新年度を迎え、公私立各校は学校案内パンフレットやポスターの制作に取り掛かっているところだろう。
いずれ紙のパンフレットは作らない時代が来ると予想されるが、当面はこれ無しの募集活動は考えにくいだろう。
進学フェアなどではパンフレットコーナーがある。
ご自由にお取りくださいというやつだ。
ここに何も置かないというのはちょっと不安だ。
学校説明会に来てくれた受験生・保護者に何も配るものがないのも不安だ。
より詳しい情報がWEBサイトにあるわけだが、「えっ、この学校パンフレットもないの?」と、手抜きをしていると思われるのも癪だ。
塾や中学校訪問などに手ぶらで行くわけにもいかない。
タブレットがあれば説明はできるが、紙の方が話が早い場合もある。
ポスターを貼ってもらうのも意外と効果がある。
ということで、今のところはなかなか強力なツールではあるのだ。
日々更新するWEBサイトと機能・役割を分けながら、上手に使おう。
◆制作は遅くとも6月までに
制作完了は早ければ早いほどいい。
使える期間が長くなるからだ。
できれば5月中には完成させたいが、遅くとも6月には使える状態にしたい。
募集活動の期間は12月までである。
せっかく作ったのであるから半年は使いたい。
◆部数は多めに
多く作り過ぎて、余してしまうのはもったいない。
残部は後で廃棄することになるが、今はそういうことにうるさい時代だ。
いつどこで誰が見ているか分からない。
廃棄は慎重に。
途中で足りなくなり増刷するのは一番まずいやり方だ。
最初から5千部作るのと、最初4千部で後から1千部増刷するのとでは、後者の方が圧倒的に費用がかかる。
余してしまうのもリスクだが、費用的なことを考えたら、やや多めに刷っておくほうがよい。
◆表紙がすべて
最初に述べた自由にお取りくださいのような場面を想定した場合、表紙の役割が大きい。
知名度抜群の学校なら、探して取っていってくれるから、それほど表紙にこだわる必要はない。
いろいろな学校を見てもらえば分かるが、有名校は割と地味な表紙であることが多い。
だが、知名度が十分とは言えない学校は、パンフレットコーナーが重要な出会いの場であるから、思わず手にしてしまうようなものを作りたい。
よく学校名を大きく目立つようにして欲しいと言う人がいるが、知名度がないのだから校名を目立たせたって意味がない。
かっこいいデザイン、きれいなデザイン、中身を見てみたい衝動にかられるデザイン。
勝負はデザイン力である。
ありふれた校舎の写真、先生と生徒の記念写真。
まあ、作るのは簡単だが、これでは手にしてもらうことはできない。
私は本の出版に関わっていた時期もあるが、本の売れ行きのかなりの部分はタイトルと表紙デザインにかかっている。
本の外側のデザインを専門とする「装丁家」という職業があるくらいだ。
◆賞味期限切れを配っていいのか
最近は減ってきたが、早い時期の進学フェアなどでは新年度版の制作が間に合わず、前年版を配っている学校がある。
事情は察するが、本来廃棄すべき賞味期限切れの商品を配っているようなもので、お客様に対して失礼である。
学校イメージを損なうことにもなる。
パンフやポスターの制作には2か月程度はかかる。
4月新学期は多忙である。
そしてあっという間に連休に入る。
この時期は官公庁や企業の印刷需要も多く、印刷会社も忙しい。
といった事情を考え、逆算すると、2月か3月のうちに制作に取り掛かかったほうがいい。
今年は仕方ないが、次年度からはそのように計画してほしい。
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