よく山登りをされる方、あるいはよく神社を参拝される方は、「男坂」「女坂」という言葉をご存知だろう。
「男坂」はほぼ一直線の急な山道(坂道)、一方「女坂」はやや緩やかな山道(坂道)。
結局、少し先に行けば合流するのだが、体力に自信がある人は「男坂」を使ってショートカットすれば、より早く登れる。
体力にそれほど自信がなければ時間は少し余計にかかるが、今で言うバリアフリー的な「女坂」を登ればいい。
最近の私は、往路は「男坂」、復路は「女坂」ということが多い。
年を取ると下りに不安を抱くようになるので、やや緩やかな道を選ぶ。
また、せっかく2ルートあるなら違った景色を楽しみたいという気持ちもある。
険しいほうが「男坂」で緩やかなほうが「女坂」というのは差別だと言う人もいるらしいが、ここはそういう議論の場ではないので、どこか他所でやっていただこう。
以上、前振りでここから本題。
◆教え方が「女坂」
先日、熊谷女子高校の学校説明会を見に行った。
校長挨拶、学校概要説明に続いて教務主任の先生から入試関連の説明があった。
その中で、数学の問題を解いてみせる場面があった。
一見難しそうに見える問題も、ちょっと視点を変えてみれば意外と簡単に解けることもあるので、諦めずに頑張りましょう。
そういう激励の意味もあったと思う。
プロだから教え方が上手いのは当然なので、そこは何とも思わなかった。
ただ、何となく「女子校っぽい」教え方だなと思った。
直感的で時に力技に持ち込みがちな男子に対して、一つ一つ丁寧に詰めて行きたい女子。
むろん個人差はあるに決まっているが、そうした差異はある。
で、この時突然頭に浮かんだのが、「男坂」「女坂」という言葉。
そうか、今この先生は「女坂」を案内しているんだ。
女子校の先生だから女子受けの良い教え方をしているんだ。
と、素人ながら、そんなことを思った次第である。
で、ここまでが本題の序論で、次が本題の本論。
◆女子校の魅力、そこだけじゃない
よく言われる女子校の魅力や女子校の良さ。
たとえば「素のままの自分でいられる」、「何でも自分たちでやれるようになる」、「リーダーシップが育ちやすい」等々。
女子校生徒からよくそのような声を聞くし、そうなのだろう。
ただ、これらはどちらかと言うと、生徒目線からの感想みたいなものである。
また、行事や学校生活に着目した意見だ。
説明会などでこれらを生徒自身に語らせるのはいいだろう。
では、教育視点から見た女子校の魅力、女子校ならでは良さとは何なのだろう。
ここが意外と語られていない。
「素のままの自分でいられる」などというのは生徒に言わせておけばいいのであって、教員が語ることではあるまい。
私は教育の専門家でもなければ、ましてや女子教育の専門家でもない。
だが、女子校だからこそ伸ばしやすい個性や能力・学力というものがきっとあるはずだと思う。
女子校でしか出来ない教育など実際のところそう多くはなく、すべては共学でも出来るのだと思うが、ここは比較論の世界だ。
広報や生徒募集の立場から言わせてもらえば、女子校の良さについて教育視点からのアピールが不足している。
コメントを残す