都立高校の英語スピーキングテストをめぐる動きだ。
入試で活用しないように求めた条例案が否決された。
「立民のスピーキングテスト条例案を否決 都議会文教委」(産経新聞)
すでに述べたように、これは都議会立憲民主党の政治的パフォーマンス、ないしは政治的駆け引きであろう。
本気でやるなら1年前である。
いや、本気でやられては困る。
入試の制度・仕組みに政治が介入し、条例で縛ろうというのは教育(委員会)の中立を損なうものだ。
英語スピーキングテストが東京で定着すれば、全国に広がる可能性がある。
高校入試制度は全国一律ではなく、地方ごとに地域の実情に応じて独自に行われるものだ。
その証拠に、と言うべきか、東京では推薦を含む2回制だが、埼玉・神奈川・千葉では推薦なしの1回制である。
また、東京・神奈川ではマークシート方式が採用されているが、埼玉・千葉では手書き方式である。
だから、東京がそうしたからといって、他が追随するとは限らないのである。
ただし、世の中全体に「話せる英語」が必要だという空気がまん延している。
そうした実情を考えると、英語4技能のうち、今は入試に組み込まれていないスピーキングについて、何かしら検討しなければならないという雰囲気にはなってくるだろう。
◆合否への影響は限定的
ここでは、「そもそも日本の英語教育は~」といった大上段の議論はしない。
というか、私にはできない。
海外経験ゼロだし。
であるから、入試への影響という点に絞る。
都立高校入試は大きく二つに分けられる。
1 推薦に基づく入試(1月)
2 学力検査に基づく入試(2~3月)
学力検査に基づく入試は、さらに二つに分かれる。
(1)第一次募集・分割前期(2月)
(2)第二次募集・分割後期(3月)
※定時制・帰国生入試等は除く。
このうち、英語スピーキングテストの活用が予定されているのは、「第一次募集・分割前期」である。
「第一次募集・分割前期」は、学力検査得点と調査書点の合計で合否を決めるが、これに英語スピーキングテストの点数を加える。
仮に「学力検査:調査書」を「7:3」とした場合、次のような配点となる。
学力検査点500点→換算後700点
調査書65点→ 換算後300点
英語スピーキングテスト 20点
合計1020点
以上は、東京都の「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)のお知らせ」による。
英語スピーキングテストは、1020点満点の中の20点であり、それほど大きな割合を占めるものではないことが分かる。
グラフを作ってみた。
パッと見て分かるように、その重みは僅かである。
むろん1点を争う入試であるから、たとえ僅かであっても無視して良いということにはならないが、その準備・対策に膨大な時間をかけるのは合理的とは言えない。
◆なぜ英検ではダメなのか
東京都教育委員会は英語スピーキングテストについて特設ページを設けている。
【特設ページ】中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)
この中で、過去3年間の試行問題(プレテスト)が見られる。
念のため、自分でもやってみた。
結果、英検の二次対策(スピーキング)をやっていれば十分対応できそうだと思った。
あくまでも個人的感想だが、その程度のものだ。
ならば、わざわざ面倒な試験を追加しなくても英検で代用できるんじゃないか。
そうも思った。
が、あくまでも素人考えなので、英語の先生方から情報収集しなければなるまい。
コメントを残す