令和5年度埼玉県高校入試に関わる第1回進路希望調査の結果を元に、女子人気が高い学校や学科について調べてみた。
希望者が男女別で発表されるのは第1回、第2回の進路希望状況調査だけである。
出願状況などでは男女の内訳は発表されない。
入試に関わる諸々の発表は、基本的には高校教育指導課が担当しているが、募集人員は県立学校人事課、そして今回の進路希望状況調査は教育政策課である。
部署が違えば調査の目的や方法も異なる。
高校教育指導課では入試において男女別定員を設けていないので、出願状況に男女別集計は不要という考え方になる。
では、さっそく結果を見てみよう。
◆普通科で女子比率トップは大宮武蔵野
普通科共学校では、概ね男女半々か、多少偏りがあったとしても6対4以内に収まるものである。
たとえば。
大宮(普通)男55.2% 女44.8%
不動岡 男47.5% 女52.5%
浦和西 男47.3% 女52.7%
越谷北 男48.1% 女51.9%
と、こんな感じになる。
経験上、6対4(4対6)を超えると教室に入った瞬間、一目で男女に偏りがあることが分かる。7対3(3対7)を超えると、一方がかなり多い(少ない)という印象になる。
以下が、第1回進路希望調査(10月1日現在)に基づく女子比率が高い学校である。
(当然ながら女子校は除く)
【普通科 女子比率上位校】
大宮武蔵野 77.9%
日高(普) 70.8%
市立川越 69.7%
大宮光陵(外コ) 67.7%
入間向陽 67.0%
松伏(情報ビ) 63.0%
市立浦和 62.1%
上尾鷹の台 61.6%
草加東 60.9%
川越南 60.6%
児玉 60.5%
新座柳瀬 59.6%
和光国際 57.7%
狭山清陵 57.7%
川越西 56.9%
トップが大宮武蔵野であるのは前年同期と同じ。
市立川越(普通)、松伏(情報ビジネス)、入間向陽、川越南、上尾鷹の台は前年同期もトップ10に入っていた。
上尾鷹の台、入間向陽、大宮武蔵野、川越南などはWEBサイトに制服紹介のページがある。制服が学校の「ウリ」の一つになっているのだろう。
上位人気校では市立浦和、和光国際の女子比率が高い。
では、女子比率が低いのはどこか。
これは、イコール男子比率が高い学校ということなので、男子比率の高い学校を調べた。
【男子比率上位校】
八潮(体育コ) 76.5%
春日部東 65.8%
朝霞 64.8%
白岡 64.6%
川口市立(スポ科学)64.6%
日高(情報コ) 64.3%
大宮東 64.1%
豊岡 64.0%
杉戸 63.1%
川口 63.0%
ふじみ野 62.0%
坂戸西 60.8%
妻沼 60.4%
川口北 59.9%
北本 59.6%
大宮北 58.3%
上尾 58.3%
大宮東、ふじみ野は体育系学科を含まない普通科のみの数字であるが、これを含め、八潮(体育コース)、川口市立(スポーツ科学)など体育系は男子比率が高い。
また、春日部東、川口、坂戸西、上尾など強豪部活のある学校は男子比率が高くなりがちだ。
川口北は前年同期の63.2%より下がったが、相変わらず男子比率が高めだ。
次に専門学科も見ておこう。
◆女子比率高い農業系
農業系学科は6校18学科あり、全体の男女比率は男子46.7%、女子53.3%で女子比率の方がやや高くなっている。
【女子比率が高い農業系学科】
鳩ヶ谷(園芸デザイン) 95.1%
杉戸農業(生活技術) 82.8%
熊谷農業(生活技術) 80.6%
児玉(環境デザイン) 80.0%
秩父農工科学(食品化学) 67.7%
上位の顔ぶれは前年同期とほぼ同じ。
デザインという名称は女子受けがよろしい。
生活技術や食品化学は、家庭系に近い内容なので女子人気が高いと思われる。
◆工業系もデザインは女子優勢
工業系全体では、男子87.0%、女子13.0%で圧倒的に男子比率が高い。
ただ、一部の学科では女子比率が男子比率を上回っている。
【女子比率が高い工業系学科】
新座総合技術(デザイン) 82.4%
川越工業(デザイン) 79.2%
この2校2学科は例年、圧倒的に女子比率が高い。
川越工業は広告などのグラフィックデザインと服飾などのテキスタイルデザインを学ぶ。
新座総合技術は別に服飾デザイン科があるので、グラフィックが中心で、美術科に近い内容。
◆商業系では情報処理が男子優勢
商業系全体では、男子44.7%、女子55.3%で女子比率が高い。
が、中には男子比率が高い学科もあるので、それだけ見ておこう。
【男子比率が高い商業系学科】
鳩山(情報管理) 84.6%
岩槻商業(情報処理) 75.5%
八潮南(情報処理) 71.1%
狭山経済(情報処理) 67.6%
所沢商業(情報処理) 64.0%
浦和商業(情報処理) 61.9%
深谷商業(情報処理) 60.8%
商業科と情報処理科を併置している学校が多いが、その場合、女子は商業科、男子は情報処理科という形になる。
◆家政系は圧倒的に女子
家政系学科は圧倒的に女子比率が高い。
鴻巣女子も含めた数字だが、全体では女子81.7%、男子18.3%。
男女が拮抗しているのは越谷総合技術・食物調理だけで、男子45.2%、女子54.8%となっている。
◆外国語は女子、理数科は男子
外国語科は全体で女子73.1%、男子26.9%。
女子が圧倒的なのは和光国際で女子比率73.3%。
もっとも男女差がないのは蕨で、女子55.8%、男子44.2%。
何度も言っているが外国語科の将来は大変厳しい。
その道を目指すのがいけないという話ではない。倍率を見た時、全体で1.00倍。7校中3校が定員割れ状態というのでは募集面で将来は暗いと言っているのだ。
もはや外国語では魅力がないのだ。国際関係、国際言語などと名称を変更し、語学だけでなく政治経済文化など幅広く学ぶ学科としたほうがいい。
「いや、内容的にはすでにそうなっている」と言うなら、なおさらだ。
理数科は全体では女子27.5%、男子72.5%で、圧倒的に男子比率が高い。
比較的差が少ないのが大宮で男子61.4%、女子38.6%。差が大きいのは大宮北で男子81.0%、女子19.0%。
その他の専門学科では、福祉系は女子比率が高い。
美術・音楽・書道・舞台芸術・映像芸術といった芸術系も女子比率が高い。
総合学科では、誠和福祉が女子比率75.7%と高い。次いで前身が農業高校である川越総合が69.6%、前身が商業高校である幸手桜が66.0%と女子比率が高くなっている。
以上が第1回進路希望調査(10月1日現在)における女子比率が高い学校、学科である。
あくまでも現時点での数字であり実際の入学者がどうなるかは入試次第であるが、傾向はそのまま引き継がれるだろう。
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