大学入試センターは26日、新型コロナ感染により大学入学共通テストを受験できず追試験が認められた受験生は全国で211人、また、濃厚接触者になったことで追試に回るのは252人であると発表した。
 コロナ関連でまとめれば合計463人である。
 
 大学入試センター プレス発表資料より

 本ブログ読者の多くが学校や塾の先生方なので先刻ご承知のはずだが、そうではない読者の皆様のために、ここで大学入試共通テストについて概略を紹介しておこう。
 大学入試の種類は大きく3種類ある。
 ここではさしあたり国公立大学を念頭に置くが、「総合型選抜」、「学校推薦型選抜」、「一般選抜」の3種類だ。
 「総合型選抜」、「学校推薦型選抜」というのは、一昔前は推薦入試、AO入試などと呼ばれていた。

 話題になっている「大学入試共通テスト(以下、共通テスト)」は、このうち「一般選抜」に関わる試験だ。
 「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」は「共通テスト」と無関係というわけではないが、話が面倒になる。
 だから、「一般選抜」に関わる試験ということにする。

 国公立大学を志望し「一般選抜」を受ける受験生は必ず「共通テスト」を受けなければならない。
 しかし、これだけで合否が決まるわけではなく、この後、各国公立大学は個別の試験を行い、その結果と「共通テスト」の合計で合否を決める。
 分かりやすく言えば、「共通テスト」が一次試験、大学ごとに行われる試験が二次試験というイメージになる。
 なお、国立大学は二次試験に相当する大学ごとの試験を2回(前期・後期)を行う。

 日本全体では国立大学が82校、公立大学が93校ある。
 これらを希望する受験生は、前述したように全員が「共通テスト」を受ける。
 が、実はそれだけではない。
 私立大学を希望する受験生も「共通テスト」を受けている。
 なぜなら、私立大学の多くが、数ある入試区分(入試方法)の中に「共通テスト利用入試」というものを設けているからだ。
 そこで、私立大学の「共通テスト利用入試」を受けようとする受験生は、国公立大学希望者と同様、「共通テスト」を受けている。
 ただしこの場合、5教科7科目を全て受けるケースより、3教科やそれ以下の場合が多い。

 ということで、「共通テスト」を一般選抜に利用する大学は、国立82大学、公立93大学に、私立533大学を加え、合計708大学となる。
 このようなスケールのテストであるから志願者も非常に多く、今年度は53万367人であった。

 で、ここでコロナ感染の話に戻る。
 「共通テスト」実施直前になって、文部科学省がコロナ感染により「共通テスト」を受けられなかった受験生には、個別試験だけで合否判定を可能にするよう全国の国公私立大に要請した。
 つまり救済策だ。
 当然だが、テストが数日後に迫ったタイミングでのルール変更案には異論反論が噴出した。
 これに対し私は、コロナ感染で受けられなくなる受験生が大量に発生するとは考えにくく、それを見越した文部科学省の判断だろうと書いた。
 「文部科学省、共通テストなしでの合否判定を各大学に要請」(1月11日)
 この見立てが当たっているかどうかは分からない。
 が、今回50万人超の志願者の中で、コロナ感染及び濃厚接触により追試(29,30日)受験を認められたのが計463人、その他の体調不良等で追試を認められたのが1658人である。
 今週末の追試を463人全員が受けられるかどうかは分からないが、この2週間で回復者もいるだろうから、本試験も追試も両方受けられないという受験生はさらに減るだろう。
 
 今年の「共通テスト」本試験は例年になく難しかったと言われるので、そこでまた有利不利の話が出てくるだろう。
 だが、全体から見れば、コロナの影響をもろに受けた受験生は僅かであるから、仮に「共通テスト」なしの合否判定となっても、この程度は許容範囲と考えていいのではないか。