一昨日、授業料等の補助拡大について書いたところ、いくつかの質問があったので、今日はそれに対するお答えである。
 まず、これを読もう。
 授業料等軽減Q&A(詳細版)
 これは埼玉県HPにあるものだが、私が塾の先生から受けた質問や、今後先生方が保護者から受けるであろう質問の答えは、すべてここにあると言っていい。お気に入りに登録するなどして、すぐに閲覧できるようにしておくことをお勧めする。

 たとえば。
 「Q1 就学支援金と授業料等軽減補助は異なる制度ですか」
 答え:「就学支援金」は、国が実施する高等学校等就学支援金を指します。「授業料等軽減補助」は、県が実施する父母負担軽減事業補助金を指します。
 「Q2 授業料等軽減補助を受けられるのはどんな人ですか」
 答え:生徒、保護者がともに埼玉県内在住である。埼玉県内の私立高校等に在学している。

 という具合に60の質問に答えているので、たいていの疑問はここで解決するのである。
 それでもなお疑問が残る場合は、埼玉県総務部学事課にメールや電話で問い合わせればいい。
 県や市町村の教育委員会は、公立学校を管轄しているのであって、私立学校は管轄外である。授業料等補助に関する疑問は、上記県総務部学事課や埼玉県私立中学高等学校協会、あるいは直接私立学校に問い合わせないと有効な回答は得られないだろう。
 が、その前に、読めば分かることが多いのだから、まずは自力解決である。先生方が生徒から質問された場合と一緒だ。

 私が受験生保護者対象の講演で、私立の学費ついて話しているのは次の内容だ。
 いきなり数字を持ち出しても理解されにくい。

 1 授業料等は全体として実質無償化の方向に向かっている。
 2 補助の対象は授業料以外(入学金や施設費など)にも広がりつつある。
 3 国の支援金と、それを補う(上乗せする)都道府県の補助金で、無償化を実現しようとしている。
 4 現状では、支援金額や補助金額には制限が設けられている。
 5 また、世帯年収(実際には住民税所得割額)により支給対象や金額に制限が設けられている。
 6 自動的には支給されないので、学校を通して申請(申込)する必要がある。
 7 支援金や補助金は国や都道府県から学校に支払われるもので、保護者個人の口座等に入ってくるものではない。
 以上をしっかり理解してもらった上で、支給金額や年収・所得にどのような制限があるかについて話す。
 あと、リアルな話としては、仮に申請し審査を通っても、支給が実行されるまで時間がかかるので、後で返金または相殺されるにしても一時的な出費は避けられないといった話もしておく。

 国や都道府県は「無償化」とか「実質無償化」という言葉を使っているが、政策アピール的な面もあると思う。
 支援や補助よりも「無償(タダ)」の方がインパクトがある。
 もちろん、全額を支援・補助すれば無償となるのだから、間違ってはいないはいないわけだが、話を「無償化」から始めたり、そこを強調し過ぎると誤解を生んだり、正しい理解を妨げる場合もあるので、先生方におかれては、そのあたりを上手く説明していただきたい。

 文部科学省のサイトに、国の就学支援金について説明したリーフレットがあるので、こちらも保護者会資料に使えるかもしれない。
 私立学校授業料の実質無償化について(2020年4月から) 
 
 埼玉県は、わが県の私立授業料等補助は全国最高レベルと謳っているが、それを裏付けるのが次の二つのデータである。
 最新資料ではないが(平成30年度)、文部科学省の資料である。
 「平成30年度の私立高校生(全日制)への各都道府県における支援制度の概略」
 「平成30年度 都道府県別 私立高校生(全日制)への授業料等支援」
 埼玉県は、授業料以外に、入学金や施設費にも補助があるが、こうした都道府県は意外に少ないことがわかる。また、支給対象の上限となる年収目安も高いほうだ。ただ、東京都のように、他県私立の在学者は対象としていない。が、これはむしろ東京都が例外と考えたほうがよく、多くの県は基本的には県内在住・県内在学を対象とした補助となっているようだ。