生徒募集活動が大詰めを迎えている。
 来月になれば早くも埼玉県内私立の出願が始まり、年明け1月22日からは入学試験。
 公立はそれより1か月ほど遅いが、いずれにしても終盤戦を迎えたと言っていい。

 今日は「空中戦」と「地上戦」という話をしようと思う。
 簡単に言うと「空中戦」はネットなどを利用した不特定多数を標的とした戦い、「地上戦」は地域・範囲を絞った特定少数を標的とした戦いだ。

 が、その前に、この「空中戦、地上戦」という言葉、さまざまな分野で使われているので、さらっと見ておくことにしよう。

【ビジネス界での使われ方】
 ビジネス界では、資料・データを用意せず、ただ言葉だけで議論することを「空中戦」と呼ぶ。
 地に足がついていないという意味で「空中戦」なのだろう。
 議論がかみ合わず、まとまらない会議をこのように言ったりする。
 ネガティブな使われ方だ。

【選挙での使われ方】
 「地上戦」は、候補者が一軒一軒・有権者を回り丁寧にお願いして歩く活動。
 最近言われなくなったが「ドブ板選挙」のこと。
 選挙期間中の戸別訪問は禁じられているので、それ以外の期間での日常活動。

 「空中戦」は不特定多数に対し顔と名前、つまり知名度を上げるための活動。
 街頭演説や駅立ち、それにともなうビラ配りなど。

 近年はこれに、「サイバー戦(ネット戦)」が加わった。

【スポーツでの使われ方】
 サッカーならばヘディングでのボールの奪い合い。
 野球ならホームランによる点の取り合い。

 と、いろいろあるわけだが、今日ここで取り上げるのはマーケティング分野における使われ方だ。

◆広告・マーケティング分野における「空中戦」「地上戦」
 広告やマーケティング分野における「空中戦」とは、広告などを通じて企業情報を消費者に認知してもらう活動である。
 「プル型マーケティング」などとも言われる。
 方法は多岐にわたるが、代表的なのはテレビ・新聞・雑誌などの広告、イベントなどだ。
 自社サイト(いわゆるホームページ)やSNSwo利用した情報発信も含まれる。
 
 一方、「地上戦」は、直接消費者に働きかける「プッシュ型マーケティング」である。
 一番分かりやすいのが営業活動。
 一般に「空中戦」に比べて時間も人手もかかる。

◆生徒募集における「空中戦」と「地上戦」
 生徒募集活動における「空中戦」には次のようなものが含まれる。
 ●新聞・雑誌等による広告
 ●合同説明会などイベント参加
 ●WEBサイト(ホームページ)による情報発信
 ●SNSによる情報発信
 
 一方、「地上戦」には次のようなものが含まれる。
 ●中学校訪問
 ●塾訪問
 ●(学校説明会)
 ●(個別相談会)

 さて、ここで問題になるのは、学校説明会や個別相談会などであるが、すでに認知してくれた受験生や保護者に対し、対面で直接コミュニケーションを取れるという意味で、ここでは「地上戦」に分類することにしよう。

 「空中戦」と「地上戦」は両者相まって効果を発揮する。
 したがって、「空中戦」に弱い学校は「地上戦」を強化し、「地上戦」に弱い学校は「空中戦」を強化する必要がある。
 
◆これからは「地上戦」の勝負
 どちらも年間を通しての活動となるが、これからは「地上戦」に重きをおいた活動となるだろう。
 もちろん、「空中戦」を止めていいというわけではないが、今から広告を出したりSNSを始めたりしても今年の集客にはつながらないし、合同説明会などもすでに終了している。

 個別相談は、いわば対面での営業であるから、ガチガチの「地上戦」だ。
 せっかく学校説明会に来てくれているのに、ただそれだけで帰してしまうのはもったいない。
 今からでも全員個別相談の体制を組んだほうがいい。
 ただ、前述のように「地上戦」にはマンパワーが必要だ。
 特に公立の場合、人手を確保できるかどうかがカギになる。

 中学校訪問や塾訪問も今さら感はあるが、募集に苦しむ学校にとっては最後のプッシュとして、それなりの効果はある。
 エリアを限定して腕利きの営業マンが回る方がいい。

 明日は埼玉県産業教育フェアを見に行く予定だ。