今日は越谷総合技術高校に行って来た。
 「よみうり進学メディア」(埼玉版6月号)で専門学科を特集する。
 そのための取材だ。

◆入試情報のラビリンス
 「よみうり進学メディア」は県内全公立中学校の2年・3年生に学校を通じて配布される媒体(新聞)である。
 高校や塾の先生方には届かない。

 が、「よみうり進学メディア」WEB版は誰でも見られる。
 ただし、このサイト、「入試情報のラビリンス」(by UMENO)と呼ばれるだけあって、目的の記事を探すには相当高度な技術を要する。
 徐々に改善されているので気長に待ってほしい。
 国内最大級の入試イベント「彩の国進学フェア」についても、公式発表はこのサイトから発信されている。

  
◆複合型の専門高校
 越谷総合技術高校の話に戻ろう。
 車で行った。
 学校の公式発表(交通案内)によると、JR武蔵野線「南越谷駅」から徒歩35分、同「東川口駅」から徒歩45分とある。
 私立ならスクールバスを出すところだが、公立にその予算はない。
 
 創立は1986(昭和61)年である。
 工業系、商業系、家庭系の学科がそれぞれ2学科ずつ、計6学科で構成されている。

 こことほぼ同じ構成なのが、1983年(昭和58年)創立の新座総合技術高校だ。
 両校の学科構成を比較してみよう。

 【越谷総合技術】
 工 電子機械科
   情報技術科
 商 流通経済科
   情報処理科
 家 服飾デザイン科
   食物調理科

 【新座総合技術】
 工 電子機械科
   情報技術科
   デザイン科
 商 総合ビジネス科
 家 服飾デザイン科
   食物調理科

 6学科中4学科は共通だ。
 新座総合は商業系を一つにまとめ「総合ビジネス」としている。
 また、工業系に「デザイン」を設置している。
 「総合ビジネス」は当初は「国際ビジネス」だったが10年前に改称した。

 というわけで、東の「越総(こしそう)」、西の「新総(にいそう)」は良きライバルとして成長を続けてきたわけである。

◆明暗分かれた「越総」と「新総」
 令和5年度入試において、両校の明暗はくっきりと分かれた。
 定員に満たず欠員募集を行った学科は、越谷総合が工業系の「情報技術」を除く5学科。
 対して新座総合技術は全学科定員を満たし、欠員募集なし。

 越谷総合ももう一息というところだったのだが、それでも定員割れは定員割れだ。

◆「越総」の優位性
 越谷総合技術のある越谷市は、人口で言えば、さいたま・川口・川越・所沢に次ぐ県下5番目の年だ。
 (所沢とは抜きつ抜かれつの状況が続いている)
 越谷市は、このうち、さいたま・川口に隣接している。
 さらに県下6番目の草加、7~9番目の春日部市とも隣接している。
 隣接市が朝霞・志木・所沢である新座総合よりも、その点では優位性がある。

 市内には越谷北・越ヶ谷・越谷南・越谷西・越谷東と普通科校が5校ある。
 その中でたった1校の専門高校というのは有利な状況と言える。
 ただ、これだけ普通科があると受験生の目がそちらに向きがちなので、その点は不利かもしれない。

◆学校イメージの作りにくさ
 複合型の専門高校の場合、学校イメージ(ブランドイメージ)が作りにくい。
 ○○農業、○○工業、○○商業であれば、良くも悪くもイメージは統一される。
 だが、6つもあると、「いろんな学科がある学校」となって、具体的なイメージが湧きにくいのだ。
 
 まあ、学校を作るときには、そんなことまで考えないから仕方ないが、極端に言えば、吉野家と丸亀製麺とスシローが合わさったような学校になりかねない。
 つまり、専門高校でありながら、専門イメージをを打ち出しにくい状況となる。

 学校側は、複合型のメリットを生かそうと、ミックスホームルームのような試みをしている。
 1年次のクラスは、学科に関係なく構成されるのだ。
 だから、英数国などの普通教科(一般教科)は学科を超えて一緒に学ぶ。

 でも、ちょっと苦し紛れ。
 そんな感じがする。
 もちろん、先生方はミックスならでは良さを出そうと努力されてるし、それなりの成果も生み出しているだろう。
 だが、教育的視点を離れ、マーケティング視点からだけ見たら、ミックスは行事や部活だけで十分ではないかと思う。
 地域イベントなどで協力するとか、共同研究的なものはあってもいいが、それも専門性の高さがあってのことだ。

 断っておくが、この学校の教育に専門性が無いと言っているのではない。
 専門性の高さは、今日もしっかりこの目で見てきた。
 そうではなく、生徒募集の観点からみて、専門イメージの打ち出し方がやや弱いという話だ。

 学科を超えて、他学科の専門科目を学べるシステムもあるようだが、これも専門性イメージと逆行する。
 他学科の生徒でも学べるなら、それは専門性が低い科目ということになる。

 ちょっと見にくいかもしれないが、越谷総合と新座総合のホームページである。


 PC画面で見た場合だが、新座総合はトップメニューには6つの学科名が並ぶ。
 それに対し、越谷総合は「学科紹介」とあり、そこから6学科につなげる。

 また、進路実績も新座総合が学科別人数が分かるように出しているが、越谷総合は学科の区別なく一括だ。
 つまり、どの学科からどの会社に就職(進学)したかが分からない

 これらから、新座総合の方が強く専門イメージを打ち出していると言える。
 学校経営の観点から言えば、学科の自己主張が強すぎたり、独立性が高まるのはマイナスではあるだろう。
 だが、それとこれとは別。
 あくまでも募集広報の話である。

 今日はここまでだが、念のため言っておく。
 中学生向け記事は別に書く。
 それとこれとは別。

 あと、もう一つ言い忘れた。
 説明会日程は早く更新したほうがいい。