「6月って、こんなに忙しかったかな」。
 そう思って昨年のスケジュール表を引っ張り出してみたが、やはり今年の方が断然日程が詰まっている。
 その原因は公立の塾説参加だ。
 昨年まではなかった公立の塾説参加が5日間あり、それが日程を圧迫している。

 だったら行かなければいいのだが、諸々事情があり、そうもいかないのが辛いところだ。

◆塾説で急に希望者が増えることはない
 この先、秋に向けて塾対象説明会を計画している学校もあるだろう。
 または、来年度は実施してみようと考えている学校もあるだろう。
 「教員の働き方改革」の視点から、先生方に過度の負担にならない形であれば、どんどんやればいい。

 ただ、自分でけしかけておいてなんだが、それによって募集状況が劇的に改善されるわけではないので、そこは勘違いしないでほしい。
 これをやれば直ちに希望者・志願者が増えるというような魔法の手段はない。
 
 受験生向け説明会や相談会を実施する。
 進学イベントにブース参加する。
 中学校訪問する。
 HPやSNSでこまめに情報発信する。

 など、さまざまな活動があって、そこにもう一つ加えるものとして塾説明会がある。
 そういう位置づけだ。
 決してメインイベントではない。
 メインイベントではないのでその効果も限定的だ。

◆塾の先生だけが公立を知らない
 今はどこの学校も(公私問わず)、自前の学校説明会を実施している。
 だから、受験生・保護者は、見たい学校に自由に行ける。
 実際に訪れ、施設設備を自分の目で確かめ、説明を直接聞き、在校生とも交流し、たくさんの情報を得て帰ってくるわけである。
 
 一方、塾の先生。
 公立高校に一歩も足を踏み入れたことがない。
 知っているのは偏差値と大学進学実績だけ。

 まあ塾の役割を考えれば、それで構わないという考え方もある。
 学校を選んでくるのは受験生親子であって、塾はその希望がかなえられるように実力をつけてあげるところ。
 そういう考え方があってもいい。
 であれば、塾の先生方に細かな学校情報など不要だ。
 何部が強いとか、修学旅行の行き先がどこだとか、食堂があるとかないとか、そんな話はどうでもいい。
 
 しかし、実態はどうだろう。
 塾の先生がまったく学校選びにコミットしていない状況というのは想像しにくい。
 そうなると、ちょっとおかしな状況が出現する。
 相談する親子の方が学校について詳しく、相談される塾の先生の方が学校について疎い。
 で、塾の先生の中には、そういう状況を非常に残念に思っている方もいらっしゃるのではないか。
 親子に勧める以上は、自分でもその学校を見ておきたいと考えている方もいらっしゃるのではないか。

 私が特に公立学校に対し塾説を推奨しているのは、このような理由からである。
 塾説開催が無理そうならば、受験生・保護者向け説明会に参加できるようにしてあげれば、それで十分に目的は達せられる。