台風接近による大雨を想定し、完全な雨対策をして熊谷に向かった。
 よみうり進学メディア10月号で取り上げる熊谷高校を取材するためだ。
 が何と、熊谷駅に着くと、ほとんど雨は降っていなかった。
 朝の浦和は猛烈な雨で、ほんの数分歩いただけで靴もズボンもびしょ濡れになるほどだったのに。

◆国公立は常時3ケタ
 進学実績について取材に行ったので、一応数字だけは紹介しておこう。

 今春の大学合格実績は、次のとおりである。
 国公立 105人(うち現役75人)
 国立医学部6人(うち現役3人)
 早慶上理53人(うち現役32人)
  
 まあ堂々の結果と言えるが、全盛期の熊谷を知る者としては、物足りない。
 現在、コンスタントに国公立3ケタを叩き出せる学校は、公立では浦和・浦和一女・大宮・川越・春日部・不動岡・市立浦和、私立では栄東・開智・大宮開成あたりだろうから、熊谷はぎりぎり10本の指に入るかどうかというポジションにある。ただ、私の知る熊谷は少なくとも5本の指に入る学校であったので、そういう意味で物足りない。

 また、旧帝大や東工・一橋も、合格者は出るものの、その数は少なく、特に、長いこと東大が出ていないのが印象的にも良くない。
 早慶上理についても、早稲田だけで30~50という数字を出さないと進学校としては寂しい。

 と、注文はいくらでもあるわけだが、部活や行事にも手抜きをしない中でこの結果であるから、立派なものである。

◆名門復活のために
 皆さんご承知のとおり、ここ何年かの熊谷は定員割れこそしないが低倍率に喘いでいるのである。
 前年度も10月1日現在調査では0.99倍だった。
 他の上位進学校が360人募集であるのに対し、320人募集でこの結果である。
 明らかに人気は低下している。
 
 最終的に県普通科平均に届いたとしても、それは低倍率を見て下位層がなだれ込んだ結果であり、募集として成功しているとは言えない。
 1.2~1.3倍あたりから下がってきて1.15倍になるのと、1.0倍から始まって1.15倍になるのとでは全く意味が違う。
 であるから、最終倍率はとりあえずおいて、最初に出る10月1日現在の倍率を上げることに全精力を傾けるべきだろう。

 そう考えた時、第1回説明会が8月1日というのは、ちょっと遅い。
 第1回説明会 8月1日
 第2回説明会 10月14日
 第1回見学会 11月18日
 第2回見学会 12月16日
 第3回説明会 1月20日
 これは今期のスケジュールだが、回数的に現状維持というなら、帳尻を合わせが目的の1月20日などやめて、夏休み以前に持ってきたほうがいいだろう。
 今からでは遅いので来期の課題だ。
 土曜公開授業を実施している学校なので、その際、ミニ説明会や個別相談をセットするのも一つの方法だ。
 これは今からでもできそうだ。

◆生徒募集は方便
 学力・体力・精神力、それに最近ではコミュニケーション力も加え、これらをバランス良く成長させるのが高校の使命である。
 おそらくこの考え方に異を唱える人は少ないだろう。
 16歳から18歳までの3年間は、単に大学に入るための準備期間ではない。
 この3年間だから出来ること、この3年間にやっておかなければならないことがある。
 そのように考えたとき、熊高の教育プログラム(部活や行事も含む)は非常に良く出来たものだと思う。

 しかし、そうした理想的なプログラムを生かすも殺すも、入ってくる生徒次第である。
 と、ここでもまた私が専門とする生徒募集の話題となるのである。

 方便という言葉がある。
 お経(法華経)に「方便品(ほうべんぼん)」というのがあるから仏教由来の言葉だろう。
 仮にとる便宜的手段。
 
 生徒募集とは方便である。

 やれ東大何人とか、やれ医学部何人とか大声で喚きたてている学校も多いが、まさかそれが教育の本質と考えている学校はあるまい。
 方便である。
 生徒募集は教育そのものではないので、時に方便も必要であり、それが許される。
 
 自らが理想と考える教育を、より多くの人に受けてもらうことを目的と考えたとき、それを達成するための一時的手段として方便があっていいのである。