令和9年度入試改革の話を続ける。
 このブログ、この2日間検索エンジンからの流入が激増している。
 中学生やその保護者の皆さんがやって来るからだろう。
 ただ、記事を読んでみると「残念でした」、制度変更について詳しく解説しているわけではない。
 
 私の主たる関心事は、これによって埼玉県の高校入試市場がどう変化して行くかである。
 変化に対応して、どのように準備するか、何をどう勉強するかなどは、塾の先生方の分析やご意見を参考にされたほうがいいだろう。

◆早まる募集活動
 募集活動の早期化は一部ではすでに始まっている。
 今年度入試では2月、3月に「1・2年生向け」あるいは「新3年生向け」と称して年度が変る前に説明会を実施した学校がある。
 大宮、春日部、熊谷女子、川越女子などだ。

 次年度に向けては、上記4校のほか春日部女子、川口北、熊谷、久喜などが1・2年生向け説明会実施を公表している。
 未だ学校自身が公表していないのでここでは書けないが、さらにいくつかの学校が実施を検討しているので、上位校を中心におそらく10校は超えるだろう。

 こうした動きがすでに出ていることに加え、今回の制度変更である。
 次の次の入試ではあるが、少しでも情報を得たいと考える中学生・保護者は多いはずだから、高校側もそれに応えるべきだろう。
 これは公立だけでなく私立にも言えることだ。

◆詳細が決まるのは1年後だが
 今回発表された基本方針、また来月(10月)発表の入試募集要項・選抜要領(暫定版)の発表を経て、各校が選抜方法の検討に入って行くことになる。
 選抜方法・選抜基準の発表は来年(令和7年)12月とされているので、それまでは校内的には決定事項であっても表に出すことはできない

 だから、私が望んでいるのはそこではない。
 今回発表された基本方針と次に発表される要項・要領の正しい解釈、分かりやすい説明が欲しい。
 おそらく、いや、間違いなく、今後令和9年度以降の入試についての情報が乱れ飛ぶであろう。すでに塾などからいくつか出ている(このブログもそう)。
 塾の先生方はその道のプロであり、長年公立受験指導に関わっているから、その解釈を大きく誤ることはない。ほぼ正しい。
 ただ、選抜の実務を経験しているわけではないので、その解釈が微妙にずれていたり、説明の仕方が適切でない場合もある。

 そこで必要なのは当事者である高校による正しく分かりやすい説明だ。何も裏話をせよというのではない。公表されている以上のことを言う必要はない。というか、それ以上は言ってはならない。
 だがそれでも、中学生や保護者にとって一番安心できるのは当事者である高校による説明だ。

◆塾説は増えるか
 私は公立高校に対して塾対象説明会(塾説)開催を推奨している立場である。
 私がそうしたからというわけではないが、今期はほぼ実施期日順に、岩槻・川口北・熊谷・越谷北・久喜・杉戸・春日部東・蕨・熊谷女子・大宮工業・和光国際・春日部・不動岡・岩槻商業などが塾説を実施した(岩槻商業は10月実施予定)。

 働き方改革が叫ばれる中、新たな動きを求めるのは気が引ける面もあるのだが、管理職を中心にほんの数名で運営できるし、先生方は授業を見られるということ以外は特に負担はないので、ギリギリ許される範囲だろうと思っている。

 次年度以降の塾説では、学校を紹介することに加え、新たな入試制度についての説明が求められるだろう。
 塾の先生方は、何も秘密の情報を求めているわけではない。基本方針や要項・要領について自分の解釈や説明の仕方が間違っていないかを確認できればいいのだ。

◆各校は何をどう検討するのか
 今後、各高校は選抜方法や基準等についての検討に入ることになる。
 私は生徒募集を、「量を確保しつつ質の向上を図る活動である」と定義づけている。つまり、生徒数を確保すると同時に、志望動機が明確で、できればより能力の高い生徒を集めることが目標になる。

 仮にこの定義、目標が正しいとすれば、今回の制度変更にあたり、どの方法をとればもっとも生徒が集められるか、また、どの方法をとれば自校が求める能力をもった生徒が集められるかという視点が重要になってくる。

 もちろん教育者として中学校教育に与える影響やら、中学生(受験生)に及ぼす影響やらは考えて当然であるが、そういったことはすでに考えられており、その結果出てきたのが今回の基本方針であろう。
 だとすれば、各校(現場)で考えるべきは、その先にある自校にもっとも適した「量の確保と質の向上」の策ということになる。

このシリーズ(令和9年度入試シリーズ)、まだまだ続きそうだが、そればかりでは飽きるだろうから明日は別の話題にしよう。