12月26日(木)、さいたま市で共学化に反対する高校生や卒業生などによるデモ行進が行われた。
 この日私は日本薬科大学で開催された「探究活動生徒発表会」を見に行っていた。
 それがなければ取材に行けたのだが。

 “共学化推進”県教委の方針に反対する高校生卒業生がデモ行進(NHK)

 私自身は県立男子校の出身ということもあってこうした活動をする人たちにシンパシーを感じる部分はある。
 ただし年齢も年齢なので、自ら積極的に活動参加することはないだろう。

 私の視点は男女共同参画とかジェンダーとかではなく、どうしても生徒募集戦略ということになるので、その面から見ておこう。

 今年の第1回進路希望調査(10月1日現在)で公立全日制を希望した中学生が4万1044人いた。
 このうち男子校(浦和・熊谷・川越・春日部・松山)希望者は2100人、女子校(浦和一女・熊谷女子・川越女子・春日部女子・松山女子・久喜・鴻巣女子)希望者は2021人で、合計4121人だった。
 公立全日制全体に占める割合は約10%である。
 これを多いと見るか少ないと見るかは意見の分かれるところであろうが、一定数の別学希望者がいるのは確かだ。
 ちなみに、農業・工業・商業といった伝統的な職業系専門高校(学科)希望者も4147人でこちらも約10%である。

 志望動機は別学だからということのほかに、進学実績が高いからとか家から通いやすいからなどさまざまと思われるが、とにかく一定の支持を集めているのは確かだ。
 ただ、倍率という点では、浦和・川越・春日部の男子校3校と、浦和一女・川越女子の女子校2校以外は、現時点では定員割れ状態である。
 そういう意味では、少しずつ支持を失っていると言わざるを得ない。

 そうなると、次に出てくるのは定員の削減であろう。
 280人募集、あるいは240人募集にすれば、教育の質を落とさず維持して行くことも可能だ。
 しかし、過去の経験に照らせば、定員削減の効果は短期的なもので、いずれはその人数を確保することも難しくなる。
 よって、このまま行けば、男子校女子校という形(体裁)は維持できたとしても、募集面から見て学校の維持が困難になる可能性がある。
 つまり、男子校女子校を残すという点では合意が形成されたとしても、そんなに数は必要ないだろうということになる。

 そこで考えられるのは、男子校と女子校を合わせて二つの共学校にするのではなく、合わせて一つにすることだ。
 この超少子化時代に、学校数が今のままというのは考えられない。

 別学校が共学化することで息を吹き返したり人気校に躍り出たりするのは平成の時代にはあったかもしれないが、今も述べたように超少子化時代にそれはないと思ったほうがいい。
 中高一貫や中等教育学校に転換するとか、学科転換、学科新設を行うとか、大胆な改革が必要だろう。
 仮に、別学のまま残すという選択をしたとしても学校改革、教育改革が必要なのは同じことだ。
 ただ、男子と女子を一緒にすれば済むといった単純な話ではない。

 落ち目の学校同士がただ一緒になってうまく行った例などない。
 下りのスピードが加速するだけだ。
 逆に勢いのある者同士が一緒になれば上りのスピードが加速する。