昨日に続き、「東洋経済education×ICT」のニュースから。
 タイトルがなかなか勇ましい。
 BYOD始めた都立青山高校「ミスターICT」の執念 「オンライン授業」こだわった試行錯誤の舞台裏

 都立青山高校には、ずいぶん昔、取材に行ったことがある。
 最寄り駅は東京メトロ銀座線「外苑前」。
 神宮球場や秩父宮ラグビー場の最寄駅でもある。
 私もサラリーマン時代、よく利用した駅だ。
 
 進学重点校の一つで、今春は東大に8人(現浪合計)、東工大に10人(同)、一橋大に14人(同)など、まずまずの進学実績を残している。

 記事は、同校の統括校長・小澤哲郎先生へのインタビューを元に構成されている。
 統括校長?
 埼玉にはない役職だ。
 一つの学校に複数の校長がいて、それを統括する人?
 いやいや、そうではない。
 校長はどこの学校でも一人しかいない。

 特に重要かつ困難な職責を担う校長として「統括校長」という職を設けたのだ。
 主に進学重点校や中高一貫校(中等教育学校)等の校長が「統括校長」であることが多いが、工業高校にも総合高校にもいる。小中学校にもいる。
 
 ついでに言えば、東京都には教頭がいない。それに相当するのは副校長だ。
 という話に興味がある方は、東京都教育委員会のHPでも見てもらおう。

 さて、記事の話だ。
 ここでは具体的引用はしないので、ぜひ記事本文をお読みいただきたいが、公立高校OBの私は、いかにも公立高校にありそうな話だと妙に納得しつつ読んだ。
 
 小澤統括校長は、前職の都教委ICT推進担当時代、「ミスターITC]と呼ばれ、ICT機器導入に取り組んだ。
 しかし、現場(高校側)の反応は鈍かった。
 特に青山高校からは、「進学重点校にICTはいらない」とまで言われた。
 だが、奇しくも、その青山高校に校長として赴任することになった(2016年)。

 自分で行って変えて来いという、よくある人事だ。
 それにしても2016年に赴任して今も校長ということは6年目か。
 埼玉では2~3年で回すのが普通で4年は滅多にない。
 都立高校では、こんな例もあるのか。

 小澤統括校長は、最初に普通教室にプロジェクターを設置した。
 これは徐々に使われるようになったが、次いで「BYOD」を提案したところ、全員から反対された。
 そうこうするうちコロナ問題が発生し、3月時点で「オンライン授業」を提案したところ、これも反対された。

 ここだよ。
 公立高校にありがちなパターン。
 校長からの提案が、教員の反対でボツになる。
 まあ、校長の考えがいつでも正しいとは限らないから、教員たちによって修正できるシステムを持つのは必ずしも悪いことではない。
 ただ、新たに何かを始めようとする場合は、このシステムがネックになる。

 小澤統括校長にとって追い風になったのは臨時休校の長期化だった。
 さすがに教員たちもオンライン授業に取り組むようになった。
 が、分散登校が始まると再び消極的になった。

 先生たちも、ICT機器の活用が重要なことや、オンライン授業の必要性は分かっているはずなんだけどね。
 別にやりたくないわけじゃない。
 ただ、対応できる教員と、対応できない教員がいることや、生徒の家庭環境の差などを考えているのだと思う。

 同校のICT教育が加速した背景には、OB(現役大学生)や生徒たち自身の動きがあったという。
 やっぱり若者は動きが早い。
 年寄りの経験も大切だが、若い者の発想も取り入れなければいけない。

 以上、簡単だが、結構面白い記事だと思ったので取り上げてみた。