今日は「ブランドカテゴライゼーション」という話をしてみようと思う。
この言葉自体は覚える必要はない。
要するに、あるカテゴリーの中で「第一想起」されない限り、その商品やサービスは選ばれないか、あるいは選ばれる可能性が低いという話である。
なお、以下の話は、「Brisoux and Laroche」(1980)が提唱したモデルに基づいている。
「第一想起」とは「最初に思い浮かぶ」ことである。
たとえば、ビールというカテゴリーで、「アサヒスーパードライ」や「キリン一番搾り」というブランドを最初に思い浮かべる人が多ければ、その商品がもっともよく売れる。
むろん3番目でも4番目でもいいわけだが、「第一想起」される割合が高いほどよく売れるだろうという考え方だ。
このことは各種研究で確かめられているが、学校選択にそのまま適用できるかどうかの本格的な研究は私が知る限りでは少ない。
ただ、直感では、ある程度当てはまりそうだ。
まず「入手可能集合」であるが、これは商品カテゴリーのことである。
「車」「洗剤」「シャンプー」「ミネラルウォーター」等々、無数にある。
ここではとりあえず「高校」とする。
「進学校」としてもいいかもしれない。
が、ここはあまり深く考えず、次に進もう。
◆1回戦 「知名段階」
ここでは「知名集合」と「非知名集合」に分けられる。
単純に高校とか進学校と聞いたときに、名前を思い浮かべられれば「知名集合」に分類される。
思い浮かべられなければ「非知名集合」に分類され、1回戦敗退でその先はない。
選ばれない学校の多くは、ここを通過できていないから、とにかく名前だけでも知ってもらうことに全力を傾けなければならない。
◆2回戦 「処理段階」
名前以外の何かを知っていれば「処理集合」に分類され次に進める。
何も知らなければ「非処理集合」に分類される。
私立高校が野球やサッカーなどスポーツに力を入れる理由の一つがここにある。
名前だけは思い浮かべてもらえても、「じゃあ、どんな学校」と聞かれて何も答えてもらえない学校は2回戦で敗退だ。
◆3回戦 「考慮段階」
ここでは「行きたい」と考えられれば「想起集合」に分類され、次に進む権利を得る。
迷っている状態は「保留集合」に分類される。
「行きたくない」と考えれれれば「拒否集合」に分類され、その学校は3回戦敗退だ。
「保留集合」には敗者復活の可能性が残される。
◆4回戦 「選考段階」
ここが決勝戦。
「想起集合」に残った中から、最初に思い浮かべられるのが「第一想起」。
それ以外は「その他の想起集合」。
選ばれる可能性がもっとも高いのが「第一想起」であるから、このポジションを狙う。
以上まとめると。
1回戦 名前を知っている。
2回戦 名前以外も知っている。
3回戦 行きたいと考える。
4回戦 行きたい中で一番に思い浮かべる。
選ばれない学校はどこで躓いているか。
たいていは1回戦である。
「いやいや、さすがに名前ぐらいは知られているだろう」
そう考える人(学校)が多いのだが、とんでもない。
自分たちが思っているほどには世間に知られていないのだ。
だから、そこを出発点にしたほうがいい。
「知られているはず」という思い込み、あるいは錯覚に基づいた戦略が成功するはずがない。
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