今週末(20・21日)、さいたまスーパーアリーナで「彩の国進学フェア」が開催される。
 毎回のことだが、長蛇の列をなしている学校もあれば閑古鳥が鳴いている学校もある。
 今回の話題はそこだ。
 
 まず暇で暇で仕方ないブースについて。
◆動的待機でお客を呼ぶ
 あまりにも混み過ぎのブースも困りものだが、スタッフ(先生)が暇そうにしているブースは近寄りづらく、さらに人が寄り付かないという悪循環に陥る。

 ブース設計によりある程度集客を増やすことができる。
 ただ費用がかか場合もあるし、今からでは間に合わない場合もある。

 数年前、こんな例があった。
(2018年大宮商業高校)

 お時間は取らせません。ちょっとだけ聞いていってくださいと、お客にプレッシャーをかけないように言っているのだが、2分ではなく1分55秒というところがさらにいい。

 今からできる当日対応としては、アパレル店などでよく見られる「動的待機」が参考になる。
 「動的待機」とは読んで字のごとく動きながら来客を待つことだ。
 洋服をたたんだり、ハンガーを直したり、ごみを拾ったり・・・
 お客はしつこく売り込まれることに警戒感を持っているのだ。
 だから、別に今やらんでもいいだろうという細かい作業をしつつ、「決して強引に売り込んだりしませんよ」という空気を醸し出す。

 ただじっと待ち、お客をジーっと見つめてはいけない。
 他人のことを言えた義理ではないが、特に年配の男性の先生は、顔がいつも怒っている(ように見える)。
 明るく、軽やかに、にこやかに。

◆知名度を上げるのも目的の一つ
 出展したからには一組でも多く相談者に来てもらいたい。
 しかし、この手のイベントでは、知名度を上げることも大きな目的の一つなのだ。
 繰り返し言っていることだが、「自分らが思っているほど他人には知られていない」のが現実である。

 たとえ一瞬でも立ち止まり、学校名を目にし、耳にしてもらうだけでも、こうした対面型イベントの目的は達っせられるわけである。一言でも会話ができればさらに良し。パンフやチラシをお持ち帰りいただければ儲けもの。

 次に、いつも長蛇の列ができてしまう学校について。

◆待ち時間には2種類ある
 あまりにも長い列をみて、見送ってしまうお客も多い。
 せっかく来てくれたのに。
 これは前も言った機会損失だ。

 待ち時間には2種類ある。
 一つは「物理的な待ち時間」。
 これは「実際の待ち時間」と言い換えていい。

 もう一つは「心理的な待ち時間」。
 これは「体感的な」とか「感覚的な」と言い換えることができる。

 そこで、機会損失を避けたい学校は、「物理的な待ち時間」を短縮するシステムを考えなければならない。
 と同時に、「心理的待ち時間」を短くする工夫もしなければならない。

 「物理的な待ち時間」を短縮するためのもっとも確実な方法はスタッフを増員することだ。
 ただ、外部でのイベントでは限界がある。

 そこで今回は「心理的な待ち時間」を短くする方法について考えてみる。
 
◆なぜ待ち時間を長いと感じるのか
 第一に、「なにもしない時間」を長いと感じる。
 第二に、「本来の目的以外の時間」は長いと感じる。
 第三に、「どのくらい待つか分からない時間」は長いと感じる。
 第四に、「一人で待っている時間」は長いと感じる。

 皆さん、だいたい身に覚えがあると思う。

 5分や10分はあっという間だが、なにもせずただじっとしている5分、10分は結構長いのだ。
 本来の目的は個別相談であり、その10分を長いと思わないが、本来の目的に達する前の待ち時間10分は長いのだ。
 「あと15分お待ちください」なら待てるが、「しばらくお待ちください」だと5分でもイラつくのだ。
 誰かとおしゃべりしていると時間を忘れるが、一人で黙っていると時間は長いのだ。

 こうした「心理的な待ち時間」を短縮する工夫をしないと、人々は、実際にはそんなに待たせていないので、長く待たされたと感じてしまう。

 「なにもしない時間」は長いのだから、何かをしてもらえばいい。
 「本来の目的以外の時間」は長いのだから、個別相談に先立って、相談したいことのアンケートに記入してもらえばいい。まだ個別相談という本来の目的には至っていないのだが、その時間に入ったような感覚になる。
 「どのくらい待つか分からない時間」は長いのだから、「ただいま20分」とか「30分」とか推定時間をアナウンスすればいい。
 「一人で待っている時間」は長いのだから、誘導スタッフはたえず声をかけ、簡単な会話を繰り返せばいい。ちょっとした質問に答えてあげれば、本来の目的である個別相談に近い感覚になるかもしれない。

◆誘導スタッフにはベテランを
 いつも長蛇の列を作ってしまう学校は、誘導スタッフにこそ、その学校で一番のタレントを当てるべきである。
 誘導スタッフは単なる交通整理ではない。
 相談は無理でも誘導くらいならできるだろうと新人などを当てると、とんでもない結果が待っているだろう。