生徒募集に苦戦している学校の皆さんにアドバイスをしてみようと思う。
 ただ、苦戦している学校ほど募集への関心が薄い傾向がある。
 とすれば、年中募集に関することを書いているこのブログをそうした学校の先生がご覧になっている可能性はきわめて低い。
 そこが残念なことだが、めげずに書くことにしよう。

◆「〇〇がいい」と「〇〇でいい」の違い
 募集は量と質の両面から考えて行かなければならない。
 これはもう、皆さん耳タコだろう。
 このブログで何度書いたか分からない。

 質の高い募集とは、「この学校いい」という生徒をどれだけ集められるかである。
 私の拙い表現をもってすれば「合格を親戚一同、赤飯炊いて喜んでくれる生徒」を集めたい、となる。
 こういう生徒は、たとえ勉強の方はそこそこであっても、さまざまな場面でリーダーシップを発揮してくれる可能性が高い。
 友達ともうまくやってくれるだろう。
 入学したら一番最初に「先生!」と言って職員室にやって来る生徒だ。
 
 こういう生徒が発見しやすいのは、早い段階である。
 なぜなら、彼らは概して動き出しが早いからである
 後半になり、倍率も出始める頃になると「この学校いい」という生徒に紛れて発見しにくくなる。

 もちろん「この学校いい」と消極的選択で入ってきた生徒が、後にエースに成長することだってある。
 そこは先生方の腕次第だ。

◆どうすれば現状を打ち破れるか
 募集苦戦校の先生方は、早い時期に説明会を開催しても受験生が集まらないと考えているようだ。
 だから説明会など募集イベントは後半中心になりがちだ。

 しかし、早い時期の開催で人数が集まらないのは、学校の人気に関係なく、どこも似たようなものだ。
 なぜならこの時期、「進活」(進路・進学のための活動という意味)を始めている受験生数がそもそも少ないからだ。
 だいたいは部活を引退して、夏休みからボチボチとなる。

 だが、意識が高く、「進活」に熱心で、早期に始動する受験生は確実にいる。
 それは進学校を目指す生徒だけに限らない。
 高卒で就職、そのために専門高校という生徒の中にもいる。
 人数が集まらないという理由で、そうした数少ない「進活優等生」を切り捨ててしまうのは、いかにももったいない。

 募集苦戦校に必要なのは、「この学校いい」という生徒をかき集めて帳尻を合わせることではない。
 たとえ定員に満たなくても、その中に一人でも多く、「この学校いい」という生徒を含めることだ。
 そして彼らと一緒になって学校イメージを変えていけばいい。
 学校を変えて行く原動力は先生方の知恵と行動力だが、それだけで事は成就しない。
 生徒の力がどうしても必要なのだ。

◆今シーズン、早期説明会を実施した学校
 令和6年度入試に向け、早期に説明会等を実施した学校がいくつかある。
 量(倍率)に結びついた学校もあれば、そうはならなかった学校もある。
 しかし、早期説明会は量ではなく質を求めるイベントである。
 たとえ倍率に結びつかなくても「進活優等生」の獲得に成功している可能性がある。

 今シーズン、夏休み前に始動した学校を記録として残しておこうと思う。
 データは県立総合教育センターのサイトより。

【東部】
●杉戸  5月20日
●春日部 6月3日 説明会(文化祭中)
●草加  6月3日
●春日部工業6月5日 夜間
●鷲宮  6月10日 部活
●越谷総合技術 6月24日
●杉戸農業 6月24日

【西部】
●松山  5月27日
●富士見 6月3日
●所沢  6月10日
●和光国際6月10日
●川越工業6月17日
●新座総合技術7月8日

【南部】
●川口工業5月20日
●浦和一女6月17日
●大宮  6月17日
●大宮東 6月17日
●桶川  6月21日 夜間
●岩槻商業6月24日
●大宮工業6月24日

【北部】
●熊谷女子6月10日
●熊谷  6月17日
●熊谷工業6月24日
●熊谷農業6月24日