YouTubeを見ていると、急におススメに登場してくる動画がある。どういうアルゴリズムになってるんだ。
 まあ、それはいいとして、昨日何気なく見ていたら、「定員割れの学校でも不合格になることはある」みたいな動画があった。
 いや、それはないと思うよ。

 いわゆる「定員内不合格」というやつだが、前年度埼玉県公立入試では定員割れ状態で入試を行った学校は、受験者すべてを合格(=入学許可候補者)としていた。

 入学を許可するのはその学校の校長である。
 だから、校長が許可しなければ不合格ということもあり得る。
 が、これは建前であって、定員を割っている状態であれば、校長判断によって不合格者を出すことは事実上できない。

 もし何らかの事情で、「定員内不合格」を出さなければならないと校長が判断した場合は、校長独断ではなく県教委との相談ということになるだろう。

 令和元年6月の埼玉県議会定例会で次のような質疑があった。
 辻浩司議員(民主フォーラム)の質問に、当時の小松弥生教育長が答えたものである。

質問:公教育である県立高校入試における選抜は、あくまで募集定員を上回った際に入学者を定員内におさめるための措置であるべきで、排除をするためのものであってはなりません。しかしながら、残念なことにこれまでも受験者数が定員を下回っているにもかかわらず、不合格者を出すという定員内不合格が出ており、2019年においても1名の定員内不合格があったと伺っております。県立高校においては、定員内不合格をなくし、どんな生徒でも最大限入学させることをしていくべきと考えますが、教育長の御見解をお伺いします。

答弁:議員御指摘のとおり、公立高校に入学を希望する生徒については定められた募集人員の範囲で最大限入学できるようにするべきと考えております。しかしながら、入学許可候補者の決定は校長の権限であるため、募集人員を満たさない場合であっても、やむを得ず不合格となった場合もございました。募集人員を確保する観点からも、可能な限り合格とするよう、校長に対して指導してまいります

 まあ、そういうことですよ。
 これがすべて。

 この「定員内不合格」の件は、文部科学省も問題だとは認めている。
 ただ公立高校入学者選抜は各都道府県教育委員会が管轄しているものである。
 制度仕組みは自治体ごとに異なる。
 そして入学を許可するのは、当該校の校長である。
 文部科学省が一律に何かを決めるのが難しい領域なのである。

 この件は埼玉県議会だけでなく国会でも取り上げられている。
 主として障がい者の権利という観点からである。
 萩生田光一文部科学大臣は、「障害のみを理由に入学を拒否されることはあってはなりません。ただ、他方で、その学校が目指す教育内容に、その希望する生徒が障害の有無にかかわらず付いていけるかどうかについても考えてあげなくてはならないと思っているところでございます」と述べている。
 原則、「定員内不合格」はあってはならないという立場を取りながら、学校側は実情に応じて判断できると若干の含みを持たせた言い方をしている。

 いずれにせよ「定員内不合格」が議会や国会でも、もちろんマスコミでも大きく取り上げられている時代に、点数がかけ離れているという程度の理由で不合格にする校長はまずいないだろう。
 と、推測するわけである。

 動画を上げられた塾長さんも、おそらくこの程度のことは先刻承知で、「入試には誠実に向き合いなさい。全力で取り組みなさい」という意味で言っているのだと思う。
 その気持ちは理解できる。
 ただし、この件は非常にデリケートな問題も含んでいると思われるので、発言は慎重にされた方がよろしい。(自分もだけど)