個別相談では何を聞いたらいいですか?
 こんな質問が、受験生や保護者からよく寄せられる。
 
 別に聞いてはいけない話があるわけではないし、これを聞けば合格に結び付くといった質問もないので、変に構えず、聞きたいことをストレートに聞けばいいですよ。
 先生は、仕事柄とんでもない質問には慣れっこだから、安心して聞いて大丈夫ですよ。
 とまあ、これが受験生や保護者に対する一般的な回答である。

 で、これは受験生、保護者側から見た個別相談の話。

 ここからは、学校サイド、先生サイドから見た個別相談の話だ。
 個別相談は生徒募集という観点から見た場合、説明会と並び欠かせないプロセスである。
 
 できれば「100%出願に結び付く個別相談」でありたい。
 実際のところ100%はあり得ないが、かける時間と手間を考えれば、割合は少しでも高い方がいい。
 というわけで、コロナが終息しリアル教員研修が復活したら、これをやってみようと思い準備中だ。
 独りよがりになってはいけないので、コミュニケーション研修のプロと定期的にミーティングを開き、さまざまな角度から検討している。

◆個別相談はハイレベルな戦い
 生徒募集のシーンにおいて、個別相談はプロ同士のハイレベルな戦いとなる。
 まずそのように定義する。

 先生方は児童生徒とのコミュニケーションに長けている。
 相談されることに慣れている。
 アドバイスすることに慣れている。
 
 私は、はるか昔に教職を離れているので、今はまったく自信がないが、現役時代だったら、自信満々だったと思う。
 だが、ここから出発すると、思わぬ落とし穴にはまる。

 進学フェアなど合同の入試イベントの場合で言うと、受験生・保護者は30分前に別の学校(ブース)で個別相談を受けてきており、30分後にはまた別の学校(ブース)で個別相談を受けるのである。
 先生方はプロとして自信を持っておられるだろうが、あっちのブースにいるのもプロ、こっちのブースにいるのも同じくプロである。
 だから、こうしたイベントでの個別相談は、きわめてハイレベルなプロ同士の戦いとなるのである。

 学校が主催する説明会でも同じことだ。
 先週行ってきた学校にも、来週行く予定の学校にもプロはいるのだ。
 今日は上手くいったと自画自賛している場合ではない。
 ライバルより上手くいったかどうかが問題なのだ。

◆授業と個別相談の違い
 先生方が日々学校で行っている授業や面談は教育(活動)である。
 対して、生徒募集シーンにおける個別相談は、非教育的な活動である。
 非教育的というと聞こえが悪いが、この場合、非教育というのは、教育以外のとか、教育とは性格が異なるといった意味である。

 よって、教育活動で培った経験は必ずしも役に立たない。
 必ずしもそうとは言えない部分はあるが、とりあえずそのように考えてみる。

 これは接客業務である。
 これは営業活動である。
 これは販売活動である。
 そういう発想が求められる。

 という話をすると、学校や先生には必要ないと仰られる方もいるだろうが、それはそれで結構だ。
 個別相談を出願に結び付けたいと望んでおられる方だけに伝えているのだ。

 ここまで整理すれば、先生(教育者)としての矜持は維持しつつも、本来業務である教育活動とは一線を画した別業務であると考えるべきだということだ。
 次回【後編】に続く。