8月25日、埼玉県教育委員会は「夏季休業終了後の県立学校の対応(緊急事態宣言期間中)」を発表した。
 

 主な内容は次のとおり。
 ▼児童生徒間の間隔を可能な限り2メートル確保する。
 ▼分散登校とオンライン学習の併用や短縮授業等を進める。
 ▼近距離で行う合唱や管楽器演奏、調理実習など、感染リスクの高い活動を中止する。
 ▼部活動は、平日のみ週2日・90分以内とし、校外活動は禁止する。(公式大会やコンクール等に出場する場合を除く)
 ▼泊を伴う修学旅行等は、延期又は中止とする

◆県立学校、部活動対応の推移 
 令和3年度4月以降の部活動についての対応がどう推移してきたかをまとめてみよう。
 県立学校の対応であるが、市町村立学校や私立学校もこれに準じた対応であると考えてよい。
 泊を伴う活動は、全国大会出場などの場合を除けば、一貫して禁止とされている。

 4月16日 感染対策を徹底した上で実施
 4月24日 GW2週間のうち7日以内2時間程度、校外活動原則禁止
 5月 8日 平日2日以内90分程度、校外活動禁止
 5月28日 平日2日以内90分程度、校外活動禁止
 6月17日 部活動に関する方針に基づく活動
     (平日は4日以内2時間程度、休日は土日どちらか3時間程度)
 7月 8日 部活動に関する方針に基づく活動
     (平日は4日以内2時間程度、休日は土日どちらか3時間程度)    
 7月30日 週4日以内、県外活動禁止 
 8月13日 週2日以内、校外活動禁止、県外活動禁止
 8月25日 平日のみ週2回90分程度、校外活動禁止

 以上のように、新年度新学期は「部活動は感染対策を徹底した上で実施」という状態でスタートした。
 この時期は、今年に入って唯一緊急事態もまん延防止も発令されていなかった時期だ。
 その後、まん延防止特別措置及びその延長もあり、5月GW中とそれ以後の活動が制限された。
 6月から7月にかけては、「部活動に関する方針に基づく活動」となり、制限はやや緩和された。
 しかし8月に入り緊急事態宣言が発令されるに至り、制限が強化された。
 今般8月25日の対応方針は、今年度では5月と並び最も厳しいものである。

 ちなみに昨年(令和2年)8月にも「夏季休業終了後の適切な部活動の実施について」という通知が出されているが、そこでは「平日が少なくとも1日、週休日は少なくとも1日以上を休養日とする」、「1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日は3時間程度とする」という内容だった。
 この点からも、1年前に比べて、かなり厳しい状況であることがわかる。

◆修学旅行対応の推移
 次に修学旅行について見てみる。
 
 4月16日 目的地の状況、生徒の心情等を踏まえ、保護者の十分な理解を得て、実施の可否を判断。
 5月 8日 同上。
 5月28日 同上。
 6月17日 同上。
 7月 8日 同上。
 8月25日 泊を伴う修学旅行等は、延期または中止。

 以上のように、「目的地の状況、生徒の心情等を踏まえ、保護者の十分な理解を得て、実施の可否を判断」としてきたが、初めて「延期または中止」という文言が現れた。
 この対応は、「緊急事態宣言期間中」とあるから、今のところ9月12日までの対応である。この間に修学旅行等を計画している学校はないと思われるので、実際には延期または中止となるケースはないだろう。
 ただ、緊急事態宣言が延長されたり、再々発令されるようなことがあれば、10月、11月に予定されている修学旅行に影響が出てくるだろう。旅行業者や宿泊先、交通機関との関係から、判断の先送りは許されず、早急に決定を下さなければならない。すでに今年度は中止と発表している学校もある。
 
◆分散登校、オンライン授業、短縮授業
 今年度に入ってから、授業に関しては「必要に応じて始業時刻の繰り下げ」という対応が示された程度なので、体育や音楽の授業などを除けば、ほぼ通常通り実施されてきたと思われる。
 しかし今回、「分散登校とオンライン授業の併用」、「始業時刻の繰り下げと短縮授業」という対応が示された。
 さらに、音楽の「合唱及び管楽器演奏」、家庭科の「調理実習」、体育の「密集する運動及び組み合ったり接触する運動」も中止となっている。

 今年(令和3年)1月の緊急事態宣言下では、部活動は原則中止とされたが、授業については「オンライン授業の活用」、「学校の実情に応じて始業時間の繰り下げ」、「必要に応じて短縮授業」となっていた。
 今回は、「実情に応じて」とか「必要に応じて」といった、但し書きはない。

◆今年度最悪、残るは臨時休校のみ
 昨日も書いたように、学校を取り巻く環境は今年度では最悪と言っていい。
 今年1月あるいは昨年の6月頃にほぼ並ぶような状態だ。
 
 残る対策はただ一つ。
 昨年のような臨時休業だけだ。

 個人としては、コロナ感染自体が危機的状況とは考えていないが、この際個人の感想などどうでもいい。
 学校及び学校教育を取り巻く環境が、最悪一歩手前だということだ。

 これまで「入試は予定通り」と考えてきたが、それも怪しくなってきた。
 杞憂に終わることを念じつつ、最悪シナリオについても考えておこう。