思わず笑ってしまったよ。
 今日の埼玉新聞(WEBサイト)。
 ある記事の見出しがこれ。

 依願退職…教え子と添い寝キスした教諭 自宅に35回招き、性的関係は確認できず 娘の異変に父が気付き発覚 好意を伝えていた教諭、恋愛感情を否定「彼女は特別な存在」誕生日は数々のプレゼント 「生徒側から添い寝キスした」と説明する2人

 なげーよ。
 と思い数えてみたら、句読点・記号抜きで102文字。
 これはもう、見出し・タイトルの域を超え、文章だ。
 
 以前にも書いたが、紙幅の制限がないWEBニュースのタイトルは長くなりがちだ。
 それにしても100文字超えとは。
 ちなみに同内容記事の紙版(社会面)の見出しは、こうだ。
 「女子生徒を自宅に 県教委 39歳男性教諭を懲戒」(20文字)

 通常、新聞社では、記事を書く人(記者)と見出しを付ける人とは別々だ。
 記者自らが見出しを付けることもあるが、どの記事をどの位置にどのくらいの大きさで載せるかを決める人が別にいる。
 で、その人たちが紙面全体のバランスを考えて、見出しの大きさ・字数・表現などを調整する。

 では、WEB版の見出しは誰が付けているのだろう。
 今度、新聞社の人に会ったら、どのようなシステムになっているか尋ねてみよう。

 私が見るところ、今回の見出しを付けた人は、プロではない。
 つまり、紙版の見出しを付けた人とは別人と推理。

 私がプロではないと断ずるのは、例えば、言葉の重複。
 WEB版見出しの中に、「教え子と添い寝キスした教諭」、「生徒側から添い寝キスした」と、「添い寝キス」が二度使われている。
 長い文章ならいざ知らず、短い文章、まして見出しの中で同じ言葉を繰り返すのは、ご法度である。
 もちろん文法的には誤りではないが、プロはこんな真似はしない。

 読んでもらいたい一心で、これでもかと刺激的なワードを満載した。
 退職、添い寝キス、性的関係、異変、恋愛感情、特別な存在等々。 
 気持ちは分かる。
 しかし、一語一語にインパクトがあったとしても、それらを同時に使うと相互に打ち消し合い、全体としての刺激性が薄まることもある。

 添い寝キスのようなパワーワードを残しつつ、少し短めにしてみよう。
 「39歳男性教諭 自宅で教え子と添い寝キス、恋愛感情は否定も数々のプレゼント 県教委は懲戒処分」(52文字)
 約半分になった。
 
 もうちょっと頑張ってみよう。
 「39歳男性教諭 自宅で教え子と添い寝キス、性的関係確認できず 依願退職」(31文字)
 短歌レベルまで来た。
 
 無理して俳句レベルに挑んでみよう。
 「39歳男性教諭 教え子と自宅添い寝キス
 うーん、五七五はさすがに厳しい。
 先生が教え子とキス? それがどうした、となりそうだ。

 長めの見出しが許されるのはWEB記事ならではの特権であるから、そこは存分に生かそう。
 新しい時代には新しいやり方がある。
 紙の時代の常識をWEBに持ち込もうとしてはいけないのだ。

 ただ、短い中にエッセンスを詰め込み、かつ読者をひきつけるのは、長年にわたり新聞社が培ってきた伝統の技であろう。
 これを基礎基本として学んだ後、今風の長文に移る。
 そうしないと、キレの無い、ただ長ったらしいだけの中途半端な見出し・タイトルになってしまう。