埼玉県公立入試では同一学校内の学科間で第2志望を認める制度がある。
本日は、理数科と外国語科について第2志望合格の状況がどうなっているかを昨年(5年度入試)のデータを基に考察してみよう。
◆第2志望とは
県教育局が発表した「入学者選抜要領」の「2一般募集入学者選抜要領」の中に、「3選抜にあたっての留意事項」という項目がある。
そこには第2志望について次のように記されている。
(1)2つ以上の学科又はコース等を有する場合
ア 選抜及び各得点の換算は、学科又はコース等ごとに行う。
イ 第2志望を認めた場合、その選抜は、当該学科又はコース等の第2次選抜の際に含めて選抜する。第1志望と第1志望の学科又はコース等の資料の扱いが異なるとき、第2次選抜における資料の扱いは、第2志望の学科又はコース等の資料の扱いに従う。
選抜は第1次選抜、第2次選抜の二段階(学校によっては第3次選抜まで)で行われるが、第2志望の受検者が選抜対象になるのは第2次選抜である。
第1次選抜では合格者の60%~80%を決めるが、そこでの選抜対象は第1志望の受検者のみである。
つまり、分かりやすく言うと、第1志望普通科の受検生と第1志望理数科の受検生が、1回戦からいきなり競うことはないわけである。
1回戦(第1次選抜のこと)は、それぞれの学科を第1志望としている受検生同士の競争である。
このあたり誤解もあるようなので念のため確認しておく。
◆昨年(5年度入試)、理数科から何人が第2志望で普通科に合格したか(推定)
理数科を設置する学校の場合、理数科の方が普通科より合格ラインが高いと推測される。
したがって、理数科受験者が普通科を第2志望とした場合、理数科は不合格でも普通科で合格となる可能性がある。
ただし、必ずしも全員が第2志望を書いているかどうかは分からない。
【大宮・理数】
●受検 88
●合格 40 2.20倍
●不合格 48 →普通科合格22
理数科不合格者の第2志望による普通科合格率は45.8%である(全員が第2志望を書いていたとして。以下同じ)。
4年度が44.9%、3年度が51.0%なので理数科不合格者のおよそ半数が普通科の方で合格を確保していることがわかる。
【熊谷西・理数】
●受検 49
●合格 41 1.20倍
●不合格 8 →普通科合格3
理数科不合格者の第2志望による普通科合格率は37.5%である。
4年度は第2志望による普通科合格者はいなかった。
【越谷北・理数】
●受検 78
●合格 40 1.95倍
●不合格 38 →普通科合格27
理数科不合格者の第2志望による普通科合格率は71.1%である。
4年度29.2%、3年度41.4%と年度によって変動が大きい。
越谷北理数は傾斜配点を行っていない。
【所沢北・理数】
●受検 59
●合格 40 1.48倍
●不合格 38 →普通科合格12
理数科不合格者の第2志望による普通科合格率は31.6%である。
4年度60.7%、3年度24.1%と年度によって変動が大きい。
【松山・理数】
●受検 60
●合格 40 1.50倍
●不合格 20 →普通科合格19
理数科不合格者の第2志望による普通科合格率は95.0%である。
5年度は普通科が定員割れ状態だった。
普通科の倍率が低く、5年度のように定員割れの年もあるので、4年度96.2%、3年度86.2%と高確率で普通科合格を果たしている。
【大宮北・理数】
●受検 69
●合格 41 1.68倍
●不合格 28 →普通科合格24
理数科不合格者の第2志望による普通科合格率は85.7%である。
4年度89.5%、3年度63.5%と比較的高確率で普通科合格を果たしている。
【川口市立・理数】
●受検 79
●合格 40 1.98倍
●不合格 39 →普通科合格10
理数科不合格者の第2志望による普通科合格率は25.6%である。
4年度46.9%、3年度42.9%と比較し、5年度はかなり低かった。
理数科7校全体で見ると、5年度は受検者482人中282人が理数科合格。
200人が不合格となったが、うち117人(58.5%)が第2志望の普通科で合格という結果だった。
普通科志望者が第2志望で理数科に合格するケースは、以前に熊谷西であったが、きわめて稀で、通常はほぼ無いと考えていいだろう。
◆昨年(5年度)、普通科と外国語科の関係はどうだったか(推定)
理数科の場合、基本理数科から普通科への一方通行だが、倍率が1倍を割ることもある外国語科では、普通科不合格から外国語科合格というケースもある。
【春日部女子・外国語】
●受検 51
●合格 40 1.28倍
●不合格 11 →普通科合格6
外国語科不合格者の第2志望による普通科合格率は54.5%である。
4年度69.2%、3年度78.9%であるから合格率は低下傾向にある。
【越谷南・外国語】
●受検 46
●合格 40 1.15倍
●不合格 6 →普通科合格0
外国語科不合格者の第2志望による普通科合格はなかった。
4年度は外国語科が定員割れであり、普通科から12人が第2志望で外国語科に合格した。3年度は外国語科不合格者の20.0%が第2志望で普通科に合格した。
【坂戸・外国語】
●受検 45
●合格 40 1.13倍
●不合格 5 →普通科合格
外国語科不合格者の第2志望による普通科合格はなかった。
4年度もなし。3年度は普通科から1人が第2志望で外国語科に合格した。
【草加南・外国語】
●受検 43
●合格 40 1.08倍
●不合格 3 →普通科合格
外国語科不合格者の第2志望による普通科合格はなかった。
4年度は外国語科が定員割れであり、普通科から7人が第2志望で外国語科に合格した。3年度も普通科への第2志望合格者はいなかった。
【南稜・外国語】
●受検 51
●合格 33 1.55倍
●不合格 11 →普通科合格
外国語科不合格者の第2志望による普通科合格はなく、逆に普通科不合格者のうち7人が第2志望で外国語科に合格した。
4年度も普通科から2人が第2志望で外国語科に合格した。
【和光国際・外国語】
●受検 92
●合格 76 1.21倍
●不合格 16 →普通科合格0
外国語科不合格者の第2志望による普通科合格はなく、逆に普通科不合格者のうち3人が第2志望で外国語科に合格した。
4年度も普通科から8人が第2志望で外国語科に合格した。
【蕨・外国語】
●受検 54
●合格 41 1.32倍
●不合格 13
蕨は、普通科・外国語科相互の第2志望を認めていない。
以上のように外国語科では、「普通科不合格→第2志望で外国語科合格」というケースが多いようである。
上記のデータは、県が発表した入学許可候補者数と、各学校が発表した合格者番号に基づいている。
合格者番号は、各学校とも学科ごとに番号を割り当てている。
たとえば、普通科は1000番台、理数科は2000番台という形だ。
したがって、このような場合、普通科合格者の中に2000番台があれば、理数科からの第2志望合格だったとみなすことができる。
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