本日はこのニュース。

 差別だ…男女別学の埼玉県立高校“共学化”に賛成派「勉強するのに性別を問う必要ない」 共学を求める団体「誰に対しても開かれた公教育」を訴える 群馬、栃木は消極的だが共学化…埼玉も一歩踏み出して(4月14日 埼玉新聞)

 上記はネット配信用の記事であり、紙面版では次のような見出しとなっている。
 「県立校『社会に共学化必要』 推進派の団体が会見」
 社会面に掲載されているが、それほど大きな扱いではない。
 見出しが簡潔なのは紙面版ではスペースの制約を受けるからである。

 もう一つ、テレビ埼玉の記事も紹介しておこう。
 Yahoo!ニュースで配信されたものである。

 県立高校“共学化” 早期実現求める市民団体が会見/埼玉県(4月10日 テレビ埼玉)

 埼玉県のニュースなので地元2社のみ紹介。
 他のマスコミも扱っている。
 NHK、朝日新聞、毎日新聞。
 予想しうる顔ぶれだ。

◆共学ネットさいたまとは何者か
 このニュースに関心を持たれた多くの方が「共学ネットさいたま」を検索してみたのではないか。
 が、WEBサイト(ホームページ)が存在しない。
 ここがそもそも怪しげだ。

 自分たちの主義主張を理解してもらいたければ、あるいは広めたければ、今時WEBサイトやSNSは常識だろう。
 新聞・テレビよりネットの時代なのだ。
 「ネット」と名乗りながら自らはネットを使わない旧態依然の発想と体質。
 
 新聞・テレビも正体不明の団体を何の疑いもなく取り上げるから不思議だ。
 いや、実際は知っているのだろう。
 新聞・テレビの人たちはそれほどヘボではない。
 正体を明かすとニュース価値が下がるから知っていても言わない。

◆20年以上前から活動
 埼玉新聞の記事にはこのようにある。
 「同団体は会員数約200人。同委員による1度目の勧告が行われた2001年度から活動している。会見には同団体世話人の田辺美弥子さん(63)や千田潤子さん(73)ら5人が出席した

 「会員数約200人」とあるが自称だろう。
 だが、本部がどこにあるかさえ不明な団体であるから確かめようがない。

 「2001年度から活動している」。
 前回の共学化問題の時から活動しているわけだ。
 そこは大したものだ。

 「会見には同団体世話人の田辺美弥子さん(63)や千田潤子さん(73)ら5人が出席した」
 この方たちも20年前から活動しているとすれば、当時は40代、50代。
 現職の公立高校教員として組合活動に勤しんでいた時からということになる。

 もういい加減にしたらと思うが、自身の年齢を考えると、それは言えない。
 この方たちにとってライフワークとも言えるものなのだろう。

◆共学化で明確な序列ができる
 自分は男子校の出身で母校には愛着があるから、その点では共学化には賛同できない。
 ただ一方、長期的なスパンで考えると共学化に進むだろうと予想している。
 (これは以前にも書いた)

 また、自分の仕事に関連して言えば、生徒募集面で公立にメリットはないと考える。
 現状、浦和、浦和一女、大宮の3校は、それぞれ男子校トップ、女子校トップ、共学トップという形で鼎立しているが、すべて共学となれば明確な序列ができるだろう。
 塾業界は間違いなく偏差値による序列化を図る。

 共学推進派の方々にとって、そんなことはどうでもいいことだろうが、仕事上の立場からは、明確な序列ができるより両立または鼎立状態の方がそれぞれの学校にとって良いと考える。

◆私立はどうする
 共学ネットの皆さんは公立のことしか言われない。
 公立出身の方が多く、私立についてはご存知ないのかもしれない。

 共学化を訴える根拠として「誰に対しても開かれた公教育」と述べられているが、であれば、その主張は私立にも向けられなければならない。
 私立もまた公の性質を持つと法律にも規定されているからだ。
 ちなみに現在埼玉県内私立には、男子校が5校、女子校が4校ある。
 全日制48校の18.75%であり、その割合は公立よりはるかに高い。
 これで開かれた公教育と言えるか。
 私立のことは関係ないと言うならば(それもおかしな話だが)、ここは「誰に対しても開かれた公立学校教育」とするべきだろう。

 授業料無償化により一段と私立志向が強まっている現状がある。
 こうした追い風の中、共学化を進めれば、別学志向の生徒(家庭)は、県内あるいは都内の私立に向かうことになるだろう。
 これは生徒募集の観点から見ると埼玉にとってデメリットである。

 共学ネットさいたまの皆さんには、一刻も早くWEBサイトを立ち上げ、その主張を桜蔭や雙葉や豊島岡にもぶつけていただきたい。
 ついでに開成や麻布にも。
 あと、国立の筑駒にも。
 それと苦情処理委員のお一人が所属する津田塾にも。

◆決めるのは次世代
 すべての人に思想信条の自由があり、表現の自由がある。
 年齢によって差別されるものではない。

 と、これは当然のことである。
 だが、私には未来がない。
 あっても残りわずかだ。

 意見は述べるが、決定は次の世代、若い世代に任せよう。
 これが70歳を超えた私の基本的な態度だ。

 「別学って変だよね」
 若い世代にそう思う人が多ければ、それも良し。
 「別学、あってもいいよね」
 そう思う人が多ければ、それも良し。