本日は埼玉新聞社の取材に同行し、浦和商業に行って来た。
 この学校の授業取材は5年ぶりだ。

 JR浦和駅から徒歩15分。
 と、学校側では言っているが、年寄りの私だともう少しかかる。
 武蔵野線・埼京線の武蔵浦和駅の方が近いだろう。

◆生徒募集では苦戦続く
 近年はどこの商業高校でも同じような傾向だが、商業科が人気薄で、情報処理科の方が人気が高い。
 同校も、今春(令和4年度)入試では情報処理科は1.14倍を記録したが、商業科は情報処理科からの第二志望合格を含めても定員に届かず、欠員募集(5人)を行った。
 
 大企業は、かつてのように高卒女子を大量採用することがなくなった。
 大学進学率も高まっている。
 特に女子の伸びが顕著だ。
 というわけで、就職を売りにしてきた商業高校は、なかなか厳しい状況に置かれているのである。

◆人気回復策はないのか
 何か有効な人気回復策はないのか。

 同校に限って言えば、人口の多いさいたま市中心部に位置している点が大きなメリットだ。
 冒頭書いたようにアクセスも非常によろしい。
 京浜東北線・高崎線・宇都宮線・武蔵野線・埼京線の5路線が使える学校なんて、そうそうあるものではない。

 商業科単独の学校もあるが、ここには情報処理科もある。
 したがって、商業科に入っても情報処理科の科目も学べ、かつ情報系の資格も取れるという点を強く打ち出していけば、受験生からの見え方も違ってくるだろう。
 また、「商業高校=高卒就職」は昔の話で、商業高校から大学進学への道も開けていることをもっと強くアピールしてもいいだろう。
 高校の先生方や塾の先生方にとっては、今どきの商業高校が「=高卒就職」ではないことは常識だが、世間のイメージは必ずしもそうではない。

 当たり前のことが意外に伝わっていない。
 学校広報担当者は、常にこのことを意識しなければなるまい。
 
 大学進学も視野に入れるなら普通科。
 商業など専門高校に進めば就職しかなく、大学への道が閉ざされる。
 こんな風に考えている受験生や保護者は結構多いものだ。
 もちろん大学進学の場合、一般入試ということはほとんどなく、指定校推薦となるが、それは普通科でも同じことだ。

 資格を取ればそれだけで一生食っていけるというものではないが、あれば有利なのは確かだ。
 同校では、1級資格を3つ以上取ることを推奨しているという。
 「1級資格3つ以上を70人」というのが当面の学校としての目標だが、達成率50%近くまで来ているという。

◆これこそ商業高校の授業だ
 授業をいくつか見て回った。

 ある教室では、キーボードをブラインドタッチで早く正確に打つ練習をしていた。
 パソコンに触れた最初の段階で、やっておくといいね。
 これだけで大人を驚かすことができる。

 ある教室では、黒板に「限界効用逓減法則」などと書かれていた。
 大学で経済学部の1年生が学ぶミクロ経済学の基本知識だ。
 言葉を知っているだけで、親もビックリだろう。

 極めつけは、これかな。
 30秒ほどの動画なのでぜひ見てほしい。
 校長先生から、見学するなら授業が始まる前に教室に行っておいたほうがいいと言われた理由が分かった。