先ごろ発表された「都道府県魅力度ランキング」。
 今年も例によって、テレビや新聞がこぞって取り上げた。
 調査を行ったのは、あの「ブランド総合研究所」。
 名前からしてすでにブランディングに成功している感が漂うが、毎年このランキングでさらに知名度を上げているのだから、まさに「ブランド」の鑑である。

 さて、そんなランキングで堂々の最下位に輝いたのが、我らが埼玉県。
 いや、違うな。
 「最下位」ではなく「逆の一番」。
 これはもう、「魅力度最下位」という唯一無二の称号を手にした、誇るべき快挙なのだ。

◆ディスられてこその埼玉埼玉県
 埼玉県民は、ディスられることに慣れている。
 いや、むしろそれを楽しんでいる節すらある。
 どこかの県のように「調査方法に問題がある!」などと声を荒げることもない。
 「なんだ最下位か〜」と笑って受け入れる懐の深さ。これぞ埼玉魂である。

 むしろこのまま永久に最下位でいてほしい。
 なぜなら、「魅力度最下位の埼玉県民です」という自己紹介ができるからだ。
 自虐こそ最強の武器。
 笑いを取れて、印象にも残る。
 これ以上のブランディングがあるだろうか。

 観光地は、あるにはある
 たとえば小江戸・川越がある。
 風情ある蔵造りの街並み、時の鐘、さつまいもスイーツ。
 でも、正直「わざわざ来るほどか?」と問われると、埼玉県民の私ですら「うーん」と唸ってしまう。

 秩父もある。自然豊かで、芝桜や長瀞のライン下りは確かに美しい。
 だが、アクセスがいまいち。
 埼玉県民ですら「まず池袋に出てから…」というルートを辿る始末。
 県内なのに、都内経由で行く観光地。これもまた埼玉らしさ。

 グルメ・「食の魅力」も、正直これといったものが思い浮かばない。
 草加せんべい、うどん、ゼリーフライ・・・
 なんか地味だ。
 でもそれでいい。埼玉県民は、地味を愛する民族なのだ
 派手さはないが、日常に寄り添う味。まるで白米のように、主張はしないが、ないと困る存在。それが埼玉。

 というわけで、めでたく最下位に輝いた埼玉県。
 まあ、最下位であることに誇りを持てる県民性こそが、最大の魅力なのかもしれない。
 来年もまた、最下位、守ろうぜ。