本日は「よみうり進学メディア埼玉版」の取材のため埼玉県立草加南高校を訪問。
 取材対象は女子バスケットボール部。
 
 では、さっそく女バスの話、と行きたいところだが、顧問の先生に追加取材をしなければならないので、それが終わってから。
 今日のところは、草加市内の高校事情などを中心に書く。

 草加市は、さいたま・川口・川越・越谷・所沢に次ぎ、県内6位の人口を擁する都市である(約24万人)。
 これだけの人口を抱えるので公立高校も市内に4校ある。
 (私立高校はない)
 創立年順に。
 草加  1963(昭和37)年
 草加南 1976(昭和51)年
 草加東 1980(昭和55)年
 草加西 1983(昭和58)年

 という具合で、草加を除けば、いわゆる生徒急増期に作られた学校である。
 当時の呼び名で「新設校」なのだが、草加南もすでに45周年であるから、今どき、そんな呼び方をする人はいない。

◆いまいちパッとしない1976年組
 かつて私が勤務した川口北は1974年創立だ。同期には所沢北・越谷南などがある。
 翌1975年創立には熊谷西・川越南などがある。
 その後、地域の人気校となった学校たちだ。

 対して、草加南と同じ1976年組はどうかというと、大宮武蔵野・羽生第一・富士見など。
 うーん、いまいち特徴がつかみきれんな。
 草加南には外国語科があって、別棟の外国語科専用校舎があったりするのだが、それもどこまで知られているか。

◆交通の便の良さで市外流出多い
 一応私は市内4校すべてを訪ねている。
 埼玉県東部地区の交通に疎い方のために、東武スカイツリーライン(伊勢崎線)の駅を紹介しておこう。
 JR武蔵野線との乗り換え駅である「新越谷」から東京に向かって。
 
 新越谷→蒲生→新田→独協大学前→草加→谷塚

 と、ここまでが埼玉県で、次の「竹ノ塚」は東京都足立区。
 今日訪れた草加南は「谷塚」が最寄り駅(徒歩17分)であるから、もう東京は目の前なわけだ。
 東武スカイツリーラインは東京メトロ日比谷線・半蔵門線と相互乗り入れしているし、都内への通勤通学が非常に便利。
 なので、高校は都内となりやすい地域だ(場合によっては中学も)。

 市内に、進学実績が高いとか、スポーツが強いとか、そういった特徴的な公立高校があればいいが、そこまでの学校がない。
 つまり、市内の学力上位層や部活優秀選手にとって身近に選択肢がない。
 それで、都内へ、あるいは県内なら越谷や春日部などの公私立に流れる。
 私のいた川口北にも草加の子は結構来ていた(自転車通学)。

 せっかく24万人の人口を抱えながら、市内生を十分に取り込めていない。
 ここが残念なところだ。

◆普通科平均倍率をクリアできない
 草加市内4校の令和3年度入試最終倍率は次の通りだ(普通科のみ)。
 草加  1.04倍
 草加南 1.00倍
 草加東 1.12倍
 草加西 1.05倍
 というわけで、全県普通科平均1.15倍をクリアできた学校がない。

 ちなみに越谷市の公立は次の通りだ(普通科のみ)。
 越ケ谷 1.33倍
 越谷北 1.34倍
 越谷西 1.02倍
 越谷東 1.13倍
 越谷南 1.26倍
 越谷市は35万都市で、町の規模も違うが、各校ともまずまずの結果を残している。

◆人気上昇のために必要なこと
 これについては、練習取材後、教頭先生にたっぷり1時間ほど講義してきた(偉そうに)。
 なので、ここではざっくりと。
 
 知名度・認知度のアップ
 結局、募集というのはこれに尽きる。
 名前も知らない、中身もよく分からない学校が選ばれるはずはない。
 普段の買い物だって、聞いたことのない商品を買うのは不安でしょ。
 「やめとこう」となる。それと同じ。
 極論すれば、名前を知られていない学校は、存在しないのと同じ。

 自分らが思っているほど、世間には知られていない。
 どんなに有名校であっても、ここをスタートラインにしなければならない。
  
 選ぶ理由は学校側が示してあげる
 たとえば、草加南のパンフレットの冒頭。
 校訓、目指す学校像、教育目標が書いてある。
 
 「社会に貢献する人材を育成する」
 「組織的な生徒指導をすすめる」
 「進路指導を確立する」
 「地域に開かれた学校づくりを推進する」

 といった調子。これはあってもいい。と言うかなくちゃいけない。
 でもね。
 これって、主語が学校なわけだよ。
 県教委に報告する文書じゃないんだから。

 草加南が、あなた(受験生)にとって、どれだけ楽しい学校か、やりがいのある学校かを言わなくちゃ。
 同じページに校長の挨拶(メッセージ)が載っているのだが、むしろここに草加南を選んだ方がいい理由が書いてある。
 惜しい!
 だって、端から校長メッセージ熟読する人いないから。

 草加南に入ったら、あなたはこんな高校生活が送れますよ。
 草加南は、こういう人にとって最適な夢のような学園ですよ。
 という具合に、高校生活を想像できる(イメージできる)ようなことを書いてあげないといけないわけだ。
 それで初めて「あなたが主役」のメッセージになる。

 で、それを言っておいて、「まあ嘘だと思ったら、実際に学校に来てみてよ」となる。

 他にも説明会のやり方やら個別相談のやり方やら、いろいろ話したわけだが、それらはまた別の機会に。
 
 そうそう、バスケ女子部員が「うちの学校の女子の制服、とってもお洒落で、そのまま私服として着てもいいくらい」と自慢していた。
 「玄関の近くの廊下に飾ってあるから、見て行ってください」だって。
 まあ制服で決めていいのかという議論はあるだろうが、この、生徒たちのアピール力は先生方も参考にしたほうがいい。