「県外転入生に登校自粛要請、岩手 4市町村、『いじめ懸念』」。これは6月25日(木)、共同通信が配信したニュース。

 ちなみに共同通信という会社(社団法人だったか)は、NHKや全国の新聞社が集まって作った組織で、新聞社に対してニュースを配信する会社だ。同業に時事通信がある。海外ならアメリカのAP通信、イギリスのロイター通信。

 時々地方に行ってその地域の地方紙を読み、帰って来て埼玉新聞を読んでみると、最初から最後までまったく同じ文章の記事があったりする。また、ネットニュースを閲覧すると、新聞社名は違っても、これまたまったく同じ文章の記事だったりする。つまり、新聞社独自取材の記事ではなく、共同など通信社による配信記事なのだ。

 前置きが長くなったが、当該の共同通信記事を引用する。
―以下、引用―
 全国で唯一、新型コロナウイルス感染者が確認されていない岩手県内の4市町村の教育委員会が、感染者の多い県外から転校してきた小中学生の保護者に、2週間は登校を自粛するように要請していたことが25日、県教委などへの取材で分かった。4市町村は「感染拡大や転入生へのいじめが懸念されたため」などと理由を説明している。
 4市町村は一関市、奥州市、洋野町、九戸村で、6月上旬に把握した文部科学省が県教委を通じて「県外から来たというだけで自宅待機させることは適切ではない」と指摘したため、要請内容を変更するなどした。登校を自粛した子どもは計20人以上いた。
―以上、引用終わり―

 さっそく調べてみた。
 奥州市教育委員会のサイトに「転入生の受け入れについて」の通知が載っていた。
 「『県外から』の転入生を受け入れる場合は、奥州市に住み始めてから2週間、自宅待機をさせることとする」(令和2年4月8日付け奥教学第90号)。
 おそらく、これのことだ。
 最近の話かと思ったら、4月8日付とある。
 記事にあるように、その後文部科学省から岩手県教委を通じて自宅待機は適切ではないとの指摘があったようで、要請内容は変更され、6月5日現在では、自宅待機の文言はなくなり、「転入までのおおむね2週間の期間における健康状態を保護者から聞き取る」となっていた。
 奥州市教育委員会、当初の要請(4月)
 奥州市教育委員会、変更後の要請(6月)

 教育委員会の気持ちも分からんではないが、たしかに自宅待機の要請は適切とは言えないだろうね。
 いじめが懸念されるというが、2週間待機しようがしまいが、たとえば「東京から来ました」「大阪から来ました」「北海道から来ました」というだけで、いじめの懸念があるわけで、あまり効果のある抑制策にはならないだろう。

 前にも書いたように、自粛は本来、自ら進んで行うものであるから、市や町の教委としては、「心配ならしばらくお休みしてもいいですよ。欠席にはならないようにします。その間は学校と担任が学習の遅れが出ないように個別にケアします。具体的には・・・」とやってあげたほうがよかった。たぶん、これで自粛する。
 まあ、結局は暗に自粛を求めているのだが、「自宅待機させる」、つまり「学校来ちゃダメ」よりは数段ましだ。

 私は、小学校4年になるときに東京の学校から埼玉に転校した。こんなド田舎の学校に通うのかと子供心に落胆すると同時に、どんな恐ろしいガキが待ち構えているかと大いにビビったものだ。転校は結構高いハードルだよ。そこに「学校来ちゃダメ」が加わったら、気の弱い私だったら、そのまま不登校になってしまったかもしれない。