本日は埼玉県公立高校受験生向けの情報である。
と言っても、受験生がこのブログを読んでるとは思えないので、もし有益な情報だと判断されたら、先生方の方から受験生にお伝え願いたい。
少し前だが、埼玉県教育委員会から「令和4年度埼玉県公立高等学校入学者選抜学力検査 採点に関する原則」(11月30日)が発表されている。
例年通りの内容であるが、この中に「部分点」に関する記載がある。
その中で、今回取り上げるのは、次のような記載についてだ。
「各教科の『採点の手引』の『採点上の注意』に『部分点を認める』と示した問題以外の問題についても、各学校の裁量で部分点を認めてもよい」
諦めず、粘って部分点を取りに行こうとは、よくあるアドバイスだ。
むろん、その通り。
だが、この場合、部分点を取りに行く対象が、『部分点を認める』と示された問題だけに限定されていたとしたら、それはちょっと違う。
県の発表にあるように、それ以外の問題でも部分点が認められる場合があるのだ。
各学校の裁量とあるところから、幅広く認める学校から、ほとんど認めない学校までさまざまだろう。
どの教科のどの問題が対象になるかも学校によりけりだ。
が、その点は差し置いても、可能性としてかなり多くの問題が部分点の対象となる。
前年度(令和3年度)データで確認してみよう。
なお、部分点が与えられたかどうかは、統計データに「一部正答」の人数や割合が記されているかどうかで判断できる。
太字の問題は、元々「採点の手引き」に「部分点を認める」と示されていた問題である。
【国語】
大問1 問3 問4 問5
大問3 問2 問3 問5
大問4 問1 問2
大問5(作文)を別として、「採点の手引き」で「部分点を認める」と示されていたのは4問だったが、実際にはさらに4問で部分点が認められたケースがあった。
(大問1問3)は記述だから、あり得ることだ。
(大問1問5)と(大問3問2)は、適切なもの、ないし適切でないものを二つ選ぶ記号選択問題でセットで得点(正解)となることが想定されているが、どちらか一方でも部分点を与えた学校があったと推定される。
【社会】
大問1 問2 問3 問4
大問2 問1 問4 問5
大問3 問2
大問4 問2 問4 問5
大問5 問3 問4
大問6 問2 問3
元々は6問であったが、さらに8問で部分点が与えられたケースがあった。
(大問4問4)は年代並べ替え問題なので、どのように部分点を与えたのか分からない。ただし1件のみである。
それ以外は、セットで得点(正解)のところ、一方だけ出来て部分点を与えた学校があったということだろう。
【数学】※学力検査
大問1 (7)(13)(16)
大問2 (1)
大問3 (1)(2)
大問4 (1)
元々は4問であったが、さらに3問で部分点が与えられたケースがあった。
いずれもセットで得点(正解)が想定されていた問題である。
【理科】
大問1 問7
大問2 問1 問4 問5(2)
大問3 問1 問2 問3 問4
大問4 問3 問4
大問5 問1 問5
元々は4問であったが、さらに8問で部分点が与えられたケースがあった。
(大問2問5(2))と(大問5問1)は作図問題である。
【英語】※学力検査
大問1 NO7(1) NO7(2) NO7(3)
大問2 A B C D
大問3 問1 問4
大問4 問3 問4 問6 問7 問8
大問5 問3
記号(一つ)で答える問題以外は、部分点が与えられたケースがあった。
ほぼ傾向が分かったので、数学・英語の学校選択問題は省略。
結論。
「採点の手引き」で「部分点を認める」と示されていなくても、部分点が認められる場合がある。
実例としては、両方出来て得点(正解)が想定されている問題で片方が出来た場合が多い。
記述(論述)や作図でも「部分点を認める」と示されていなくても、認められる場合がある。
さて、このデータを踏まえて、受験生をどのように指導するか。
それは塾や中学校の先生方のお仕事であるが、個人的にはやはり完全なる解答の追求が第一となるように思う。
おそらく上位校ほど厳格な採点が行われているだろう。
受験生に優しい緩い採点を行っているのは下位校である可能性が高い。
しかし、当初から部分点を認める方針の問題であれ、結果として部分点が与えられた問題であれ、最善でなければ次善を求める姿勢は受験生に欠かせないものである。
粘れ。諦めるな。
そういうメッセージとして使えるなら、それなりに意味を持つデータであろう。
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