高校は始動の早い中学生のニーズに応えられていないのではないか。
 ここ数年、そんな話をあちこちでしてきた。

 ここで始動が早いというのは受験勉強のこともあるが、むしろ学校選びのことだ。
 中学校の指導もあってか、徐々に早まる傾向が見られる。

 さいたまスーパーアリーナで開かれる「彩の国進学フェア」も以前は1・2年生の参加はめずらしく、たまに見かけると「ずいぶんと熱心な生徒もいるものだ」と感心したものだが、今は驚かない。
 つい最近、熊谷女子高校の学校見学会に行ってみたが、ここにも1・2年生の姿が見られた。
 同校は年明け2月8日に1.2年生対象と銘打った説明会を行うと公表しているのだが、そこまで待っていられないということか。
 学校側も申込フォームの学年記入欄に「1年・2年・3年」という選択肢を設けているので、まったく想定していないわけではないだろう。
 ただ、用意された資料も話も3年生メインで1・2年生を意識したものではなかった。

 以前も書いたが繰り返す。
 「彩の国進学フェア」のキャッチフレーズは「キミの学校選びはここに始まる」というものだ。
 このキャッチに象徴されるように、部活もそろそろ一段落し(引退し)夏休みに入るタイミングで「さあ、そろそろ学校選びを真剣に考えようか」というのがこれまでの常識だった。
 だから夏休み前に学校説明会を開く学校は少なかった。
 主戦場は2学期。
 そして年明け1月にも、まだ決めかねている生徒向けに説明会や相談会を開く。

 始動の遅い生徒のことを考えれば、それでいいだろう。
 しかし、このスケジュールにおいて、始動の早い生徒はある意味無視されているわけである。
 教室での勉強でも同じようなことが起きているかもしれないが、それはまた別の話だ。

 偏差値云々に関わらず始動の早い生徒はいるものだ。
 専門高校の生徒に話を聞く機会も多いが割と早い時期に方向を決めている生徒も多いと感じる。

 「そういう始動の早い生徒は高校側としても是非来て欲しい生徒ではないですか」
 「でも、そういう生徒たちのための説明会は用意されていませんね」
 「もったいないとは思いませんか」
 というのが私のかねてからの主張だ。

 しかし、高校側にもかれらのニーズに応えようという動きが少しずつ出てきた。
 今年は大宮、春日部、熊谷女子、川越女子が2月3月に説明会を開催した。
 来春は熊谷、春日部女子、川口北も開催するとすでに公表している。
 検討中と聞いている学校もあるので10校を超えるのは確実だろう。
 募集活動の期間が長くなると心配する向きもあろうが、早く始めた分、10月か遅くとも11月上旬くらいで打ち止めにすればいいわけで、要は時期が全体として前にスライドするだけだ。

 最後に。
 今日この話になったのは理由がある。
 昨日のことだがある高校から学校説明会内で中学生向け講演をしてもらえないかと打診があった。
 まだ主催者である高校側が公表していないので詳しくは書けないが、驚いたのは開催日だ。
 何と1月下旬。
 この時期に1・2年生、ことによったら小6生までを対象とした説明会を開くというのだ。

 現中学1年生以下は、公立入試改革に大いに関心を持っているだろう。
 全体として動きが早まるだろうから、高校側としてもそれに対応する必要があるだろう。