野球評論家の張本勲氏が出演したテレビ番組の中で、五輪女子ボクシングに関連して「女性でも殴り合い、好きな人がいるんだね。見ててどうするのかな。嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。こんな競技、好きな人がいるんだ」と発言。

 これに対して、日本ボクシング連盟は、TBSに対し抗議文を提出。
 「サンデーモーニング(令和3年8月8日放送)での張本勲氏のご発言について」
 女性及びボクシングを蔑視したというわけだ。

 何やってんだろうね。
 というか、こういうのを茶番と言うのだよ。

 今の若い人は知らないと思うが、張本氏は長嶋や王や金田や野村などと並ぶ偉大な野球選手だったんだよ。
 首位打者に7回もなっている。
 ヒットを2000本打てば大打者と呼ばれるが3000本以上打っている。これを上回るのはイチローだけ(日米通算で4000本)。
 引退したのは1981年シーズン。
 ということは、この年に生まれた人は今年40歳だ。
 私ら70歳以上は、全盛期をリアルタイムで見ているが、60歳以上だと晩年しか知らないか。
 そういう人。
 
 そして今は、テレビで問題発言することを仕事にしている人。

 テレビ番組、とりわけバラエティー番組では問題発言をする人が重宝される。
 当然、物事には限度というものがあり、空気を読み違えると番組を降ろされたり、テレビ業界から追放される。
 が、張本勲氏は、そのあたり実に巧みであって、1週間もすればみんながきれいさっぱり忘れてしまう程度の問題発言を定期的に繰り出す。
 まあ、テレビ側としては有難い存在だ。

 なので、「バカ言ってんじゃんねえよ」で済ませばいい話。

 が、今回面白いのは、日本ボクシング連盟がわざわざ抗議文を出して、火に油を注ごうとしたこと。
 と言うか、注目を浴びようとしたのかも。

 たしか日本ボクシング連盟は、数年前、連盟会長(当時は山根明氏)の助成金不正使用疑惑かなんかで派手な内紛を引き起こしたんじゃなかったかな。
 去年の今頃も人事でもめていたはず。
 そんな連中がよく言うぜ。

 でも、気持ちはちょっとだけ分かる。
 アマチュアボクシングが脚光を浴びるのは4年に一度だけなのだが、今回は入江聖奈選手が金、並木月海選手が銅と、女子選手が大活躍。
 世間の注目が集まった。
 そこに張本発言だ。
 ここは一枚嚙んでおこう。
 記者会見したり、抗議文の一つも出しておけば、マスコミも飛びついてアマチュアボクシング界のPRになる。
 そんなところだろう。

 さて、張本氏、来週はどんな問題発言をしてくれるやら。

追記:たしか以前に撮ったことあるよな、と探したら出てきた。ここがメダリスト並木月海選手を育てたボクシング道場。