学校での端末利用状況について文部科学省が調査しているので、一応目を通しておくことにしよう。
A4判で実質3ページ、グラフ中心なので時間はかからない。
調査対象は全国1812自治体である。
小学校については19.791校、中学校については10.165校が対象となっている。
「端末利活用状況等の実態調査 (令和3年7月末時点) (速報値)」
◆端末利用開始は96%以上
小学校の96.1% 中学校の96.5%が全学年又は一部学年で利用を開始している。
一方、小学校の3.9% 中学校の3.5%は未だ利用を開始していないが、ほとんどは年内には利用開始予定となっている。
「せっかく配備したのに何をモタモタしてるんだ」という声もあろうが、配った瞬間からバリバリ使えるなんてことにはならないわけで、教育・学習活動の中で定着させて行くためには一定の時間を要するものだ。
メールを使えるとか、ネットで検索できるとか、そんなスマホレベルの利用を目指しているわけではあるまい。
つまりこれは、単なる通信端末ではなく、学習端末なのだ。
そして、学習端末として利用するということであれば、年間指導計画の中にきちんと位置づける必要がある。
どんなアプリを入れるか、使用ルールをどうするか。
そういったことをある程度時間をかけてやっておかないと、いずれ必ず問題が起こる。
「まずは始めよう。やってみなければ課題も見つからない」
それも一理ある。
私も個人としては、そっち系だから、気持ちは分かる。
たぶん私が現役教員だったら「能書き垂れてる時間があったら、とにかく使ってみようぜ」と主張したかもしれない。
だが、学校という組織全体で考えた場合は精神論だけで突っ走るのは危険だから、少なくとも現時点で予想しうる問題点については、対応策を講じてからという慎重姿勢があってもいいのである。
◆端末未整備自治体、埼玉県にはなし
自治体レベルで見た場合、96.1%が端末配備済みだが、3.9%(70自治体等)は端末未配備となっている。
調査では、具体的な自治体名を挙げている。
早くせよと、プレッシャーをかけているようである。
未配備の理由は、端末の需給状況の逼迫や必要な台数を整備する予算の確保ができなかった、などである。
たしかにパソコンが品薄という時期もあった。
個人が1台2台購入するのは訳ないが、まとまった数だと調達に苦労するということもあるだろう。
ただ、多くの自治体は今年中ないしは今年度中には配備を終える予定だ。
◆トップシェアは「Chrome OS」
端末は何を選ぶかは各自治体で議論されたところだと思うが、今回調査によると、OSのトップシェアはChrome OS(40.1%)で、その後はWindows(30.4%)、iOS(iPadOS、29.0%)と続く。
Chrome OSは、つまりはクロームブック。
私も安価なパソコンであるクロームブックが選ばれる可能性が高いと見て個人的に購入してみた。
セールで3万5千円ほどだったが、性能的には小中高校生が学習端末として使うなら、これで十分だと思った。
クロームブックやWindowsパソコンは、各メーカーから出ているので、価格競争も起こりやすい。
◆端末の持ち帰りは今後の課題
端末の持ち帰りについては、非常時と平常時に分けて聞いている。
非常時では、「実施できるよう準備済み」が64.3%、「準備中」が31.9%となっている。
オンライン学習への備えは、かなり出来てきたということか。
一方、平常時では、「実施している」が25.3%、「準備中」が51.0%、「実施・準備をしていない」が23.7%となっている。
家庭学習での利用も必要だが、iPadのようなタブレットならそれほどでもないが、パソコンとなるとそれなりの大きさと重さになるので、毎日持ち運ぶとなると結構大変だ。
まずは授業で使うことを優先すれば、基本は学校に置いておく。充電のこともあるから休日は持ち帰り。
毎日家に持ち帰っても、小学生は遊ぶのに忙しいし、中学生は部活や塾で忙しいから、家ではそんなに勉強しない。
30分かそこらの勉強のために毎日持ち帰る意味はあるんだろうか。
今は非常時に当たるから「なぜ持ち帰らさないのだ」となるが、平常時だったら「なぜ持ち帰らせるのだ」となるような気がする。
以上、感想である。
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