   2人
妻沼   2人

 合計51人
 10校ある。
 地域でみると、西部4校、東部3校、南部2校、北部1校となっている。

 なお、ここまでに登場していない学校(主に普通科)は定員割れであるから想定される私立手続き者はゼロである。

【専門高校、専門学科】
 専門高校、専門学科は定員を割っている学校・学科が多く、想定される私立手続き者は非常に少ないのだが、一定数いるのも事実だ。ただし、第2志望合格の関係が読みにくい。

 専門高校では今年、新座総合技術が6学科すべてで定員を超えている。
 デザイン17人
 情報技術10人
 食物調理8人
 電子機械4人
 総合ビジネス4人
 服飾デザイン1人
 計算上合計44人が涙を飲むことになるが、他校の欠員補充に回るのか、私立に手続きするのかは分からない。
 
 浦和商業も2学科両方で高い倍率となっており、商業科で26人、情報処理科で19人、合わせて45人が残念な結果となる。

 深谷商業は3学科中、商業科で29人、会計科で5人の超過となっているが、情報処理科が2人の定員割れなので、差し引き32人が他の進路を求めることになる。

 杉戸農業は6学科中4学科で定員を超え、2学科が定員を割っている。第2志望により内部吸収したとしても差し引き11人の超過である。

 川口工業は全3学科で定員を超えており、超過人数の合計は26人となっている。

 以上は全日制であるが、単位制による定時制・総合学科では戸田翔陽の人気が高く、Ⅰ部とⅡ部は共に1.56倍の高倍率となっており、Ⅰ部Ⅱ部合計で87人の超過となっている。
 ちなみにⅠ部は午前部、Ⅱ部は午後部、Ⅲ部は夜間という構成になっており、Ⅲ部のみ定員割れしている。同じスタイルの吉川美南や狭山緑陽なども昼間部は定員を超える志願者が集まっている。