明日の新聞に出るかもしれないが、埼玉県教育委員会(義務教育課)が昨年1年間のコロナ禍における学習状況調査の結果を発表したので、ざっと目を通しておくことにしよう。
 
 概要はこちら。
 報道発表資料。昨日も書いたプレスリリースというものだからA4判1枚にまとめられている。

 「コロナ禍における公立小・中学校等の学習状況に関する独自 調査の結果と今後の取組について」【報道発表資料】

 【調査の内容】
 ●コロナ禍における学習状況やICTの活用について調査した。
 ●さいたま市を除く全県全校が対象。
 ●令和2年度中に3回調査した。
 (1回目臨時休業中、2回目分散登校から夏休み、3回目それ以後年度末まで)
 【結果分析】
 ●教員間においてICT活用能力の差がある。
 ●授業ペースを速めたことにより学習の定着が十分になっていないことが懸念される。

 調べなくても分かるでしょう。
 なのだが、こういうのは後々のためにきちんとデータをとっておくことが大事だ。

 こういう調査が四六時中あるので教員が忙しくなるんだよ。
 それもそうだが、見たところそれほど負担の大きい調査でもないようなので我慢してもらいたい。

 もう少し詳しく知りたい方はこちら。
 表紙含め15ページ。活字は大きめなので全文読んでもそれほど時間はかからない。

 「コロナ禍における公立小・中学校等の 学習状況に関する独自調査の結果と 今後の取組について」【別紙】

 上記別紙のグラフの部分を見やすくまとめたのがこちら。

 「コロナ禍における公立小・中学校等の 学習状況に関する独自調査の結果と 今後の取組について」【参照資料】

 目の付けどころは人それぞれだと思うが、私が気になったところ。
 1 ICTを活用した教員の割合は小学校の方が高い
 なんとなく中学校の方が割合が高そうだと思っていたが、そうではなかった。
 中3に限れば、お互い慣れないICTに取り組むより、従前のやり方で進度を確保するのが先決だ。

 2 3回目調査(令和3年2月1日)では、小中共活用した教員の割合が増えた
 徐々に環境整備も進んだわけだし、まあそうでしょう。

 3 ICT活用の場面は写真や動画の提示が多い
 昔の言い方をするなら視聴覚教材にとどまっている。
 ICTのCは「communications」なので、まだまだこれから。
 ただ、「グループや学級全体での発表の場面で活用した」も結構多く、今後に期待だ。

 4 教員のICT活用能力に差がある
 能力差が出るのは何もICT教育だけじゃない。
 活用能力の低い教員の底上げを図っているうちに、能力の高い教員はさらに上を行くから、格差はなくならない。

 5 進度早まり、学習内容の定着が懸念される
 ここが一番心配なところだ。
 授業時数の不足を補ったり、学習ペースを速めて何とか帳尻を合わせようとした。
 学力レベルの高い子はそれでも何とかなったかもしれないが、低めの子は消化不良を起こしている。
 小学生は中学校入学後、中学生は高校入学後が心配だ。

 6 実験等の制限で実感を伴った学習が不十分
 コロナの学習面への影響を問うたところ、「実験・実習等が制限されることで、実感を伴った学習内容の定着が十分でないこと」、また、「年度当初に考えていたより「主体的・対話的で深い学び」に取り組む機会が持てないこと」などの回答が小中共に多かった。
 実験・実習が制限されたことは、目先の高校入試を考えても結構痛い気がする。
 今さら終わった単元の実験だけを取り出してやるわけにも行かないし、頭の痛い問題だ。

 ざっとこのような結果であった。
 決して意外な(予想外な)結果というわけではないが、なんとなく想像していたことが数字で裏付けられたということで、今後の取り組みの参考にはなりそうだ。