埼玉県高校入試。本日は学校規模と生徒募集(倍率)について。
どちらかと言うと私立高校目線の話となるだろう。
また、主に普通科中心の分析となる。
◆160人以下の小規模校はほぼ定員割れ
現在、普通科のみの学校としては120人定員の妻沼が最小規模である。
妻沼は前年入試で募集119人に対し受検者119人、全員合格で辛くも欠員募集を免れた。
越生は普通科と美術科(40人)を合わせて120人定員。
越生は前年入試で、美術科は1.00倍ちょうどだったが、普通科は33人の欠員募集を行った。
160人定員の学校は12校ある。
このうち、上尾橘・岩槻北陵・桶川西・北本・庄和・白岡・羽生第一・日高・八潮・和光の10校は普通科のみ。
鳩山は情報管理科(40人)、鴻巣女子は保育科(40人)と家政科学科(40人)を合わせて160人定員。
前年入試で欠員募集を免れたのは羽生第一のみ。その羽生第一も募集159人に対し受検者163人、合格者163人で、ぎりぎり定員割れを免れた状況だ。
庄和は前年の200人から160人に減らしたので、前年並みの受検者数であれば定員割れは回避できる。
これら12校のうち、岩槻北陵・鳩山・八潮・和光の4校は、すでに統合計画が発表されている。これ以上規模を縮小することは難しいので、残る8校は次の統廃合候補となるだろう。
◆200人規模も3分の2が定員割れ
200人規模の学校は16校ある。
このうち、上尾鷹の台・小川・川越初雁・栗橋北彩・狭山清陵・秩父・鶴ヶ島清風・新座・新座柳瀬・蓮田松韻・深谷・富士見・三郷・宮代の14校は普通科のみ。
ふじみ野はスポーツサイエンス科(80人)、松伏は音楽科(40人)と合わせて160人定員。
前年入試で定員を満たしたのは、上尾鷹の台(1.05倍)・狭山清陵(1.12倍)・秩父(1.04倍)・鶴ヶ島清風(1.01倍)・新座柳瀬(1.11倍)・ふじみ野(普)(1.04倍)の6校で、それ以外の10校は定員割れで欠員募集を行った。
前年入試で定員割れだった10校のうち、富士見は240人募集で受検者225人だったので200人募集なら定員割れは回避できそうだ。
小川・川越初雁・栗橋北彩・新座・深谷・富士見・宮代の7校は前年、10~15人程度の欠員募集を行っていることから、前年比プラス10%前後の受検者数増があれば、定員割れを回避できそうだ。
蓮田松韻・三郷は、ワンサイズ小さい160人募集だったとしても定員割れであり、非常に苦しい。
◆240人規模から定員割れは減少
240人規模の学校は9校ある。
統合により新校となる飯能と児玉を除けば7校だ。
7校のうち、上尾南・大宮武蔵野・志木・草加西・三郷北の5校は普通科のみ。
大宮光陵は芸術系3科(120人)、八潮南は商業科(80人)と情報処理科(80人)を合わせて240人定員。
7校のうち上尾南(1.03倍)・大宮武蔵野(1.04倍)・志木(1.07倍)・草加西(1.04倍)・三郷北(1.01倍)の5校は何とか定員を満たした。大宮光陵は普通科は1.15倍だったが、外国語コースで4人の欠員募集を行った。八潮南は普通科が募集79人に対し受検者78人、合格者78人で欠員募集1人だった。
以上から、240人規模あたりが定員を満たすか、定員を割るかの境目であることが分かる。
◆280人規模、例外は市立川越
280人規模の学校は13校ある。
このうち、桶川・川口青陵・川口東・久喜・越谷東・杉戸・深谷第一・鷲宮の8校は普通科のみ。
春日部女子は外国語科(40人)、鴻巣は商業科(80人)、草加南は外国語科(40人)、鳩ヶ谷は園芸デザイン科(40人)と情報処理科(80人)、市立川越は国際経済科(70人)と情報処理科(70人)を合わせて280人定員。
13校のうち、越谷東が1人、鷲宮が7人の欠員募集を行ったが、それ以外の11校は定員を満たした。
ただ、倍率を見ると、市立川越(1.46倍)、鳩ヶ谷(1.24倍)・深谷第一(1.13倍)を除けば、1.1倍を超えた学校はない。
◆320人規模から高倍率校が増加
320人規模の学校は25校ある。
ここからは、学校選択問題採用校など上位進学校と目される学校が登場する。
倍率が0.1ポイント上がるごとに30数人の不合格者が出る計算なので、併願受験者の取り込みを狙う私立高校にとって、動向が気になるところだ。
25校のうち、朝霞・入間向陽・浦和北・浦和東・川口・川越西・熊谷・熊谷女子・越ヶ谷・越谷西・坂戸・坂戸西・草加東・所沢中央・豊岡・本庄・松山女子・市立浦和・浦和南の19校は普通科のみ。
岩槻は国際文化科(40人)、大宮東は体育科(80人)、熊谷西は理数科(40人)、松山は理数科(40人)、和光国際は外国語科(80人)、大宮北は理数科(40人)を合わせて320人定員。
25校のうち、朝霞・岩槻・大宮東・川越西の4校が定員割れで欠員補充を行った。岩槻以外の3校は臨時定員増(+40人)の影響があっただろう。
倍率を見ると、市立浦和(2.06倍)を筆頭に、浦和南(1.45倍)、和光国際・普(1.42倍)、越ヶ谷(1.34倍)など全県トップレベルの高倍率校が出てくるほか、浦和東(1.26倍)、入間向陽(1.23倍)、豊岡(1.20倍)といった1.2倍超えの学校も出て来る。
1.10倍に満たない学校の方がむしろ少ないくらいで、熊谷(1.09倍)、熊谷女子(1.08倍)、大宮東・普(1.08倍)、草加東(1.07倍)、松山女子(1.07倍)、坂戸(1.06倍)、坂戸西(1.04倍)、松山・普(1.00倍)の8校しかない。
◆360人規模からは大量の不合格者
360人規模の学校は23校ある。
400人の川口市立、720人の伊奈学園を別格とすれば、360人定員が最大規模である。
大規模かつ、高偏差値、高倍率。
私立から見た併願のターゲットは320人規模と360人以上規模にしか無い。
23校のうち、朝霞西・浦和・浦和一女・浦和西・大宮南・春日部・川口北・川越・川越女子・川越南・草加・所沢・所沢西・不動岡・与野の15校は普通科のみ。
上尾は商業科(120人)、大宮は理数科(40人)、春日部東は人文科(40人)、越谷北は理数科(40人)、越谷南は外国語科(40人)、所沢北は理数科(40人)、南稜は外国語科(40人)、蕨は外国語科(40人)と合わせて360人定員。
前年入試では23校すべてが定員を満たした。
普通科倍率をまとめてみよう。
▼1.5倍超
浦和西(1.54倍)
▼1.4倍超
蕨(1.47倍)
大宮(1.44倍)
越谷北(1.43倍)
浦和一女(1.42倍)
所沢北(1.42倍)
川越(1.41倍)
川越南(1.40倍)
▼1.3倍超
越谷南(1.39倍)
川越女子(1.33倍)
南稜(1.30倍)
▼1.2倍超
所沢(1.29倍)
浦和(1.26倍)
春日部(1.24倍)
川口北(1.24倍)
不動岡(1.22倍)
与野(1.22倍)
▼1.1倍超
朝霞西(1.11倍)
大宮南(1.10倍)
▼1.1倍未満
所沢西(1.08倍)
上尾(1.05倍)
春日部東(1.04倍)
草加(1.03倍)
参考までに400人規模の川口市立は普通科(280人定員)1.81倍、720人規模の伊奈学園は1.18倍である。
規模が大きく高倍率であれば、その分だけ不合格者が増える。
360人規模であれば、1.2倍で72人、1.3倍で108人、1.4倍で144人、1.5倍で180人の不合格者が出る計算だ。
前年入試(普通科)では、実受検者3万707人に対し合格者(入学許可候補者)は2万6515人であるから、差し引き4192人の不合格者が出ている。
このうち、2586人(61.7%)は360人規模校(川口市立・伊奈学園含む)から出ており、1250人(29.8%)は320人規模校から出ている。
合わせれば3836人(91.5%)が320人規模校と360人以上規模校から出ているわけである。
まとめると。
200人以下の小規模校は定員割れまたは低倍率であるから、受験者がほぼ全員合格してしまうので、併願私立に回って来る可能性はない。
240人から280人の中規模校は定員割れこそしないが倍率は低く、不合格者も少ない。また、学力的にも私立が求める層とは言い難い。
320人から360人以上の大規模校は、高倍率なる可能性が高い。また、学力的に見ても偏差値60~70の学校はすべてここに含まれ、偏差値50以下の学校はきわめて少ない。私立が求める層は大規模校受験者の中にしかいない。
倍率が出るのは320人又は360人以上の大規模校であり、定員割れするのは200人以下の小規模校であることがハッキリしている。
間に挟まれた240人から280人の中規模校は、徐々に定員を減らし小規模校に向かうだろう。これにより二極化はさらに顕著になる。従来、この規模の学校からの「併願の戻り」を期待していた私立は、二度と元の状況に戻ることはないので、早急に戦略の見直しを図ったほうがいい。
コメントを残す