すでにチェック済の方も多かろうと思うが、去る8月17日、埼玉県教育局教育政策課から次のような調査結果が発表された。
 毎年出ているものである。
 「令和3年4月高等学校入学状況調査(速報)」について
 ここにアクセスすれば、詳細データ(エクセル)をダウンロードすることができる。
 なお、県教委の調査だが私立のデータも載っている。

 いろいろなことが分かるが、今日は定員充足率(以下、充足率という)にスポットを当ててみよう。
 入学者総数÷募集人員である。
 公立の場合は、原則として募集人員どおりに合格者(入学許可候補者)を出すので、充足率は基本100%となる。
 ただ、合格者を募集人員より数名多く出している学校もある。
 川越総合 募集198 入学210 超過12 充足率106.1%
 これはまあ、例外である。

◆公立の学科ごとの充足率
 普通科  98.5%
 専門学科 91.8%
 総合学科 93.2%
 
 充足率が100%に満たない学校は、いわゆる定員割れである。
 欠員補充が行われたため、2月~3月時点の数値より増えている学校があることに注意。
 
 普通科で充足率が低かった学校(90%未満)
 鳩山   48.7%
 蓮田松韻 61.6%
 児玉   63.3%
 飯能南  75.5%
 妻沼   79.0%
 栗橋北彩 83.3%
 川越初雁 85.9%
 小川   85.9%
 白岡   86.2%
 上尾橘  88.7%
 岩槻北陵 89.3%

 このうち児玉と飯能南は統廃合対象校であり、他校とは状況が異なる。
 駅から遠く、アクセスに問題がある学校が多い。
 小川は東武東上線「小川町」駅前だが、本数がやや少ない。
 地域の人口減少という問題を抱えている学校も見受けられる。
 だが、似たような条件でありながら100%ないしそれに近い数字を出している学校もある。
 一気に挽回することはできないので、これらの学校には、プラス5%とか10%といったあたりに目標を定め、頑張ってもらおう。

 専門学科・総合学科で充足率が低かった学校(80%未満)
 小鹿野(総合)  30.3%
 羽生実業(商業) 36.1%
 皆野(商業)   32.9%
 芸術総合(音楽) 40.6%
 松伏(音楽)   60.0%
 誠和福祉(福祉) 62.5%
 児玉白楊(工業) 75.0%
 春日部工業(工業)78.2%
 三郷工業技術   73.2%
 新座総合技術(商業)79.5%

 小鹿野は募集119人に対し、入学36人と厳しい状況。小鹿野町内に中学校は1校しかなく、町外から集めようにも駅から歩ける場所ではない。「山村留学」を売りにしようとしているようだが、この数字を見ると、うまく行っているようには見えない。寄宿舎でも立てて全寮制にでもするしかないか。
 皆野も町に中学校は1校しかなく、苦しい状況だ。
 音楽科が募集に苦しんでいる。同じ芸術系でも美術科はそれなりに集まっているのだが。
 春日部工業は便利だ。駅は目の前だし、春日部という地域も悪くない。割と最近訪ねた学校だが、生徒は真面目に実験実習に励んでいるし、先生と生徒の関係も良さそうだし、この学校のどこに問題があるんだろうという感じなのだが。

 以上、駆け足で見てきたが、今回発表されたデータは他にもさまざまな角度から分析できるので、順次記事にして行こうと思う。