地方紙の小さな記事がYahoo!ニュースに取り上げられて、それなりに読まれましたという話。
 西日本新聞の記事である。

 冒頭で地方紙と書いたが、西日本新聞は、より正確には地方紙ではなくブロック紙と言うべきかもしれない。
 埼玉新聞のように発行エリアが一県に限定されているのが地方紙だが、西日本新聞は福岡県をメインにしながらも長崎・熊本・佐賀などに周辺にもエリアが広がっているからブロック紙。

 二本の記事内容はどちらも同じような内容だ。

内申点アップの「反則技」⁉ 塾で中学定期テスト過去問指導 識者「本当の学力身に付かない」(西日本新聞)

塾「実績への企業努力」教員「問題作り替え限界」 塾で中学テスト過去問指導(西日本新聞)

 塾が中学校の定期考査対策を行うのはごく普通のことだが、その際、当該中学校の過去問を用いていることを取り上げている。
 これもまあ、当たり前のことで、それのどこが悪いのという話だが、最終的には「不公平だ」に持って行こうということなのか。
 あるいはまた「(公立)中学校の先生は怠慢だ」の方なのだろうか。
 人々が「不公平だ」「けしからん」という書き込みをするような記事を書くことがPV(ページビュー)を稼ぐコツだから、その点ではまあまあよく書けていると言っていいだろう。

◆民間企業として当然の行動
 昨日の話の続きみたいになるが、塾は「点取り用勉強」の指導に特化した民間企業であるから、法を犯さない範囲であれば、どんな指導をしても自由である。
 学校教育の中では好ましくないと思われる内容や方法であっても、「点取り用勉強」として最適であれば、何でも許される。

 あらゆる試験(学力試験)において最強の勉強法は、過去問学習だ。
 入試学力検査の対策として過去問をやる。
 調査書(内申書)につながる学校の定期考査対策として、その学校や先生の過去問をやる。
 埼玉県に限定すれば、確約につながる業者テスト対策として過去問をやる。

 受験勉強は過去問に始まり過去問に終わると言ってもいいほどで、過去問抜きの受験対策などあり得ない。
 よって、合格請負業である塾が、過去問学習を取り入れるのは当然のことである。
 もちろん、うちはそういう指導はしないのだというのも自由。

◆元教員の立場から
 重点ポイントをはずさず、授業に則した内容で、かつ完全オリジナルの定期考査問題を作るのは極めて難しい作業だ。
 古い話でよく覚えていないが10年はかかったかな。
 年度によって教科書が違ったり、進度が違ったり、生徒のレベルも違ったりするから、同じ問題の使い回しは無理だな。
 ただ、理解して欲しい内容はそうそう変わるものではないから、いつ誰が作っても結局似たようなものになる。

 学校の先生が、過去問対策が奏功しないようになどと考えるのは邪道であろう。
 予想をはずすような問題は作るべきではない。
 生徒が出そうだと予想するような問題は、必ず出してやる。裏切らない。
 少なくとも自分はそのようにやって来たと思っている。

 それじゃ、みんな出来ちゃうじゃない。
 って、そうじゃないんだな。
 さんざん予告した上で出したって、ちゃんと差が出る。
 テストというものは、そういうものだ。

 だから、塾に行っている人と行っていない人とで不公平という声が上がるんだったら、学校で生徒全員に過去問を配ってしまえばいい。
 
 そんなことしたら塾のセールスポイントが失われる?
 いやいや、塾をなめちゃいかんよ。
 そうなったらそうなったで、別の「売り」を考えるから大丈夫だ。
 そうやって何十年も生き抜いてきたんだから。

◆むしろ心配なのは著作権
 最初に、塾は法を犯さない範囲でどんな指導をしても自由だと書いたが、むしろ心配なのは著作権の方だ。
 
 あくまでも一般論だが、試験問題全体は著作物(編集著作物)と考えられており、保護の対象となっている。
 だから、塾が作成者である先生の許可を得ず勝手にコピーして配ったら、著作権(複製権)の侵害になっている可能性が高い。
 (なお、ご存知と思うが、特許や商標などと異なり、著作権は登録制ではない。作った時点で作った人に発生する)

 個人塾などでありそうなのが、市販の問題集などをコピーして配布することだが、これも著作権法に違反している可能性が高い。
 仮に訴訟でも起こされたら、勝ち目は少ない。
 まあ、規模が小さく、取れる使用料も少ないので、訴訟費用の方が高くなるから黙認しているのだろう。

 子供を指導する立場にあるのだから、見つからなきゃいいだろうという態度はよろしくない。
 その点だけ考えて欲しい。