埼玉県教育委員会は5月23日、「県立学校の特色化に向けたアンケート」の結果を発表した。
 この調査は昨年(2023年)12月19日から今年(2024年)1月26日にかけて行われた。
 対象は、県内の小学5・6年生、中学生及び高校生並びにその保護者である。

 このアンケートは現在集計が進められている「県立別学校の共学化の是非を問うアンケート」とは別個に行われたものである。
 つまり、調査目的が異なる。
 ただし、マスコミ報道は共学化問題と結びつけたものになると予想される。

◆主な質問項目
 主な質問項目は次のとおり。
「高校でどのようなことを学びたいか」
「どのような高校で学びたいか」
「高校生活を通してどのような力を身に付けたいか」
「高校を選ぶ際にどのようなことを重視するか」

 質問項目の詳細はこちらで確認していただきたい。

「県立高校の特色化へ向けたアンケート」質問項目

◆回答数
 141,793名
 (内訳)
 小学5・6年生 35,135名
 中学生    33,208名
 高校生    14,751名
 小学5・6年生保護者 21,741名
 中学生保護者 21,933名
 高校生保護者 15,025名

 アンケートはWEB上のフォームで回答する形で行われた。

◆集計結果
 集計結果の詳細はこちら。
 A4版(横)43ページ。
 「県立学校の特色化に向けたアンケート」集計結果

◆高校選びでは何を重視したか
 本ブログの主たる読者は、高校の先生方、塾の先生方であるから、いくつかある質問項目のうち、高校選びの観点にスポットを当ててみよう。
 この質問は、中高生とその保護者、小学生の保護者には行っているが、小学5・6年生は除外している。
 また、中学生及び保護者には「重視したいと思いますか」、高校生及び保護者には「重視しましたか」という聞き方をしている。
、回答は「重視する」「やや重視する」「あまり重視しない」「重視しない」から選択する。

 以下、重視する割合である。
 9項目(10項目)中、上位3項目を挙げた。
 保護者向けには「学費」という項目があるため、一つ多い。

【中学生】
1 通学の便利さ 59.6%
2 授業の難易度 52.9%
3 部活動や学校行事など授業以外の活動内容 52.2%

【高校生】
1 通学の便利さ 49.0%
2 部活動や学校行事など授業以外の活動内容 33.1%
3 設置されている学科・コース 32.2%

【小学生保護者】
1 設置されている学科・コース 67.0%
2 通学の便利さ 65.1%
3 学費     62.4%

【中学生保護者】        
1 通学の便利さ 67.4%
2 学費     61.8%
3 設置されている学科・コース 61.0%

【高校生保護者】 
1 通学の便利さ 50.2%
2 学校のイメージ・校風 41.6%
3 設置されている学科・コース 40.6%

 いずれの対象においても、通学の便がかなり重視されていることが分かる。

◆うちは場所が悪いし・・・
 3年間毎日通うことを考えると生徒・保護者が通学の便、通学時間を考慮するのは当然だろう。
 それに対し、高校の先生方の中には、「通学の便が重視されると、うちは(わが校)は分が悪いな」と思われている向きも多いだろう。  
 と言って、これだけはそう簡単には解決できない。

 しかしこれは、地域(地元)の学校が選ばれやすいということであるから、徹底した地域(地元)重視、沿線重視の募集戦略をとればいいのである。

 徒歩の子を集める。
 自転車の子を集める。
 沿線の子を集める。
 その上で地域外、沿線外に打って出る。これが基本だ。

 「ホームで勝てないチームがアウェーで勝てるか」
  
◆共学・別学はさほど重視されていない
 アンケートでは、高校選びの観点の中で、別学、共学を重視するかどうかを尋ねている。

【中学生】
8 共学校であること 34.9%
9 別学校であること 14.9%

【高校生】
6 共学校であること 27.9%
9 別学校であること 16.6%

【小学生保護者】
9 共学校であること 16.4%
10 別学校であること  5.3%

【中学生保護者】
9 共学校であること 18.1%
10 別学校であること  6.4%

【高校生保護者】
8 共学校であること 21.6%
9 別学校であること 14.1%

 いずれの対象においても、他の項目に比べ、共学か別学かは重視度が低い。
 マスコミ的には「共学が別学を上回る」と見出しを打ちたいところだろう。たしかに間違いではない。実際テレ玉ニュースの見出しはそのようになっている。
 埼玉新聞(紙版)は『「共学・別学」優先度低く 通学の便など他項目重視』としており、この方が実態を伝えている。

 上記以外にも興味ある結果が出ているが、それらについては別途取り上げることにしよう。 
 読者の皆さんには、お時間のある時に、ぜひ元データをご覧いただきたい。