本日はこのニュース。
上記はネット配信用の記事であり、紙面版では次のような見出しとなっている。
「県立校『社会に共学化必要』 推進派の団体が会見」
社会面に掲載されているが、それほど大きな扱いではない。
見出しが簡潔なのは紙面版ではスペースの制約を受けるからである。
もう一つ、テレビ埼玉の記事も紹介しておこう。
Yahoo!ニュースで配信されたものである。
県立高校“共学化” 早期実現求める市民団体が会見/埼玉県(4月10日 テレビ埼玉)
埼玉県のニュースなので地元2社のみ紹介。
他のマスコミも扱っている。
NHK、朝日新聞、毎日新聞。
予想しうる顔ぶれだ。
◆共学ネットさいたまとは何者か
このニュースに関心を持たれた多くの方が「共学ネットさいたま」を検索してみたのではないか。
が、WEBサイト(ホームページ)が存在しない。
ここがそもそも怪しげだ。
自分たちの主義主張を理解してもらいたければ、あるいは広めたければ、今時WEBサイトやSNSは常識だろう。
新聞・テレビよりネットの時代なのだ。
「ネット」と名乗りながら自らはネットを使わない旧態依然の発想と体質。
新聞・テレビも正体不明の団体を何の疑いもなく取り上げるから不思議だ。
いや、実際は知っているのだろう。
新聞・テレビの人たちはそれほどヘボではない。
正体を明かすとニュース価値が下がるから知っていても言わない。
◆20年以上前から活動
埼玉新聞の記事にはこのようにある。
「同団体は会員数約200人。同委員による1度目の勧告が行われた2001年度から活動している。会見には同団体世話人の田辺美弥子さん(63)や千田潤子さん(73)ら5人が出席した」
「会員数約200人」とあるが自称だろう。
だが、本部がどこにあるかさえ不明な団体であるから確かめようがない。
「2001年度から活動している」。
前回の共学化問題の時から活動しているわけだ。
そこは大したものだ。
「会見には同団体世話人の田辺美弥子さん(63)や千田潤子さん(73)ら5人が出席した」
この方たちも20年前から活動しているとすれば、当時は40代、50代。
現職の公立高校教員として組合活動に勤しんでいた時からということになる。
もういい加減にしたらと思うが、自身の年齢を考えると、それは言えない。
この方たちにとってライフワークとも言えるものなのだろう。
◆共学化で明確な序列ができる
自分は男子校の出身で母校には愛着があるから、その点では共学化には賛同できない。
ただ一方、長期的なスパンで考えると共学化に進むだろうと予想している。
(これは以前にも書いた)
また、自分の仕事に関連して言えば、生徒募集面で公立にメリットはないと考える。
現状、浦和、浦和一女、大宮の3校は、それぞれ男子校トップ、女子校トップ、共学トップという形で鼎立しているが、すべて共学となれば明確な序列ができるだろう。
塾業界は間違いなく偏差値による序列化を図る。
共学推進派の方々にとって、そんなことはどうでもいいことだろうが、仕事上の立場からは、明確な序列ができるより両立または鼎立状態の方がそれぞれの学校にとって良いと考える。
◆私立はどうする
共学ネットの皆さんは公立のことしか言われない。
公立出身の方が多く、私立についてはご存知ないのかもしれない。
共学化を訴える根拠として「誰に対しても開かれた公教育」と述べられているが、であれば、その主張は私立にも向けられなければならない。
私立もまた公の性質を持つと法律にも規定されているからだ。
ちなみに現在埼玉県内私立には、男子校が5校、女子校が4校ある。
全日制48校の18.75%であり、その割合は公立よりはるかに高い。
これで開かれた公教育と言えるか。
私立のことは関係ないと言うならば(それもおかしな話だが)、ここは「誰に対しても開かれた公立学校教育」とするべきだろう。
授業料無償化により一段と私立志向が強まっている現状がある。
こうした追い風の中、共学化を進めれば、別学志向の生徒(家庭)は、県内あるいは都内の私立に向かうことになるだろう。
これは生徒募集の観点から見ると埼玉にとってデメリットである。
共学ネットさいたまの皆さんには、一刻も早くWEBサイトを立ち上げ、その主張を桜蔭や雙葉や豊島岡にもぶつけていただきたい。
ついでに開成や麻布にも。
あと、国立の筑駒にも。
それと苦情処理委員のお一人が所属する津田塾にも。
◆決めるのは次世代
すべての人に思想信条の自由があり、表現の自由がある。
年齢によって差別されるものではない。
と、これは当然のことである。
だが、私には未来がない。
あっても残りわずかだ。
意見は述べるが、決定は次の世代、若い世代に任せよう。
これが70歳を超えた私の基本的な態度だ。
「別学って変だよね」
若い世代にそう思う人が多ければ、それも良し。
「別学、あってもいいよね」
そう思う人が多ければ、それも良し。
2024-04-16 at 06:33
的確な問題提起をありがとうございます。
多様性を認合うめる社会を醸成して行くために、
「別学、あっても良いよね」
に、一票。
埼玉は、さいたまで、と願っています。
(東京生まれ、小学校からさいたま育ちの五十代より)
2024-09-09 at 01:44
自身、埼玉の公立男子校であり、男子校・女子校は一種のモラトリアムとして、そのまま残ったらよいと思っています。
ただ一つ気になるのは、かつては浦高であれば、併願は海城・巣鴨・城北と男子校で筋が通っていました。
いまは、川越東もあるかと思いますが、栄東や開智も多いと伺います。
一女もまた、明の星・大妻・豊島岡あたりだったのが、淑徳与野はあるにせよ、やはり栄東や開智も多数派なのではないでしょうか。
もちろん、私立も共学化が進んでおり、また、高校入学を取りやめた高校が多いという事情があることも承知いたしております。
通学の便も選択の基準になっていることと思います。
しかし、選択肢がないなら共学でもかまわないと私立は妥協してしまうのであれば、公立も同じではないかと思えて仕方ありません。
つまるところ、男子校・女子校がいいのではなく、自分のレベルの高校がたまたま共学ではなかっただけ、ということなのではないでしょうか。
もちろん、浦和か大宮か、一女か大宮か、の選択にいずれかへのこだわりがあるケースもあるかと思います。
しかしいっぽう、筑附が第一志望で浦和・一女が第二といった無頓着層もいるのではないでしょうか。
いずれにしても、在校生や卒業生にどちらがいいかと意見を聞けば、「住めば都」で、母校の設置形態を良しとする方が多いでしょう。
ここは岡目八目、中学生に聞くのが妥当なのではないかと思います。