公立の先生から質問を受けた。
「塾対象説明会(塾説)」はいつ頃開いたらいいですか?」
お答え。
5月下旬から遅くとも7月初旬。もっとも多いのが6月。
2回目やるなら9月初旬。それ以降という選択は基本的にはない。
◆なぜ6月なのか
6月は塾説ラッシュで、私のところにも多くの学校から案内が来ている。
なぜ6月に集中するかというと、3学期制の学校だと5月中旬から下旬にかけて中間考査、7月上旬に期末考査が行われるので、その間ということになるからだ。
それと、夏休み以降は生徒・保護者対象の説明会や個別相談会が中心となるので、塾説はその前にということもある。
塾の先生に、「○○高校の説明会に行ってみれば」と勧めてもらいたいわけだ。
◆案内状発送のタイミング
イベントの案内状は経験則で30日~40日前が良いとされているので、今月中に実施を決定し、すぐに案内状を出せば6月実施も可能だろう。
案内状を出すには住所リストが必要だ。
私立の場合、長年の蓄積で独自の名簿が整備されているが、公立にはないかもしれない。
だが、今はネットで調べれば近隣の塾の住所などすぐに分かる。
また、すでに実施した経験のある公立もあるからシェアしてもらうのも一つの手だ。
◆平日午前中の開催で昼までに終了
開催時間に関して、私が公立の先生によく言うのは「塾の先生の勤務体系は定時制と同じ」ということだ。
これで分かってもらえるだろう。
塾の授業は夕方からだが、準備もあるので出勤は午前1時、2時となる。(※訂正:午前じゃなく午後)
そこから逆算して考えれば、10時半から11時頃に始め、12時から12時半ごろまでに終わらせればいいだろうということになる。
塾の先生には、本来の始業時間前に、いわば「早出残業」をお願いすることになる。
朝の7時、8時から仕事が始まっている学校の先生にとって10時は決して早い時間ではない。
が、深夜まで仕事をしている塾の先生にとっては早朝に等しい。
私立だと「早い時間からお呼びたてして申し訳ない」の一言があるものだが、公立にこの発想はないだろう。
なので、一応ここでお知らせしておこう。
◆近年は私立も簡素化
私がこの世界に入った頃は接待と言っていいような塾説が多く見られた。
交通費、食事、お土産が必須の3点セット。
会場もホテルなど外部会場がよく使われていた。
今はこうした接待めいた塾説を行う学校はほぼなくなった。
交通費は出ない。
せいぜい1000円程度の図書券かクオカード。
それもない学校も多い。
昔は当たり前にあった懇親会(昼食会)のようなものもなく、せいぜいお持ち帰り弁当を出す程度。
1時間程度でコンパクトにまとまった塾説が今は主流だ。
駅からのアクセスが良くない学校が、駅近の会場を借りて行う場合はある。
しかし、これだと施設設備や授業の様子を見てもらえないので、学校会場をメインに考える学校が多い。
私立の対応がこのように変化しており、塾の先生方もそれに慣れているので、公立が塾説を開く場合のハードルは昔よりかなり低くなった。
◆内容・構成は学校ごとさまざま
塾説1時間の構成は一般的には次のようなものとなる。
1 校長挨拶
2 学校説明
3 入試説明
校長挨拶が形式的なご挨拶にとどまらず、そのまま学校説明まで行ってしまう学校もある。
塾の先生方の最大の関心事は「3入試説明」の部分だろう。
推薦基準を知りたい。
もっと分かり易く言えば、いわゆる確約をもらえる偏差値基準や評定基準を知りたい。
公立の場合なら、合格者平均点や合格最低点がもっとも知りたい部分だろう。
ただ、これは公表できない。
ここが難しいところだ。
かつては、大量のお持ち帰り資料を渡す学校も多かったが、今は私立も最小限に抑えている。
塾生配布用にパンフレットを多めに持ち帰りたいという力自慢のために、お持ち帰り自由の余分のパンフレットを用意している学校もある。
◆公立はハードルが高い
公立の先生には分からないだろうが、塾の先生方にとって公立のハードルはかなり高いのである。
警察とか裁判所とか税務署とか「公」には近寄りがたいイメージがある。
まあ、これは極端だとしても、私立に行った時のように「やあ、どうも」というわけにはいかない。
公立の塾説に行ったことのある先生の感想をお伝えしておこう。
「私立は自分でも行ったことがあるので、塾生に対していろいろな話ができる。だが、公立は足を踏み入れたことがないので、結局は偏差値の話とかパンフレットにあるような話しかできない。これで生徒の前で自信を持って話ができる」。
無理してやる必要はないが、広報活動の一環として考えてみてもいいだろう。
最後に。
都立日比谷高校など都立はずっと以前から塾対象説明会を開催している。
今年の日比谷は5月31日だ。
「都立日比谷高校 塾対象説明会」
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