教育再生実行会議が「ポストコロナ期における 新たな学びの在り方について」と題する提言をまとめ、政府に提出した。

 教育関係の審議会等では中央教育審議会(中教審)がよく知られているが、中教審は文部科学大臣の諮問機関である。
 一方、教育再生実行会議は、内閣総理大臣の私的諮問機関という位置づけである。
 教育再生実行会議は、第一次安倍政権時代に教育再生会議として始まった。

 似たような会議が二つあってややこしいが、内閣総理大臣の諮問機関である教育再生実行会議は、総合的・全体的な政策提言を行う。
 中央教育審議会は専門的・具体的な事項について審議する。
 国の文教政策に影響を与える団体はいくつもあるが、とりあえずこの二つをマークしておけば、今後の方向性はだいたい分かる。

 今回、教育再生実行会議は、第12次提言を出したわけだが、なかなかのボリュームで全文読むのは骨が折れる。
 さしあたり資料の在りかを押さえておき、時間のある時、または必要がある時、読んでみるといいだろう。

 一応、PDFデータを上げておく。
 教育再生実行会議(令和3年6月3日)

 WEBサイトにアクセスする場合はこちら。
 過去の提言も全部見られる。
 「教育再生実行会議 提言」

 新聞等の報道(見出し)は次のようになっている。
 「9月入学導入 高校以下棚上げ教育再生実行会議」(毎日新聞)
 「小中学校の9月入学見送り 大学は多様化を提言」(読売新聞)
 「大学の入学時期、多様化を ポストコロナで実行会議が提言」(共同通信)
 「公立中も少人数学級に・ICT教育推進を 教育再生実行会議が提言案」(読売新聞)

 新聞報道としては当然だが、読者の興味を惹きそうな部分だけピックアップしている。
 まあ全部報道されても困るし、読者も元々そんなことは求めていない。
 記者も全文読んでいる暇はないし、限りある紙面で何か伝えようとしたら一部の切り取りになるのはやむを得ないだろう。

 しかし、本ブログ読者の皆さんは教育に関する専門家という立場であろうから、全貌について知っておいてもいいだろう。
 以下、目次の大項目・中項目のみ示す。

1.ニューノーマルにおける初等中等教育の姿と実現のための方策
(1)ニューノーマルにおける新たな学びに向けて~データ駆動型の教育への転換~
(2)新たな学びに対応した指導体制等の整備
2.ニューノーマルにおける高等教育の姿、国際戦略と実現のための方策
(1)ニューノーマルにおける高等教育の姿
(2)グローバルな視点での新たな高等教育の国際戦略
3.教育と社会全体の連携による学びの充実のための方策
(1)大学等における入学・卒業時期の多様化・柔軟化の推進
(2)子供の育ちを社会全体で支えるための取組
4.データ駆動型の教育への転換~データによる政策立案とそのための基盤整備
 
 9月入学や中学校の少人数学級については太字で示した部分に書いてある。
 ただし、政策決定機関ではないので、「対応が求められます」「見直しを進めることが必要です」「有効と考えられます」「更に議論することが適当と考えます」といった表現にとどまっている。

 とはいえ、これまでも政府の政策決定に大きな影響を及ぼしてきた提言であるから、少し時間をかけて読んでみようと思う。
 土日の宿題だ。