石破茂自民党総裁が辞任することになった。
首相(総理大臣)を辞めるとは言っていないが実質は同じである。
自民・公明両党が少数与党のまま政権を維持するのか。
野党が団結して政権交代するのか。
はたまた、自民・公明が新たな第三の政党を引き入れて安定政権を築こうとするのか。
昔から「政治の世界は一寸先は闇」と言われており、今後の成り行きを素人が予測するのは難しい。
◆どうなる私立授業料無償化
教育関係者の関心の一つは政権の枠組みが変更された場合、私立授業料無償化はどうなるかということだろう。
高校授業料無償化は、自民・公明・維新の三党で合意したものである。
8月に出された令和8年度概算要求にも盛り込まれている。
つまり既定の方針である。
ただ、文部科学省が財務省に提出した概算要求には金額が示されていない。
概算要求と言いながら金額を示さないのは不思議であるが、時たまこういうことがある。
政策の主旨・目的などは示すが具体的な金額は示さない。
これを「事項要求」と呼ぶ。
他の政策については、これは何千億円、これは何百億円と概算金額を示すが、授業料無償化についてはどのくらいの予算が必要かがはっきりしないので金額は示していない。
こちらが文部科学省による授業料無償化に関する概算要求の内容である。

字が小さくて見にくいと思うので、元データを紹介しておこう。
全83ページのうち54ページ目が授業料無償化にかかる要求である。
令和年度 概算要求のポイント(文部科学省)
省庁の概算要求は、あくまでも希望であるから、そのまま予算化されるとは限らない。
年末には予算案(政府案)が決まり、その後国会で審議される。
概算要求で金額が示されていないのは、制度設計が進んでいないからということだ。
通信制高校はどうするかとか、留学生はどうするかとか、いろいろ詰めて行かなければならない事項があるわけだが、それが進んでいない。
それで予算額が定まらない。
概算要求に盛り込まれているので、実際に予算化される可能性は高いわけだが、このまま自民・公明の少数与党状態が続くとスケジュール的に来年4月に間に合うかという心配はある(予算が年度内に成立するか)。
仮に政権交代があったとしても立憲民主党も授業料無償化を言っているわけだし、政権の枠組みが変わって国民民主党が与党に加わったとしても、こちらも高校授業料は無償化と言っている。
私立も含めた無償化や、所得制限なしの無償化に消極的なのは自民党くらいなので、今の政治状況が大きく変わらない限り、無償化は前進するだろう。

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