私立中学校入試の話題を一つ。
埼玉県内私立中学校の入試は首都圏でもっとも早く1月10日から始まる。
この日私は東岩槻の開智中学校の入試風景を取材に行った。
県内に私立中学校は31校あるが、ほとんどの学校が解禁日である10日に試験を実施する。
総募集数は3708人。
総応募人数(のべ人数)は7万6599人(6日現在中間発表)。
前述したように他都県に先がけて試験が実施されるため、都内や近県から、いわゆる「お試し受験」の児童が殺到し、受験者数が膨れ上がる。
長らく栄東中学校が出願者数首都圏ナンバーワン(つまり日本一)の座に君臨していたが、トップの座が交代したということで「中学受験界隈」で話題になっている。
「日本一の出願者数」栄東中を抜いた開智中・開智所沢、併願システム魅力で急増…1回の入試で同時受験可(讀賣新聞オンライン)
このトップ交代劇、栄東中学校の減少によるものかというとそうではない。
栄東中学校にも昨年を上回る1万3千人を超える出願者があった。
いつもなら安定の日本一。
ところが今年の開智中学校は凄まじかった。
昨年の約7千人から倍増の約1万4千人。
また、系列の開智所沢(中等教育学校)にも約1万5千人の出願があった。
中学入試は複数日程が用意されているほか、同日に午前入試と午後入試が組まれていたりする。
受験生は複数校あるいは複数回出願するのが普通なので、のべにすると膨大な数になる。
したがって受験者実数は出願者数に比べかなり少なくなるが、それにしてもこの活況には目を見張るものがある。
中間発表ということになっているが、埼玉県総務部学事課が応募状況を発表しているので、公立高校関係者の皆さんも一度目を通されるといいだろう。
令和7年度埼玉県私立中学校入試応募状況(中間)
令和7年度埼玉県私立中等教育学校入試応募状況(中間)
埼玉県はまだ私立中学校の数が少ないので、高校入試(特に公立高校入試)がメジャーで中学入試はマイナーの感があるが、東京ではこれが逆転する。
東京での現象は時間をかけ徐々に首都圏に広がって行くだろう。
入試と言えば公立高校入試というのは埼玉県固有の現象と言っても過言ではない。
ご覧になった方も多いと思うが、東京ではこんな現象も起きている。
都立高第1志望が過去最低の66%台、学習塾側「予想できた結果」…無償化の所得制限撤廃が影響か(讀賣新聞オンライン)
埼玉県内公立高校関係者の皆さん。
倍率が去年より上がったとか下がったとか一喜一憂している場合じゃない。
隣の高校や沿線の高校だけを見ていれば済む時代ではない。
私立中学校を含めた埼玉県全体、あるいは首都圏全体を大きな一つの市場と捉え、その中でどう生き抜いて行くかが問われているのだ。
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