受験生へのアドバイスに「倍率は気にするな」というのがある。
その通りだと思う。
つまり、今は悩んでいる時間ももったいない。それよりも1点でも2点でも多く取るために勉強に集中した方がいい。
ただ、そうは言っても倍率がまったく気にならない受験生などいない。
気にするなと言われても、はい分かりましたとはならないのである。
いま現在埼玉県公立入試において、もっとも新しい倍率情報は1月13日に発表された第2回進路希望調査であるが、昨年12月15日現在のものである。
あれから1か月半経過した。
その間に公的なテストや模試もあっただろうし、説明会・個別相談も行われただろう。私立高校入試もあった。
だから、もし仮に今日の時点で調査したら、第2回進路希望調査とはかなり違った倍率になっているはずだ。
しかし、実際に各校倍率がどのようになっているかは誰にも分からない。
いま出来ることは、過去の傾向からだいたいの予測をはじき出すことくらいである。
埼玉県公立入試について、次に倍率が出るのは、出願(願書提出)が終了した2月15日である。
この後、志願先変更期間があり、そこでまた倍率は変動するが、第2回調査から出願にかけての変動ほどではない。
第2回調査で高倍率であった学校は、次の出願の段階では大幅に低下するだろう。
前年度(令和3年度入試)だと、第2回調査で2.90倍だった市立川越は、出願時には1.64倍に低下した。
2.42倍だった川口市立も1.81倍に低下した。
まあ、この2校は極端な例だが、0.3ポイント程度下がるのはよくあることだ。
◆倍率下がっても楽な入試にはならない
さて、今日はここからが大事な話だ。
倍率が下がっても楽な戦いにはならず、むしろ厳しい戦いになるという話だ。
倍率が下がっているのに、なぜ厳しい戦いになるのか。
それは、初期の倍率は本気度がそれほどでもない人達も加わったものであるのに対し、最終の倍率は本気度高めの人達のみによる倍率だからである。
第1回から第2回、第2回から出願という流れの中で、「どうしてもこの学校でなければ」という本気度低めの人達は離脱して行く。
また、「成績的には無理かもしれないが、目標は高めに」と考えていた人達も現実的に考えるようになり離脱して行く。
で、最終的に「どうしてもこの学校に入りたい」という本気度高めの人達と、「成績的にも何とか行けるんじゃないか」という実力高めの人達が残る。
だから、数字だけ見ると初期の倍率の方が高く一見厳しそうだが、中身をよく確かめれば、低めに出ている最終倍率の方が厳しい戦いであることを示している。
というわけであるから、倍率が下がったことでホッとしてはいけない。
周りの余分なものが取り除かれ、本来の姿が見えてきた。そんなイメージだ。
別に受験生を脅かそうという意図はない。
見た目の数字で錯覚をしないようにということだ。
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