学校訪問したとき、生徒募集だとか大学進学だとかの目標が話題になる。
 まあ、こっちが聞くからだし、相手が管理職か募集責任者だから自然とそうなる。

 「来春の大学受験について目標はありますか?」
 校長「そうですね。国公立がもう少し増えてくれればと思っています」

 もう少し?
 私とあなたの「もう少し」は多分違うと思うから、数字で言ってくれないかな。
 「具体的な数字目標はありますか?」
 校長「進路部は最低でも30人と言っています」
 なるほど、今年25人だったから、たしかにあと少しだ。

 で、ここまではいい。
 さすがに数値目標を掲げていない学校はない。
 いや、あるかもしれないが数は少ない。

 さて、問題はここからだ。
 「そうした目標は関係者の間で共有されていますか?」
 校長「う~ん、多分できていると思いますが・・・」
 と、途端に歯切れが悪くなる。 
 だからね。ここ、ここなんですよ。
 集団の目標と言うのは共有されてナンボというやつで、共有されていない目標は、真の目標とは言えない。
 したがって達成される可能性は低く、仮に達成されたとしてもそれはただのラッキー。

 経験のない私が言うのも何だが、情報や目標の共有範囲を定め、それを徹底するのが管理職のお仕事。
 当然知っているべき立場の先生が「聞いてねえよ」じゃまずいだろう。

 学校は学年とか分掌とか教科とか、いろいろなセクションで成り立っているから、あらゆる情報をすべての先生が共有する必要はない。
 企業だって、総務や経理の人間は、今月の営業部の売り上げ目標を知らなくたっていいし、開発部の動向は社内にさえ知らせない。
 ここまで明確にセクション分けされていない学校という組織の場合、何かにつけて「聞いてねえよ」と文句たれるやつもいるが、「お前には関係ねえよ」ということだってあるわけである。
 だから、これはどこまでという共有範囲を判断し、その範囲での徹底を図ることが重要なのである。

 全員が共有すべきこと。
 関連ある者だけが共有すればいいこと。
 まずはこの切り分けでしょう。
 あとは、知りたい者は知れる状態にしておけばいい。
 もちろん一方では、知りたくても知れない状態(極秘)にしておくべきこともあるだろう。

 とにかく、私の見聞の範囲では目標が共有されていない学校が多い。
 と言うことは逆に、「共有」が適切に行われれば達成の可能性は飛躍的に高まるわけである。
 あとは徹底の方法だね。
 プリント配りました、メール流しましたも共有には違いないが、それで事が済むほど簡単じゃない。

 ところで。
 学校ではどうか知らないが、会社関係や個人だと最近は「シェアします」とか言ってくる輩が多い。
 こっちはシェアというと真っ先に浮かぶのが市場占有率だ。
 分配するという意味も昔からあった。
 
 ルームをシェアする。
 これは共同で利用するってことだな。
 昔はアパートなどで共同便所というのがあった。
 つまりシェアトイレ。
 どっかに似た言葉あるな。

 っま、このあたりまでは付いていけるが、SNSなんかで他人の投稿や写真を引用したり拡散したりするのも「シェアする」って、言うんだって。
 これが「共有」に一番近い使い方かな。
 そう言えば、スマホやPCに共有ボタンっていうのがあるし。
 
 そんなこんなで若い人の間で「情報をシェアする」「目標をシェアする」が幅を利かせるようになってきたが、私は年寄りであるから、「目標を共有する」の方がしっくり来る。