本日のお題は「エフェクチュエーション(Effectuation)」。
なんか言いにくいな。
簡単な日本語訳はないのか。
◆エフェクチュエーションとは
バージニア大学ビジネススクールのサラス・サラスバシー教授(インド人)が2008年に提唱した理論ということだ。
感度の良い方はとっくに知っていただろうが、私が知ったのはそんな昔の話ではない。
新しい理論というのは企業に広がって、それが大学に伝わって、時間をかけて高校にも流れてくる。
これもそうなのだろう。
この言葉、「アントレプレナーシップ」の話の中で必ず登場する。
これからのVUCAの時代はアントレプレナーシップ(起業家精神)が求められ、そのための思考形式としてエフェクチュエーションと呼ばれる5つの原則を実践する必要がある。
まあ、こんな感じ。
横文字並べりゃいいってもんじゃねえだろう。
とも思うが、これを知らないとこれからの教育を語れないみたいだから、一応勉強しておこう。
提唱者であるサラス・サラスバシー教授は、起業家を対象にした調査で、彼らの意思決定に共通項があることを発見した。
かれらは、未来予測よりも、「今、自分たちがコントロール可能な要素」にフォーカスすることで好ましい結果を得ているというのだ。
そこで、そうした思考パターンを体系化してみた。
それがエフェクチュエーション。
ざっと、こんなところか。
◆コーゼーションとエフェクチュエーション
エフェクチュエーションと対比される思考をコーゼーションと言う。
コーゼーションは、明確な目標がまずあって、それに対して最適な手段を追求するという思考であり行動様式である。
普通、みんなそうするだろう。そうしてきただろう。
これに対し、エフェクチュエーションは、いま手元にある資源や手段を活用してどんな効果(effect)を得るかという思考プロセスである。
つまり、ゴールから逆算するのではなく、いまを起点とする。
いま出来ることから始めて、それが上手く行ったら、そこをまた起点として出来ることをやって、そうしているうちに最初考えていたのとまったく違ったものが出来ちゃった。
たぶん、そんなことを言っている。
たしかにAmazonなんかも最初は本屋さんだったね。最初から現在のような構想があったとは思えない。
注意しなければいけないのは、エフェクチュエーションとコーゼーションは対比されるが、優劣の問題ではないことだ。
ある時はコーゼーション、ある時はエフェクチュエーションと使い分けが必要。
つまり企業活動で言えば、既存の事業をさらに伸ばして行くにはコーゼーション的発想が有効、この世に存在しない事業やサービスを始めたいならエフェクチュエーション的発想が必要。
こんな風にまとめられそうだ。
◆エフェクチュエーション、5つの原則
さて、いよいよエフェクチュエーションそのものの解説だ。
成功した起業家の意思決定には5つの原則があるという。
1 手中の鳥(bird in hand)の原則
2 許容可能な損失(affordable loss)の原則
3 クレイジーキルト(crazy quilt)の原則
4 レモネード(lemonade)の原則
5 飛行機のパイロット(pilot in the plane)の原則
だんだん話が面倒になってきたぞ。
だが、もう少し我慢して読んでもらおう。
1 手中の鳥(bird in hand)の原則
自分たちがすでに持っている「手持ちの手段(資源)」を活用して、何ができるかを発想することだ。
手持ちの手段とは、特別なスキルや資源だけを指すのではなく、「自分は何ができるか」「自分は何を知っているか」というものでもいい。
ぶっちゃけ「自分らしさ」みたいなフワッとしたものでもいいらしい。
2 許容可能な損失(affordable loss)の原則
起業家は命がけの大博打を打っていると思いきや、上手く行かなかった場合の損失が許容範囲ならやってみるという発想だった。
つまりハイリスクハイリターンを狙うんじゃなく、案外、慎重派ということだ。
ただ、未知への挑戦だから失敗は覚悟している。
覚悟の上だから失敗にへこたれない。その点は強い。
3 クレイジーキルト(crazy quilt)の原則
色や形や大きさの異なる布を縫い合わせたものがクレイジーキルト。
目的に合った協力者を探すのではなく、組めそうな人とはとりあえず組む。
仲間を作る。
仲間を作れば「手中の鳥(bird in hand)」を増やすことにもなる。
最近の学校は連携ブームで、中には「なんでそこと組んだ?」と思われるようなものもあるが、それも悪くはない。
組んでから何が出来そうかを考えてもいいじゃないか。
4 レモネード(lemonade)の原則
アメリカの諺「when the life gives you lemons, make lemonade」(レモンを与えられたら、レモネードを作れ)に由来する。
失敗を学習機会と捉え、活用しようとする考え方。
ポジティブ思考ということでいいだろう。
5 飛行機のパイロット(pilot in the plane)の原則
パイロットがそうであるように、刻々と変化する状況を見極め、自分自身がコントロールできることに意識を集中し、臨機応変な対応を取れということ。
法や規則がどうとか、取引先や上司がどうとか、自分自身ではコントロール不能なことばかり考えてはいけない。
自分でコントロールできることがまだいくらでもあるだろう。
そこから始めればいいんだよ。
ということなんだが、どうだろう。
自分には絶対無理というものはなさそうだ。
さあ、みんなで始めようエフェクチュエーション。
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