埼玉の専門高校を訪ねるシリーズ4日目。
今日の取材校は所沢商業高校である。
年配の方は野球の強い学校として記憶されているだろう。
夏の甲子園には3回出場している。
◆比較的若い商業高校
1969年(昭和44年)創立で商業高校としては比較的新しい。
岩槻商業・熊谷商業・深谷商業・川越商業(現・市立川越)が大正時代の創立。
浦和商業が昭和初期、大宮商業も戦前。
という中で、戦後生まれの所沢商業と、商業は冠しないが昭和60年創立の狭山経済は、ひときわ若い商業専門高校である。
同校は3学科構成である。
●国際流通科(定員80人)
●ビジネス会計科(定員40人)
●情報処理科(定員80人)
情報処理科は普通科との併設型を合わせれば10校にあり、内容的にも分かりやすい。そして、商業系ではいまもっとも人気のある学科である。
ビジネス会計科は、他校で言えば商業科や会計科に当たるだろう。簿記や財務会計などを学ぶ、いわば商業高校の中心的存在である。
◆国際流通科をどう生かす
それに対し、いま一つ分かりづらいのが県内唯一の学科、国際流通科だ。
この分かりづらさもあってか、倍率も低迷している。
他の学科と比べ就職率や進学率が劣っているというわけではないので、中身が伝わっていないのだろう。
何を学ぶ学科なのか。
どんな仕事(職業)を目指す学科なのか。
「流通」と名の付く学科は全国の商業高校に存在するが、たぶん「流通」では中学生には伝わらない。
ほぼイメージできない。
それに「国際」をかぶせるとさらに分かりにくくなる。
国際流通科で学ぶ科目に「マーケティング」があるが、これを前面に押し出す手もある。
「流通」は「広告」などと並び「マーケティング」の重要要素であるから「流通」を「マーケティング」にかえてもさほど問題はないだろう。
むろん「マーケティング」も中学生には理解しにくい概念だという心配もあるが。
所沢には西武の本拠地「ベルーナドーム」があり、バスケットのさいたまブロンコスもある。
こうした地の利を生かし、スポーツビジネスをマーケテイング視点から解明していく学科というのも面白い。
「スポーツビジネス科」
「スポーツマーケティング科」
今や本社を池袋に移転してしまったが、西武鉄道と関連の深い土地柄を考えて「鉄道ビジネス」「観光ビジネス」もありだ。
商業高校であるから、その基礎として簿記・会計、情報処理などは当然学ぶことになるが、その上で、広告・マーケティング・コミュニケーションなどを学び、将来的にはスポーツ、レジャー、観光、交通といった分野への就職を目指す。そして、もっと学びたい人は経済経営分野の大学をめざす。
商業高校のベーシックな部分はビジネス会計科と情報処理科でカバーできるわけだから、一つくらい突き抜けた学科があってもいいだろう。
というようなことを妄想しつつ、たくさんの授業を見学した一日だった。
たまたま資格や検定に向けた授業が多かったこともあり、真剣に取り組む生徒にあまり話しかけないほうが良いかなと思い、いつもやっているインタビューは少なめにした。
◆所沢商業へのお願い
商業高校として抜群の発信量を誇っていた浦和商業が今年度に入り、一気に減らしてしまった。
HPもInstagramも動かなくなった。
こうなったら商業高校の魅力発信基地は所商にお願いするしかない。
比較的若く、また都市型商業高校である同校の使命(ミッション)とも言える。
さしあたりInstagramフォロワー1000人を目標に頑張っていただきたい。
読者の皆さんにもぜひフォローをお願いする。
所沢商業公式Instagram「tokosyochanne」
合わせて同校ホームページも。
(今日の取材が記事なっている)
◆余談だが
それほど規模の大きくない学校だが、本物の食堂(販売だけでない作って提供する)が成立している。
ほぼ全品ワンコイン(500円以下)。
食べ盛りの高校生には有難い。
看板を見て中に入ってみると。
なるほど、看板に偽りなし。
次に訪問するときは絶対に食ってくるぞ。
2024-05-13 at 21:16
梅野先生も書かれていますが、専門学科の難点は「名前だけでは何を学ぶのかが分かりにくいところ」だと思います。
普通科は何となく今の延長といえば通じますが、専門学科は私自身も普通科出身のため、なかなかうまく説明できないのが正直なところです。
この点、所沢商業はInstagramで情報を発信してくださるので、私にとってはとても勉強にもなりありがたく思います。
ただ同時に、実際に行って見てみたいという気持ちが大きいのも事実です。
昨年の浦和商業の説明会に参加(生徒・保護者と同席)できたことが大きな刺激になりました。専門学科を実際に見る機会を増やしていただけたら、嬉しく思います。