埼玉県私立高校入試は大きな山場をこえ、多くの受験生はこれから公立入試へ向かう。
 入学願書の提出まで2週間。
 
 本日は志願先変更の話をしてみようと思う。

◆志願先変更の手順
 志願先変更期間は2日間ある。
 令和6年度入試においては2月14日(水)・15(木)日となる。
 
 当初の出願は2月9日(金)に締め切られる。
 志願状況が判明してから志願先変更までの期間は短いので、ゆっくり考えている暇はない。

 当初の出願は郵送または持参が原則となるが、志願先変更は持参のみとなる。
 県の選抜実施要項には次のように記されている。
 「志願先変更を希望する者は、出身中学校長を経て、「志願先変更願」及び受検票を、先に出願した高等学校長に持参により提出し、「志願先変更証明書」の交付を受けた後、新たに持参により出願手続をとること」
 2校に足を運ばなければならないということだ。
 最初の志願先と変更後の志願先が近ければいいが、離れているとちょっと慌ただしい動きとなりそうだ。

◆なぜ志願先変更の制度があるのか
 公立高校入試(主に一般選抜)の志願先変更は全国的にみられるものだ。 
 なぜ、このような制度があるのか。
 理由の一つは、公立高校はできるだけ多くの生徒を受け入れる責務があるからだ。

 倍率格差が大きいまま試験を実施した場合、高倍率校では多くの不合格者が出る。
 その一方、定員割れ校が増加する。
 これは公立高校全体としてみた場合、好ましい状況とは言えない。

 志願先変更があることによって、高倍率校から低倍率校への移動が起こり、より多くの生徒が公立高校に入れるようになる。

◆実際どれくらい動くのか
 昨年(令和5年度入試)の例を見てみよう。

 まず志願先変更で倍率が下がった主な学校(普通科)は次のとおりである。
1 浦和   1.67倍→1.55倍(-0.12)
2 市立浦和 2.30倍→2.20倍(-0.10)
3 新座   1.18倍→1.09倍(-0.09)
3 深谷   1.14倍→1.05倍(-0.09)
3 市立川越 1.45倍→1.36倍(-0.09)
6 越ヶ谷  1.52倍→1.43倍(-0.08)
7 草加東  1.23倍→1.16倍(-0.07) 
8 岩槻   1.28倍→1.21倍(-0.06)
8 大宮   1.50倍→1.44倍(-0.06)
8 川越南  1.47倍→1.41倍(-0.06)
8 豊岡   1.29倍→1.23倍(-0.06)
8 新座柳瀬 1.21倍→1.15倍(-0.06) 
 実人数でみると、浦和(-42人)、越ヶ谷(-26人)、市立浦和(-24人)の変動が大きい。

 次に志願先変更で倍率が上がった学校(普通科)は次のとおりである。
1 大宮光陵(外国語コース)
       1.00倍→1.08倍(+0.08)
1 八潮南  0.97倍→1.05倍(+0.08)
3 入間向陽 1.02倍→1.08倍(+0.07)
3 富士見  0.93倍→0.99倍(+0.07)
5 草加   0.97倍→1.03倍(+0.06)
5 草加南  0.98倍→1.04倍(+0.06)
7 越生   0.51倍→0.56倍(+0.05)
7 白岡   0.87倍→0.92倍(+0.05)
9 川越初雁 1.01倍→1.05倍(+0.04)
9 栗橋北彩 0.87倍→0.91倍(+0.04)
9 鴻巣女子 0.91倍→0.95倍(+0.04)
9 児玉   0.77倍→0.81倍(+0.04)
 昨年度もっとも上昇したのは和光(+0.13)であるが今年度から募集しないので省いた。
 大宮光陵(外国語コース)は40人定員であり、実人数では3人の増加であった。
 
 こうした倍率変動を大きいとみるか小さいと見るかは、それぞれ考え方はあるだろう。
 ただ、上記の学校を見る限り、高倍率校は若干倍率が緩和され、その分不合格者数は減少している。
 一方低倍率校の中でも、当初定員割れだった8校中6校は変更後も1倍に達っしておらず全員合格となっている。
 したがって、ここに取り上げなかった学校も含め、全体としてこの制度は一定の機能を果たしていると言っていいだろう。

 もう少し詳しく見て行きたいところだが、時間の関係で今日はここまでとしたい。