WEBサイト上での大学進学実績の「公開度」はどれくらいか調査。本日は埼玉県公立編である。
 全校調査はさすがにきついので、今回は入試学力検査で学校選択問題を採用する21校に絞った。
 調査項目についての説明は昨日(7月21日)の記事を参照していただきたい。
 
 結果は以下のとおり。

県立浦和 【現浪】【進学】【過去】
過去実績は2006年まで遡ることができる。
浦和一女 【現浪】【進学】【過去】
浦和西 【現浪】【過去】
大宮 【現浪】【進学】【過去】【学科】
理数科だけの合格実績も掲載
春日部 【現浪】【進学】【過去】
川口北 【現浪】【過去】
川越 【現浪】【過去】
川越女子 【現浪】【過去】
川越南 【現浪】【過去】
熊谷 【現浪】【過去】
熊谷女子 【現浪】【過去】
熊谷西  【現浪】【過去】
越ヶ谷 【現浪】【過去】【母数】
越谷北 【現浪】【過去】【学科】【区分】
理数科だけの合格実績と指定校及び一般推薦による合格実績も掲載
所沢 【現浪】【進学】【過去】
所沢北 【現浪】【進学】【過去】【学科】
普通科と理数科の数字が分けて掲載されている
不動岡 【現浪】【進学】【過去】
和光国際 【現浪】【過去】【母数】
 【現浪】【過去】【母数】【学科】
外国語科だけの合格実績も掲載
市立浦和 【現浪】【過去】【母数】
川口市立 【現浪】【過去】
市立3校統合後の第1期生は来年3月卒業である

◆21校すべてが【現浪】と【過去】を掲載
 ここまできれいに揃うと気持ちがいい。調査した21校すべてが【現浪】の別と、前年ないし3年分程度の【過去】データを掲載している。県立浦和は何と14年分(2006年度から)のデータが見られる。
 県立浦和・浦和一女・大宮・春日部・所沢・所沢北・不動岡は、実際に【進学】した人数も確かめられる。また、理数科のある大宮・越谷北・所沢北、外国語科のある蕨は、普通科と専門学科それぞれの人数が分かる。
 
 結論。
 調査対象校が限定的ではあるが、WEBサイト上においては公立の方が「公開度」が高い。

◆どこまで情報公開するか
 合格実績についてどこまで情報公開するかについて決まりがあるわけではない。要は読み手がどこまで要求しているかを推し量って各学校が判断すればいいわけである。極端な話、就職メインの専門高校であれば、大学についてはどんな大学の指定校枠があるかが分かれば十分だ。
 しかし、志願者・入学者の大半が大学進学を希望しているような学校、あるいはそうなることを目指している学校であれば、大学合格実績・進学実績は学校選びの有力な判断材料になるのだから、できるだけ詳細なデータを公表したほうがいいだろう。

 もちろん、情報発信の仕方はさまざまあるわけで、高校側もそのあたりは考えている。相手が中学校や塾の先生なのか、マスコミや出版社なのか、受験生や保護者なのか。それによって求められている情報が異なるから、そこらを勘案して注意深くやっている。

 相手が先生であれば、、詳細なデータを公表しても誤解なく伝わる可能性が高い。
 相手がマスコミであれば、商業的に利用され(悪用され)、意図せざる展開となる場合もある。
 相手が受験生や保護者であれば、基本知識の不足から曲解される危険性もある。

 WEBサイトの読者は以上すべてを含むので、公開の度合いも表現の仕方もよくよく注意が必要だ。
 昔からある紙のパンフレットであれば、原則として読者はそれを受け取った受験生・保護者だけと考えていい。しかし、WEBサイトはどこの誰が見ているか分からない。
 決して臆病になる必要はないが、単なる紙のパンフレットのデジタル版と考えないほうがいい。

◆求める情報が探しにくいサイト
 昨日今日で公私立約70校のサイトを見たが、進学実績に辿り着くのが難しい学校もあった。
 多くの学校がメニューに「進路指導」とか、ずばり「進学実績」を設置していた。メニューは上部にある場合とサイド(横)にある場合とがあった。
 トップ画面のメニューの中に、それらしいワードがない場合は、見当をつけて発見しなければならない。
 
 県立浦和 全日制>進路指導
 大宮   学校案内>進路指導
 川越女子 教育内容>進路指導
 熊谷西  学校紹介>キャリア教育・進路実績
 越ヶ谷  全日制>進路指導
 和光国際 進路室より>進路指導
 以上は入口が分かりにくかった学校。

◆一考を要する年度表記の仕方
 入試に関わる情報は年度表記の仕方が難しい。
 一つは西暦か和暦(元号)かという問題。が、これは併記で解決できる。2020年(令和2年)。
 もう一つは年と年度の違い、というかズレの問題。
 この冬行われる入試は「2021年度(令和3年度)入試」である。年が明けてしまえば違和感ないが、今はちょっと迷う。

 では、今から約半年前に行われた直近の大学入試はどのように表記するか。
 今より一つ前の入試だから「2020年度」ないし「令和2年度」が一般的だろう。
 ところが、中に「2019年度」や「令和元年度」としている学校がある。
 たしかに高校側からすれば、今年の2月3月は「2019年度」または「令和元年度」であったわけで、その時期に行われた試験だから誤りとも言えない。しかし、紛らわしい。私も一瞬、古いデータではないかと思ったが、実は最新だった。

 一番悩んだのは所沢北の「平成31年度」という表記。
 これ、普通に考えたら一つ前の古いデータでしょう。
 と、思ってデータをよく見たら「令和2年4月3日現在」とある。なんだ、最新データじゃないか。
 
 皆さん、誤解を生んだり、迷ったりしないような表記をお願いします。