昨日の熊谷市と春日部市に関する記事。
 予想以上に読まれており本人びっくり。
 毎日書いていると、たまにこんなことがある。

 皆さんに訴えたいのは、しっかりと数字を見ようよ、ということ。
 むろん数字万能ではないのだが、やれ少子化だ高齢化だという割には、足元の数字を見ていない。
 冷静に数字をながめれば、そこから見えてくるものもあるだろし、それに基づいた戦略戦術の立案も可能になるだろう。

◆現時点での人口ランキング
 そこで今日はまず、埼玉県市町村別人口ランキングを見ていただこう。
 2023年12月のデータである。

1 さいたま市 1,345,871
2 川口市  593,345
3 川越市  354,045
4 所沢市  341,870
5 越谷市  339,755
6 草加市  249,289
7 上尾市  227,925
8 春日部市 227,007
9 熊谷市  190,905
10 新座市  165,848
11 久喜市  148,818
12 狭山市  147,549
13 入間市  143,185
14 朝霞市  143,091
15 戸田市  142,367
16 三郷市  141,299
17 深谷市   139,803
18 鴻巣市   116,509
19 ふじみ野市113,379
20 富士見市  112,992
21 加須市   110,925
22 坂戸市   99,436
23 八潮市   93,975
24 東松山市  92,644
25 和光市   84,596
26 飯能市   79,583
27 本庄市   78,018
28 行田市   76,698
29 志木市   75,273
30 蕨 市   74,151
31 桶川市   74,010
32 吉川市   71,518
33 鶴ヶ島市  70,282
34 北本市   64,569
35 蓮田市   61,232
36 秩父市   56,656
37 日高市   53,626
38 白岡市  52,449
39 羽生市   52,302
40 幸手市   48,815
41 伊奈町   44,998
42 杉戸町   43,343
43 三芳町   37,747
44 毛呂山町  34,580
45 宮代町   33,646
46 寄居町   31,399
47 上里町   29,990
48 松伏町   27,483
49 小川町   27,204
50 滑川町   20,049
51 川島町   18,530
52 嵐山町   17,688
53 吉見町   17,386
54 鳩山町   13,054
55 神川町   12,862
56 美里町   10,755
57 越生町   10,542
58 ときがわ町  10,018
59 小鹿野町   9,997
60 皆野町    8,827
61 横瀬町    7,587
62 長瀞町    6,456
63 東秩父村   2,456

 ご覧のようにさいたま市が突出している。
 2位の川口市とはダブルスコア以上の開きがある。
 日本全体では東京一極集中と言われるが、わが埼玉県ではさいたま市一極集中が進んでいる。

◆10年前に比べ増えた市、減った市
 次に、10年前(2013年12月)との比較を見てみよう。
 いったん20年前との比較を試みたが、少子高齢化が加速度的に進む今日、20年前より10年前の方がリアルな数字が出るのではないかと思い直した。

 以下は、2013年から2023年にかけての人口増減である。
 実人数で見てみる。

1 さいたま市 101,176
2 川口市  26,685
3 戸田市  13,036
4 朝霞市  11,138
5 越谷市  9,047
6 八潮市  8,837
7 三郷市  7,131
8 富士見市 5,071
9 川越市  4,967
10 ふじみ野市 4,688
11 草加市  4,545
12 新座市  4,367
13 吉川市  3,955
14 志木市  3,905
15 上尾市  2,914
16 和光市  2,817
17 蕨 市  2,780
18 東松山市 2,678
19 滑川町  2,136
20 白岡市    1,575
21 伊奈町  1,267
22 宮代町  122
ここからマイナス
23 桶川市  -67
24 鶴ヶ島市 -88
25 所沢市  -469
26 東秩父村 -652
27 嵐山町  -671
28 三芳町  -679
29 上里町  -753
30 美里町  -758
31 長瀞町  -1,085
32 横瀬町  -1,108
33 神川町  -1,218
34 蓮田市  -1,299
35 鳩山町  -1,524
36 越生町  -1,526
37 皆野町  -1,596
38 ときがわ町 -1,753
39 鴻巣市  -2,016
40 本庄市  -2,180
41 坂戸市  -2,182
42 飯能市  -2,247
43 加須市  -2,354
44 杉戸町  -2,571
45 小鹿野町 -2,664
46 川島町  -2,771
47 吉見町  -2,844
48 羽生市  -2,971
49 松伏町  -2,975
50 深谷市  -3,052
51 北本市  -3,152
52 寄居町  -3,202
53 日高市  -3,521
54 毛呂山町 -3,528
55 久喜市  -3,876
56 幸手市  -4,358
57 小川町  -4,591
58 狭山市  -5,583
59 入間市  -5,984
60 行田市  -6,897
61 秩父市  -8,098
62 春日部市 -8,306
63 熊谷市  -9,186

 それぞれの市町村で分母(人口規模)が違うので、増加率(減少率)で見て行くことも必要だが、まずは分かりやすく実人数。

 県総人口は2013年が7.223.728人、2023年が7.332.207人。
 増加数は108.479人。
 増加した市町は22、減少した市町村は41であるから、およそ3分の2の市町村は減少に転じているのである。
 ここでもさいたま市は増加数は突出しており101.176人の増加だ。
 県全体の増加数は108.479人であるから、埼玉県の伸びはイコールさいたま市の伸びと言っていいほどだ。

 そして、昨日の話の続きとなるが、この10年間でもっとも人口(実人数)が減少したのが、熊谷市と春日部市なのである。10年間で1万人近い減少とはただ事ではない。
 まさかと思う方も多いと思うが、これが数字なのである。

◆増加率では滑川、八潮、戸田
 次に増加率(減少率)という視点から見てみよう。
 2013~2023の10年間の増加率(減少率)である。

1 滑川町  11.9%
2 八潮市  10.4%
3 戸田市  10.1%
4 朝霞市  8.4%
5 さいたま市 8.1%
6 吉川市  5.9%
7 三郷市  5.5%
8 志木市  5.5%
9 川口市  4.7%
10 富士見市 4.7%
11 ふじみ野市 4.3%
12 蕨 市  3.9%
13 和光市  3.4%
14 白岡市 3.1%
15 東松山市 3.0%
16 伊奈町  2.9%
17 越谷市  2.7%
18 新座市  2.7%
19 草加市  1.9%
20 川越市  1.4%
21 上尾市  1.3%
22 宮代町  0.4%
ここからマイナス
23 桶川市  -0.1%
24 鶴ヶ島市 -0.1%
25 所沢市  -0.1%
26 鴻巣市  -1.7%
27 三芳町  -1.8%
28 蓮田市  -2.1%
29 加須市  -2.1%
30 深谷市  -2.1%
31 坂戸市  -2.1%
32 上里町  -2.4%
33 久喜市  -2.5%
34 本庄市  -2.7%
35 飯能市  -2.7%
36 春日部市 -3.5%
37 狭山市  -3.6%
38 嵐山町  -3.7%
39 入間市  -4.0%
40 熊谷市  -4.6%
41 北本市  -4.7%
42 羽生市  -5.4%
43 杉戸町  -5.6%
44 日高市  -6.2%
45 美里町  -6.6%
46 幸手市  -8.2%
47 行田市  -8.3%
48 神川町  -8.7%
49 寄居町  -9.3%
50 毛呂山町 -9.3%
51 松伏町  -9.8%
52 鳩山町  -10.5%
53 秩父市  -12.5%
54 越生町  -12.6%
55 横瀬町  -12.7%
56 川島町  -13.0%
57 吉見町  -14.1%
58 長瀞町  -14.4%
59 小川町  -14.4%
60 ときがわ町 -14.9%
61 皆野町  -15.3%
62 東秩父村 -21.0%
63 小鹿野町 -21.0%

 増加率(減少率)では順位が変動する。
 増加率トップ3は滑川町、八潮市、戸田市。

 滑川町は東武東上線「つきのわ駅」の開業(2002年)と、それに伴う東武鉄道などによる大規模な宅地開発による効果が大きい。給食費無料、18歳までの医療費無償化など子育て政策推進の効果もあり、当初は社会増(移住)が主だったが、合計特殊出生率県下第1位にみるように自然増に及んでいる点が注目される。

 八潮市はつくばエクスプレス及び「八潮駅」開業の影響が大きいだろう。新築住宅が多いことが一目で分かる地域である。

 戸田市は、かつては倉庫と工場とボートレース場の町だったが、今や埼京線の駅が3つもある。昔は京浜東北線「西川口駅」に出るしかなかったがダイレクトに東京とつながった。昨今は教育面での先進的な取り組みも注目されている。

◆高崎線は上尾まで、宇都宮線は白岡まで
 鉄道沿線別にみると、高崎線は上尾までが増加地域で、桶川から先は減少地域となる。
 宇都宮線は白岡までが増加地域で、久喜から先は減少地域となる。
 武蔵野線沿線は、東は三郷、吉川から西は新座まで、ほぼ増加地域である。所沢も大きな落ち込みはない。

 私鉄沿線では、東武スカイツリー線(伊勢崎線)は、草加、越谷までが増加地域で、そこから先の春日部、久喜、加須、また日光線の杉戸などは減少地域である。
 東武東上線は、和光、朝霞、志木、富士見、ふじみ野、川越までが増加地域。その先は坂戸を飛び越して東松山、滑川が増加地域。さらに先の小川町からは再び減少地域。
 西武沿線(新宿線・池袋線)は、川越以外は減少地域。

 といった状況である。
 中高の生徒募集という観点から見た場合、減少地域に立地しながら好調な募集を続けている学校もあるし、逆に増加地域に立地しながら苦戦が続いている学校もある。
 つまり、必ずしも立地だけでは語れないのであるが、エリア戦略を立案するにあたり、近隣地域や鉄道沿線の人口動態は、片隅に入れておいたほうがいいだろう。

 高齢化率についてもデータそのものはまとめてあるのだが、それは次の機会としよう。
 明日、明後日は、公立出願状況の話題となる。