浦高(県立浦和)の土曜公開授業に行ってきた。
「授業見学+ミニ説明会」という構成である。
人数制限はないが事前予約制だ。
期限ぎりぎりに申し込んだところ受付番号156番だった。
親子やグループの場合、代表者のみの登録なので、実際の参加者は300~400人程度と思われる。
申し込みフォームに「教育関係者の方は、所属名をご記入ください」という欄があった。
学校側が塾の先生方の参加も想定しているということだ。
実際、県内大手塾の先生も何人か見かけた。
なお、私は新聞用の取材目的なので、その旨伝えた上で参加した。
◆まずはプールに直行
受付で構内案内図と授業時間割を渡され、参加者は自由に見学する。
その中に1年生の体育は水泳とあったので、まずはプールに直行した。
浦高は臨海学校を実施する数少ない学校だ。
2キロの遠泳があるため、それに備えてこの時期から泳ぎ込む。
一番端のレーンで初心者たちが練習していた。
数人の生徒は体に何か巻き付けて泳いでいた。
一種の浮き輪だと思うが、よくある丸い浮き輪ではない。
数メートル進んでは立ち上がり、また数メートル進んでは立ち上がる。
どうやら泳ぎ続けるコツがつかみきれていないようだ。
だが、こんな生徒でも最終的には全員が「何とか泳げる」というくらいにはなるそうだ。
しばらく見学していると、一組の親子が見学にやってきた。
「泳ぎができないので、それだけが心配で・・・」
まあ気持ちもわからんではないが。
言ってもたった3日か4日の学校行事なわけだ。
それで諦めてしまうにはもったいない学校だと思うのだが、どうだろう。
◆ヒーローは最終ランナー
帰り際に校長先生にお会いし、こんな話を聞いた。
先ごろ行われた新入生歓迎マラソン(10キロ)でのことだ。
速い子は30分ちょっとで走りきるが、この日のヒーローは最終ランナーだったというのだ。
「学年関係なく全員が最終走者を大歓声、大拍手で迎える。この日は最終走者の彼が全部持って行きましたね」
なぜ入学早々こんな虐待的行事があるんだろう?
たぶんこれは、上級生が、挑戦する姿勢と弱い者を労わる姿勢を新入生に示す場なのだろう。
浦高は生徒に「無理難題への挑戦を求める学校」だ。
パンフレットにそう書いてある。
説明会でもそう言っている。
今時流行らない。
そう考える人がいてもいいし、現にいるだろう。
だったら、別の選択肢はいくらでもある。
だが、限界に挑戦し、仲間とともにそれを乗り越え、自らを成長させる。
そう考える人にとって、これほど多くの場を用意してくれる学校は滅多にない。
と、これは私が言っているのではなく、学校が言っているのである。
◆授業ペースは超高速
私は自称「埼玉県有数の授業ウオッチャー」であるから、いろいろな学校の、いろいろな先生の授業を見ている。
そうした経験からみて、浦高の授業は明らかに高速だ。
なぜ速いか。
基礎ができているから中学校の知識の確認などは不要。
予習しているからいきなり本題。
オンオフの切り替えが速いから、その点でも前置き抜きに本題。
分からないことは自分で調べるから、分かったかどうかの確認も不要。
まあ、こうした点は公私問わずトップ校に共通した姿だ。
中学時代の、真ん中辺かそれ以下に合わせた授業に比べれば、むしろ快適だろう。
普通の学校が信号待ちしながら一般道をトコトコ走っているとしたら、かれらは高速道路を走っているようなものだ。
◆現役進学率が上昇
浦高は浪人合格が多いため「4年制高校」と揶揄されてきた。
しかし、ここ数年の状況を見ていると、どうやら「3年制高校」に移行しつつあるようだ。
このことは当ブログの最近の記事でも紹介している。
これは世の中の風潮や価値観の変化、大学入試の変化などさまざまな要因があるだろうが、注目しておきたいところだ。
ミニ説明会でも現役合格率が上がってきていると述べていた。
なお、通常の学校説明会と今回のミニ説明会との違いの一つは、高校入試に関する言及がなかった点だろう。
この点については8月と10月の学校説明会で確認しよう。
◆広報にも変化
これも前記の過去記事に書いたが、広報活動にも変化が見られる。
今日の公開授業についても、さっそくホームページに記事が上がっていた。
投稿時間が13:22とあるから、公開授業が終わるや否やアップされたものだと分かる。
今までの浦高にはなかったことだ。
学校案内パンフレットも2025年度入試用の最新版が配布されていた。
次回の土曜公開授業の申し込みはすでに始まっている。
塾の先生方にとっては、授業を自由に見て回れる土曜公開授業の方が学校説明会より得るものが多いのではないかと思った。
2024-05-27 at 12:00
素敵なトピックス、拝見させていただきました。
浦和高校生の母です。
うちの子はまさに、この遠泳がネックで最後まで浦和高校を受験することを躊躇ってました。また、古河マラソンも次に嫌がってました。
ただ、異性が苦手であり、通学10分ということもあり選択し、現在通学しています。
泳げない子どもに対して、毎朝練習時間を設けてくれました。不思議と泳げるようになり、『500泳げた!』とキラキラして帰ってきたのがついてこの間です。古河マラも思ったより楽しかったらしく今年も楽しみにしてます。
本当にすごい学校だと思います。入学してくる子どもも素晴らしいかもしれませんが、教員に素晴らしい先生が多いと思います。一年の担任はそれはもう生徒に慕われ、保護者に愛され、素晴らしい先生でした。
先生方に焦点を当てた取材もよいかもしれません。
今、県の男女平等を訴える団体が共学化を唱えてますが、浦和高校に全くご縁がなかった面々の集まりなのだと思ってます。